デカフェ・コーヒーの意外な話

デカフェの存在を知ったのは2012年の夏、今から5年ほど前のことだった。サンフランシスコのホテルに泊まっていたとき、コーヒーコーナーがあってそこに"decaf"と書かれていた。(ディカフと発音する。)「何これ」と聞いたら「カフェインが入ってないコーヒー」と返ってきた。カフェインが入ってないコーヒー?コーヒー飲むのにカフェイン摂らない?じゃあなんのために飲むんだ?とそのときはデカフェの存在する意味がわからなかった。そして普通のコーヒーをずっと飲んでいた。

なぜデカフェか

しかし最近になってデカフェを飲むようになった。なぜわざわざデカフェのコーヒーを飲むのかというと、夜に飲むためだ。夜にあたたかい飲み物を飲みたいとき、コーヒーを飲んだら眠れなくなる。カナダにいたとき街を歩いている人が揃いも揃ってコーヒーカップを片手に持っているぐらい、寒いカナダでコーヒーは常飲されているんだけど、そんなカナダ人の友人も夕方3時以降にコーヒーを飲むと寝れなくなるからと言って飲まなかった。

茶を飲めばいいと思うかもしれないが、茶にもカフェインは入っている。そもそも暖かい茶を飲む習慣が僕にはなくて、茶は一度大量に沸かしたものを冷蔵庫に入れて飲んでいる。それを温めて飲んだりしない。白湯だと味気ない。温かい飲み物で普段から馴染んでいるのはコーヒーだから、じゃあデカフェのコーヒーを試してみようということになった。

デカフェはまずいのか

朝飲むコーヒーはちゃんとコーヒーメーカーで淹れるんだけど、夜それをやるのはなんかめんどくさい。だからインスタントを買った。ネスカフェの赤いやつが近所のスーパーに売っていた(日本だとカフェインレスという表記が多い)。「デカフェのコーヒーはまずい」と聞いていたから、どんなもんだろうと思って飲んでみたら、普通のコーヒーの味だった。インスタントだとそんなに変わらない。コーヒー飲んだ後のカフェインがくる感じがなくて、ちょっと変な感覚だった。

「これはインスタントでもおいしい」と言われていたオーガニックのデカフェがある。一度飲んでみたいと思い、近所のスーパーにはなくて探したら明治屋に置いていた。

味はどうかというと、そんなに変わらなかった。やや苦味が強いぐらいで、好みの問題だろう。ちなみにAmazonで買える。今割引をしているみたいで、送料を足しても店で売ってる値段と変わらない。

コーヒーメーカーでもそのうち飲んでみようと思う。小川珈琲から出ていた。

デカフェの意外な話

ここからやっと本題です。デカフェについて全然知らなかったので調べてみた。あえてデカフェを頼む人はまだそんなにいないかもしれないが、海外ではわりと一般的みたいで、実は既に100年以上の歴史がある。製法も様々であり、遺伝子組み換えのデカフェ豆というのはまだ研究段階で、コーヒー豆からカフェインを取り除く手法が一般的に用いられている。

カフェイン抽出にあたり、外国では塩化メチレンという有機溶媒を用いるのが一般的だったが、スターバックスなんかは消費者が気にするということでケミカルを用いない豆に変えたそうだ。日本で売られているデカフェ商品も水、もしくは二酸化炭素によるカフェイン抽出を行っているものばかりで、おそらく安全なのだろう。デカフェにそんな手間をかけたり研究が進んだりしているのは、それだけマーケットが大きいということになる。なんでもコーヒー市場全体の10%はデカフェが占めているそうだ。

EUによるデカフェの定義は99.8%(インスタントは99.7%)以上カフェインをカットしたコーヒーを指す。ネスカフェも小川珈琲も97%カットだからヨーロッパの基準だとデカフェとは呼べない。マウントハーゲンは99.7%カットだからデカフェにあたる。この数値の違いはカフェインの抽出方法による違いみたいだ。ネスカフェや小川珈琲は水を使ったカフェインカットで97%になる。マウントハーゲンは二酸化炭素で99.7%までカットしている。ただしアメリカにおけるデカフェは97%が一般的だから、厳密な定義にはあまりこだわらなくていいかもしれない。

カフェイン摂りすぎで気持ち悪くなるのを"jittery"(神経過敏の)と言うらしいが、発音しているのを聞くと「ジドリ」にしか聞こえない。

参考

デカフェは体いいのか

「コーヒーは体に悪い」と言われていたのは、実は1980年代までの話だそうです。コーヒーで体に悪いのは、添加物だったり飲みすぎた場合のカフェインや、入れすぎた砂糖が中心になってくる。ブラックで飲むコーヒーだったら、1日3杯ぐらいまではむしろ体に良いというのが現代の一般的な認識みたいだ。あれ、そうなると、カフェインを取り除いたデカフェのブラックが最強じゃね?カフェインはつらいけどコーヒー飲みたい人は、デカフェを一度お試しあれ。