続くエンディング

終わらないEndlessではなく、Ending、終わりが続く。超魔界村で言えばアーサーがお姫様を抱いて背の高い馬に乗っているシーンがいつまでも続く。

もう終わっているのだ。アーサーのようにハッピーエンドとはならなかったが、既に終わっている。しかし、いつまでも終わっている。終わりが続いている。いったいいつまで続くのだろう?もう5年も続いている。

終わりを自覚した日

この終わりはいつ始まったのか。エンディングには、エンディングにさしかかる始まりがあったはずだ。5年続いていると言ったのは、自覚してから少なくとも5年は経過しているという意味で、それが本当に5年前に始まったものかどうかさだかではない。終わりが始まった日はあいまいだ。終わりが始まった日、日をまたいで終わりに差し掛かったのだろうか。もしくはある瞬間をまたいで。それともじわじわとグラデーションのように、いつの間にか終わりが始まっていたのか。気づいたらエンディングのさなかにいた。

これ以上前に進めなかった。あらゆる方向を試してみたが、本筋に引き戻された。本筋はそこで終わっていた。先がなかった。だからこそ道を逸れようとしていた。うまくいかなかった。そのとき、もう既に終わりが始まっていることを自覚した。

終わりとは

なぜそれをエンディングだと自覚できたか。それは実に簡単なことで、身動きがとれなかったからだ。何を考えようと、手足を動かそうと、自動的に終わりへ向かっている。物語はここまで、あとは終わるのを待つだけ、そういう段階が来ると、いくらもがいたところで目の前に待ち受けているのは閉幕しかない。その強制的な流れに逆らうことはできない。逆らったところで、残されたページには限りがある。幕は既に下り始め、舞台上では客席に向けて手を振っている。そこから何をやっても変わらない。もしかすると終わりは、もっともっと前から始まっていたのかもしれない。自覚していなかっただけで。

いざ自覚すると、案外受け入れられるものだ。ああ、もう終わっているんだ。終わっていることがわかれば、落ち着きもうまれる。あとは最後まで幕が下りきるのを待つだけ。

終わりの終わり

しかし、このエンディングはいったいいつまで続くんだ。エピローグが始まっていることには気づいても、残りが具体的に何ページあるのかわからない。エンディングはもう5年も続いている。

何故だろう。不本意な形で終わった物語を、このまま終わらせまいという意識が働いているのか。誰の意思だ。そんな意思を抱いたところで既に終わりに差し掛かり、どうにもできないことはわかりきっている。ただ不毛に抗っているというのか。それとも、それさえも踏まえた物語なのか。単純にエンディングが長いだけの駄作なのか。幕が下り始めた舞台の上で、滑稽な芝居を演じている。いつまでたっても終わりの終わりが来ない。