「恋するソマリア」感想・書評

「謎の独立国家ソマリランド」が発売され話題になってから2年後の2015年、続編として「恋するソマリア」が発行された。前作は多くの人に読まれたが、今作は果たしてどれほどの人が手に取っただろう。確かに前作ほどのインパクトはなかった。謎に満ちた国家の全貌は、前回ある程度明らかになり、今回も新たな発見はたくさんあったものの、劇的な発見は乏しかったかもしれない。今回は主に、ソマリランド、ソマリアで暮らす人々の生活や、文化、習慣がよりクリアになる、具体的には家庭内でのこと、美容や家庭料理、ソマリ音楽といったことが明らかになるような体験談だった。今回の著作のほうがソマリ人ひとりひとりの現実に即した生活の実態を描いており、前作で明らかになった国家の全貌というものに興味がないような人にとっては、今回の方が面白いと思う。前作を読んでいない人は前作の方から読むことをおすすめする。読んだ人でその後が気になっていたら、今作も面白く読めること間違いないだろう。僕自身は前作とぶっ続けで読んでしまった。

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