定住より移動生活に憧れる

かつてノマドブームというものがあった。震災後の2011年頃だったと思う。当時はホリエモンも「出所後はノマドになりたい」と言って収監されたが、実際はならなかった。ノマドで名を馳せた人もたくさんいた。MGさんとかフォローしていたが、今頃はどこでどうしておられるのか、自分の記憶ではタイのチェンライを最後に消息を絶たれた(ネット上で)。

佐々木俊尚が5人の若者に聞く『21世紀の生き方』第1回「ノマド、シェア、そして家もいらないーー私たちはこんな生活をしています」(佐々木 俊尚) | 現代ビジネス | 講談社(1/7)

当時は世界一周ブームもあったかもしれない。世界各国を旅行して周りながら、仕事を続け収入を確保するデジタルノマドみたいなのが理想の生き方としてもてはやされた。憧れ、そうなりたいと思ったが、実際なれたのは限られた一部で、ほとんどの人はただの旅行者として終わった。もしくは仕事を探すために日本へ戻ったか、どこかへ定住して職についた。ノマド生活というのは実現の難しい夢として、儚く消えていった。

むしろやりやすくなった?ノマドライフ

新しい生き方として、当時のように脚光を浴びなくなっただけで、今でもひっそりと続けている人はいるのかもしれない。リモートワークも広がり、手に職があってそいう生活を望むのであれば、かつて騒がれていたデジタルノマドのような生き方は現在のほうがやりやすいかもしれない。

リモートイヤーのようなサービスも生まれた。1年間かけて12ヶ国を移動しながらリモートワークするという試み自体はおもしろいが、仮に手に職あったとしても、個人的には利用したいと思わない。こういうサービスの上に乗っかった移動は、まさに団体ツアー旅行と同じく用意されているものを出される感じに興醒めする。

Remote Year | Global Professional Work and Travel Communities

移動生活に憧れる理由

ところで、なぜ移動生活に憧れるのだろうか。それは性格によるところが大きい。つまり、好き嫌いだ。固定されたものが好きじゃない。固定された住居、固定された仕事、固定された人間関係、そういうものにみんな飽きてつまんなくなってしまう。移動生活の魅力は、何よりも解放感だろうか。全てのしがらみから解放されたいと思っている。

逆に、同じ場所にずっと居続けることを好む性格の人もいるだろう。流動的な変化を嫌う人たち。固定された中でのゆるやかな変化を楽しんだり、安心を求める人は同じ住居に住み、同じ仕事を続け、固定された人間関係のなかで時間を過ごすことを愉しむかもしれない。

理想の移動生活

自分の実感としては、半年ぐらいの周期が目安だった。住む場所、仕事、人間関係、だいたい何事も半年で飽きる。半年ごとにリセットしたい。だから移動生活に憧れる。生活に変化をつけるには場所を移動するのが一番だ。同じ場所に留まるのは長くて半年にしたい。毎日移動したりするのは大変だから、1週間から1ヶ月ぐらいのペースで移動できれば理想だ。僕には手に職がないから絵に描いた餅でしかないんだけど。

たとえば映画シャイニングの主人公みたいに、別荘の出張お留守番みたいなことを世界各国でやれたらおもしろいなーと思う。海沿いでも雪山でも、場所ごと季節ごとにいろんな風景が見れて飽きないだろう。シャーマンキングというマンガで木刀の竜がベストプレイスを探し回っていたが、僕も20ヶ国ぐらい旅行をして、2ヶ国には長期滞在もして、ここに定住したいと思うようなところはなかった。僕にとってのベストプレイスは移動である。ある意味ではどこでもいいと言える。