ダイアン・アーバス作品集:アウトサイダーとは誰のことか

これまでにも写真集は買ったことあるけれど、たまたま見かけて買ったものばかりだった。「写真集を買おう」と思って買う最初の一冊は、ダイアン・アーバスしかない。理由はまず、テーマがわかりやすかった。写真のことがわからない自分にも、とっつきやすいのではないか。次にそのテーマが自分にとって、親和性が高いと思ったから。

ダイアン・アーバスはヌーディストや障害のある人、双子などを撮った写真が有名で、亡くなってから回顧展が開かれ、写真集が出た。亡くなってから有名になった人っぽい。どこかで「アウトサイダーを美しく撮る人」みたいに書かれていた。被写体と親しくなり、その魅力を引き出して本人に喜ばれる写真を撮ったとか。

アウトサイダー・アートという言葉を一時期よく見かけた。それはアウトサイダーが作るアート作品、みたいな意味だったと思う。今調べてみると、その言葉はどうやら日本とそれ以外で使われ方が違うらしい。ダイアン・アーバスの写真もそういう文脈で語られているのを見かけたが、今ここではアウトサイダー・アートのことはひとまず置いておく。

ダイアン・アーバスは被写体にアウトサイダーとしての自分を見ていたのではないか、みたいなこともどっかに書かれていた。撮影者の目を通して撮られた人たちが、撮影者そのものを表しているなら、それを見る自分は一体誰なのか。

アウトサイダーを撮るダイアン・アーバス、の写真を見る自分。写真を通して、自分のことがわかるのではないか。「アウトサイダーとは、自分のことではないか?」という気持ちが、撮影者と同様自分にもあるから、きっとこの本を選んだのだろう。世界的に広く読まれている写真集だけど、見る人がみんなそういう気持ちなのだろうか。アウトサイダーとしての自分を見つめるための本として、手に取っているのだろうか。

ダイアン・アーバスについて書かれた本も気になる。