振り返れば、ダークツーリズムだった

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負の遺産、ダークツーリズムという言葉は日本においてもここ数年で耳にするようになった。特に歴史上の過ちを残した世界遺産については非公式に負の世界遺産と呼ばれ、広島の原爆ドームやポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所などが代表に挙げられている。日本の修学旅行で行くような、沖縄のひめゆりの塔などもダークツーリズムに挙がる。ダークツーリズムの目的としては、現地に出向きながら歴史上の過ちを学び、実感し、再考することにある。どれほどの惨状だったのか、何故このようなことが起こったか、当時はどういった時代だったか、今後どういった事態が予測されるか、同じ過ちを繰り返さないために我々はどういった行動を取るべきか、同時に被害にあった人たちの悲しみを知り、追悼する意味合いがある。ただ観光地を巡り、珍しい物を見て現地の人や文化に触れ合い楽しむだけでなく、そういった歴史上の悲劇に焦点を合わせ、真剣に学び考えるのがダークツーリズムの本義と言える。

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自分は無意識にも、そういったダークツーリズムをずっと行っていたことになる。ベトナム戦争を邂逅するためにホーチミンを訪れ、プラハのヴァーツラフ広場を共産主義博物館の「プラハの春」展示と重ね、中東を訪れることでイスラムの風土と闘争の歴史を感じ、インドでは貧困と物乞い、格差とカースト制、タイでは売春街を目の当たりにし、デトロイトで見かけた経済破綻の跡とゴーストタウン、アウシュヴィッツ強制収容所は言うまでもなく、民族紛争・民族浄化の舞台となったサラエボ、スレブレニツァ、モスタルへの旅、ユダヤ人の軌跡を辿ったスペイン、モロッコ、イスラエルへの旅。そのほとんどがダークツーリズムと言っても過言ではない。

何故そんなところへ行くのか、よく聞かれた。お金を払って楽しむための旅行をするのではなく、そういう楽しくない場所を訪れるのか。旅行をレジャーの側面だけで捉えていれば理解できないかもしれない。ましてや取材でも何かを発信するわけでも伝えるわけでもなく、ただ個人の観光として訪れるのは不可解に思うのだろう。もちろんそこに楽しみはない。虐殺の歴史、被害の悲惨さ、人々の恨み、苦しみ、悲しみ、世界の負を目の当たりにして喜んだりときめいたりワクワクするわけがない。いつも暗い気持ちで落ち込みながら、時には悲しみに暮れ、時には吐き気をもよおし、今もそこに生きる人たち、それを残そうとする人たちの思いを汲み取りながらも客観的な視点で考えにふける。

訪れていない場所

Dodengang

フランスやベルギーには第一次世界大戦の博物館や塹壕跡、塹壕を再現した場所がある

Oradour-sur-Glane

フランスのオラドゥール・シュル・グラヌはナチス・ドイツによって廃墟にされた村であり、当時のまま残されている。

オラドゥール=シュル=グラヌ - Wikipedia

ダークツーリズム

ダークツーリズムそのものの考え方と説明、ダークツーリズムスポットとして神戸「人と防災未来センター」、沖縄「ひめゆりの塔」、熊本「水俣病資料館」「菊池恵楓園」、ベトナム「戦争考証博物館」、韓国「済州4・3平和記念館」、サイパンやテアニンについても触れられている。

こちらではダークツーリズムをいくつかのカテゴリで分類している。墓地、ホロコースト、ジェノサイド、監獄や迫害施設、共産主義、冷戦、原子力、災害など。

Dark Tourism | Travel | The Guardian

英ガーディアン紙のウェブサイトでは少ないながらもダークツーリズムのカテゴリがある。

ダークツーリズム - Wikipedia

負の世界遺産 - Wikipedia