32日目、バンコクを発つ

前回の続き

昨日は結局深夜に目を覚まし、そこから全然眠ることができず朝方に再び寝て目を覚ますと昼近くになっていた。周りのベッドは半分ほどが空になっており、昨日騒いでいたヨーロピアンたちは旅立った後のようだ。僕はダラダラと目を覚ましながらも、1階の定食屋で食事をとり、外の暑さに辟易としながら今日どうするか考えていた。実は、前回バンコクに来た際に一つだけやり残していたことがあった。僕は暁の寺こと、ワット・アルンを遠くからしか見ていなかった。

 

バンコクのホステル

それにしても外が暑いため、なかなか外出する気になれずバンコクの整備されたWi-Fiを部屋で堪能していると、向かいにいた韓国人の男性が騒ぎ出した。ベッドから顔を出してみると、どうやらネズミが出たらしい。床には荷物やバックパックが転がっている。ネズミ入ってきたらやだなーと思って僕は荷物を除けていた。韓国人の男性は宿の受付を呼びに行っていた。

そのうち空いたベッドに新しい旅行者たちがやってきた。しかしまあ、揃いも揃ってヨーロピアンだ。アジアンは全然見かけない。早速若い男性が若い女性に色々声を掛けて行動を共にすることを誘っている。旅先における実に型にはまった姿だ。なんとも微笑ましいではないか。女性の方も、最初は乗り気ではなかったが男性が積極的なため敢えて邪険にするほどのことでもないといった具合で、そのうちついていくようになったみたいだ。がんばれ若者たち。

ワット・アルンへ

日が少し沈んできたため、僕は出かけることにした。カオサンロードから南に下り、西の川を渡ったあたりにワット・アルンはある。陸路で川を渡ろうと思っていたけれど、車両専用道路らしい。南に歩いていたけれどもう途中で歩ける道がなくなり、フェリーで川を渡ることにした。フェリーは3バーツ(約10円)、渡るまでの時間は3分ほど。

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向こう岸についてからも、道のりはまだまだ遠かった。しかし、この向こう岸というのが思いの外良かった。チャオプラヤ川の東側というのは王宮や寺もたくさんあり本当に観光地化していて旅行者ばかりだった。しかしこの川を渡った西側は現地の人で賑わっている。そもそもこの川を渡るフェリーでさえほとんど現地の人だった。あまり旅行者は川を渡らないのかもしれない。もしくはもっと寺の近くに集中するのだろう。僕はバンコクの人たちで賑わう市場のような場所を通りぬけ、そこからまたずっと南に進み、ワット・アルンへとたどり着いた。改修中だった。

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飛行機に間に合わない事案

もうバンコクでやることはなくなり、外は相変わらずクソ暑く、僕はそのままホステルへと戻った。戻る途中で王宮前を通ったから写真を載せておこう。

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明日はもうバンコクを発つ。飛行機の時間を確認していると、朝7時発だった。空港へと向かうエアポートリンクは、始発電車が6時。んん、これ無理じゃね。空港に着いた瞬間飛行機飛んでいってしまう。そうか、こういうことだったのか。昨日ヨーロピアンが検案していた事項はこれだったわけか。タクシーで空港まで行くと500バーツかかる。電車なら40バーツ。朝、早くても4時に起きないといけないだろう。空港までは電車でも1時間以上かかる。タクシーで2時間かかったとして、離陸1時間前の到着となる。ああ、これはもう無理だな。僕は空港泊を決めた。

しかし、時間はもう夕方だ。今朝のチェックアウト時間はもう過ぎている。宿代は払ってしまっており、寝ないからいまさら返してくれとも言えないだろう。今すぐ空港に向かう気にもなれず、かといって荷物を持ったままバンコクの街を彷徨う気にもなれず、僕はホステルでシャワーを浴びたりWi-Fiを利用したりしてベッドの上でくつろいでいた。同時に、荷物の準備も整えていた。

「ねえ、結局タブレットもWi-Fi繋がったよ。ありがとう。もう出発するの?」

「そりゃあよかった。明日の飛行機が早すぎて、空港で寝ようと思うんだ」

「ええ?朝タクシーに乗ればいいんじゃない?」

「タクシーは道路混むかもしれないし、それにすごく早く起きないといけなくなるから」

「そっか、なるほど。大変だね」

「そうなんだ。10時頃には出ようと思っている」

律儀にWi-Fiの報告をしてきたフランス人の女の子は、金髪のショートカットでパーマがかかっており、メガネをかけて下着みたいな格好をしていた。いや多分下着だった。

空港を間違える

エアポートリンクの終電は11時頃だったから、余裕を持って10時にホステルを出た。向かいのベッドの韓国人や今日少し言葉を交わしたフィリピン人などにも別れを告げ、ホステルの受付のおっさんにも挨拶をしてタクシーを拾った。タクシーの運転手は英語が全く通じなかったけれど、エアポートとかパヤタイとか色々言っていたら伝わった。パヤタイまで70バーツ(248円)ぐらいだったかな。

バックパックを担いでエアポートリンクに乗り、スワンナプーム空港に着いたのは11時半頃だっただろうか、とりあえず搭乗券のチェックインをしようと思ってカウンターを探した。見当たらず、インフォメーションに聞いたところ

「AirAsiaならドンムアン空港ですよ?」

間違えた。最悪だ。

「その、ドンムアン空港にはどうやって行けばいいの?」

「出て右からシャトルバスが出ています。バスに乗ってここから1時間ぐらいです」

「ありがとう」

必死だった。前日に来ていて良かった。僕は空港を出てバス乗り場へ向かった。

「ドンムアン空港へのシャトルバスがこのあたりから出てるって聞いたんだけど」

「Eチケットはある?」

僕はDropboxに保存していたEチケットのページを見せた。彼はバスの受付のようで、飛行機の予約がない人はシャトルに乗れない。もしくは有料になる。

「その後ろのバスだよ」

バスはすぐそこに来ていた。

「何時が最終?始発は?」

「夜12時が最終で始発は5時だよ」

12時まではあと15分しかなかった。始発5時では7時の飛行機に間に合うかどうか微妙なところだ。僕はもうそのバスに乗ることにした。本当は空港の食堂で食事をしておきたかったけれど、こんなことになるとは予想していなかった。スワンナプームしか利用したことなかったから、てっきりこっちだと思っていた。まさか空港を間違えるなんて。

「ありがとう」

僕はバス乗り場に待機していた兄ちゃんにお礼を言ってバスに乗った。乗客は僕だけ、そしてそのシャトルバスは、ゴキブリだらけだった。

夜12時になると、僕一人を乗せたバスはドンムアン空港に向けて夜の高速を走りだした。

次回、33日目バンコク→クアラルンプール