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青が散る

交換してきた。

渡した本である「青年は荒野をめざす」も普段読む類の本ではなく、当り障りのない物を選んだ。もらった本はもっと当たり障りなく、入りやすく、読みやすかった。70年代頃、大阪の大学生活を舞台にした小説。時代背景はそこかしこに雰囲気を漂わせるのみで、学生運動など当時を象徴するものはあまり出てこない。牧歌的な大学生の日常に色を付けて詰めあわせた程度だ。恋愛をしたり色々な人との出会い、別れ、部活に明け暮れたりという大学生らしい日々が淡々と進んでいく。読んだ人はそこに自分を重ねたり思い出したり、逆に全然当てはまらない人は他人の生活を眺めることで自分はどうか、どうだったか思い返すことだろう。舞台が大阪とあって会話文はほぼ関西弁、漂う雰囲気にも関西色が高まり他の地域の人にとってもやや独特で新鮮かもしれない。内面の世界にあまり引きずり込まれることがないという点では、同じ大学生活を描いたノルウェイの森と対象的に映る。部活という点を除けばやっていることはあまり変わりないんだけど。

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感想としては、まず合計450ページほどあるこの本の最初の100ページぐらいまで読み進めるのが大変だった。良くも悪くも一般的過ぎて馴染みのない話であり、登場する話一つ一つにあまり関心を抱けない、ありきたりというよりは普通過ぎるその内容が退屈だった。しかしそれ以降は流れるように読み進めて最初の100ページよりもあとの350ページのほうが早く読み終わった。この物語の魅力は、退屈過ぎる普通の日常にある人間らしい感情であったり、どこにでもいるような人、どこにでもいるような変わった人たちとの触れ合いの中で見えてくる彼らの内面や似たり寄ったりの部分、一見大きく違って見える人たちと距離が縮まる瞬間にあると感じた。ここに出てくる人たちは皆どこかで見たことがあるような人であり、好感が持てる。憎めない。ひとりひとりが人間のわかりやすい感情を持っており、若さも手伝ってそれが真っ直ぐ出ている。さまよいながらも何処かへ向かっている。非現実的な人はおらず、人生における一コマを眺める小説として気楽に読むことができた。誰か一人の大学時代を一通り眺めているようであり、アルバムをめくっているようだった。

青が散る〈上〉 (文春文庫)

青が散る〈上〉 (文春文庫)

 

交換した読書系フリーターの日常のひろこさんと、お互い読み終わった感想を書く縛りを実施したはいいものの普段あまり感想なんて書かないせいで何書いていいか思いつかずすごく短い文章になった。会った時はブログの話や日常の他愛もないことを4時間近く、主に僕が一方的に喋っていた。人物としては、見た目も印象も思ったより若い人だった。ブログの印象だともっと固い人かと思っていたが、パッと見19歳ぐらいのあどけない、おとなしい子という感じだ。僕が色々聞いたせいもあるけど自分の学生時代のことや地元の話、私生活のことなどざっくばらんに話してくれた。それ以上に僕自身も話してたんだけど。少しだけ本の話も出た。大学生活に思い入れがあるらしく、交換した「青が散る」や他にも「鴨川ホルモー」などの名前が挙がった。

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)