解体日記

今日は家具の解体のアルバイトに行っていた。いらなくなった家具を処分してほしいと言われ、運んでバラす。その予定が入っていたことを忘れており、早朝に連絡が来た。

家は築15年ほどで新しく、きれいなものだった。運ぶのはダブルサイズのベッドと鏡台付きのタンスだけ。こちらもきれいで高そうだった。処分するなんてもったいない。しかし引き取り手がいないそうだ。置いておくわけにもいかず、運ぶのも大変だから処分することになった。

この手の家具処分には今まで何度も立ち会ったが、もう物なんて新たに作らなくていいんじゃないかというぐらい廃棄処分されている。どれもこれも使える物ばかりで、世の中を見渡せば欲しい人がいるはずの物だ。しかしマッチングがうまくいかない。探して運ぶぐらいなら新品を買ったほうが安かったり簡単だったりする。まるで恋人探しのようだ。リサイクルショップにだってあふれかえっている。何かが歪んでいる。

ベッドはバラし、タンスは引き出しを抜いて運んだ。めちゃくちゃ重い。処分場へ持っていき、木槌とバールで解体した。丹念に技巧を凝らして、高いお金で取引され、生活の一躍を担っていたはずの家具もあっけない。ただの木片になった。マットレスはウレタンと金具と布切れになった。人生のようだ。重いものを運んで腕が筋肉痛になった。