京都の現実を知った上で言ってるの?

先日、こういうエントリーを見た。

東京はもう古い、これからは京都 - ゆううきブログ

他にも、夏頃に京都移住計画というサイトも見た。

京都移住計画 | 京都で暮らしたい人の想いをカタチにする、京都への移住応援サイト。

そうやって京都に住むことを推奨している人をたまに見かけるが、京都に生まれ20年以上住んでいた僕には、それが理解できない。果たして京都に住みたいという人たちは、京都の現実を知っているのだろうか?京都は旅行で来れば物珍しくて面白いかもしれないが、住むに適した土地とはとても思えない。

 

理由その①:夏は暑くて冬は寒い

その一番の理由は気候だ。年較差が激しい。夏と冬の寒暖差が尋常じゃない。夏は、最近では毎年38℃とか行ってる。まあ38℃は日本全国で見ても珍しくなくなった。もっと暑いところだってある。付け加えるとすれば、湿度が高いことだ。しかし湿度についても日本全土高いだろう。日本一暑いというわけではない。

冬は毎年雪が降る。街の中心に川が流れているためか、風が強く寒い。気温はだいたい-1℃ぐらいまで下がる。これも、もっと寒い場所を探せばいくらでもある。しかし、この夏は暑く冬は寒い、という環境は生活するのに厳しいと思う。なぜこういう気候かというと、盆地だから。盆地だって他にもたくさんある。甲府とか。だから京都だけが盆地で特別気候が悪いという意味ではない。ただ、住むに適した場所ではないと思う。あえてこの土地を選ぶのがあまり良い選択だとは思えない。京都に住むならこの夏と冬両方の激しい気候に耐える、それ相応の覚悟が必要だろう。秋と春は良いが、実に短い。

理由その②:遊ぶところがない

全くないわけではない。むしろ京都市というのは狭いため、狭い範囲にいろいろ集まっているという見方もできるかもしれない。進出しているブランドもそこそこ多く、最近では祇園にタイガーや、ライカの京都店もできたらしい。

フライング・タイガー・コペンハーゲン京都河原町ストアの紹介 地図〈アクセス〉と写真 | 京都ビル景

ライカ京都店 // 世界のライカストア // ライカストア& 取扱店 - Leica Camera AG

しかし、やはり大阪や東京と比べたら圧倒的に少ない。京都で買い物をする、外で遊ぶとなれば必ず烏丸御池から四条河原町の一角になってしまう。他の選択肢は皆無と言っていい。丸太町にメトロがあったり一乗寺に恵文社があったりするものの、その一帯で他に行く場所があるかというと、オマケ程度しかない。かといって、四条からそっちも両方行くのはやや遠い。寺社仏閣はあるものの、遊ぶ場所として挙げるべきかどうかは微妙だ。

理由その③:排他的

京都は排他的だと言われている。他の地域から出店している店などは全く関係ないが、地元の店、企業などは、余所者に対して冷たいという声を聞く。観光で来ていればその時だけだから、もしかしたらあまり感じないかもしれない。もしくは観光客ばかり相手にしている人たちは仕事だからそんなでもないかもしれない。しかし住めば実感するだろう。

京都に住む人は京都人が多い。そして京都人たちは京都のしきたりを1200年前から守っているという自負があるのかよくわからないけれど、京都のやり方への同化を求められる。京都は少し文化が違うから、それに慣れるまで非常に悪い印象を抱く人も多い。

もちろん同じ京都市でも場所、人によって全然違うから一概には言えない。京都の文化というのは、なんというか日本の縮図みたいなもので、出しゃばれば嫌われ、古い伝統、慣習を重視し、歴史こそが至高の価値を持つという発想がある。こっそり大人しく生活してれば困ることはないだろう。

理由その④:仕事がない

そういう人たちが暮らす京都だから、仕事もコネなどがあれば早く見つかるかもしれない。もしくは京都人とあまり関わらない観光客を相手にする仕事や、京都人以外を相手にする仕事であれば、他の地域とさほど変わらないだろう。求人の量はあまり知らない。

他に、バイトが見つからないというのがある。見つからないわけではないが僕が大学生の時、バイトをするのにかなり苦労した。何故かというと、大学生がめちゃくちゃ多くてバイトの採用でさえ競争率が高いからだ。僕はバイトの面接に何社も落ちた。それは僕のせいでもあるんだけど、何か他人より秀でた印象であったり、技能がなければ他の大学生に紛れて採用されることは難しいかもしれない。京都に住みたい人は、京都に住む前に予め仕事を確保しておくことをおすすめする。

京都に住むのに適した人

京都が住みやすいと思う人だって、京都人以外にもいるだろう。僕が勝手に思う「こういう人は京都で快適に過ごせる」という例を勝手に挙げてみようと思う。

①歴史ヲタ

歴史ヲタにとって、京都は日本で一番楽しい場所じゃないだろうか。もちろん歴史と一口に言っても年代、分野、専攻など様々な種類がある。ただ日本史において、京都という土地はさすがにいろいろ網羅している。街を歩いていると紫式部の墓の近くを通ったり、昔流行った清明神社の前を通ったり、つい先日は織田信長に関連して船岡山にある建勲神社に触れた記事が挙がっていた。

織田信長の代々子孫の名前に異変 400年の伝統が途切れる - ライブドアニュース

木屋町の周辺は明治維新の舞台だったし、祇園の町並みは古いまま残っている。博物館や史跡、そして寺社仏閣はありとあらゆる場所にある。まさに歴史と共に歩んだ街だから、歴史を感じることに喜びを覚える人であれば、これ以上の土地は無いんじゃないだろうか。そして、京都人は歴史こそが至高の価値だと信じているから、歴史を重んじる人たちを尊重する。京都の歴史を知る人、京都の歴史に興味を持つ人は、京都人からも一目置かれる。京都人はその歴史が身に染みこんではいるものの、あまり詳しくはない。

②大学生

大学生がなぜ京都に住むに適しているかというと、何より大学生が多いからだ。仲間が多い。大学生同士で何かやっているところに参加することも容易であり、他の大学のサークルなどにも簡単に繋がれる。京都から離れていった立命館の草津キャンパスや同志社の京田辺キャンパスなど、大学の京都離れが叫ばれて久しいが、それでも京都はいまだ学生の街だと思う。繁華街などに行けば学生がうようよしている。鴨川や公園、本屋でも多くの学生を見かける。また、北白川の造形大、工繊、今出川の同志社、京大など近くに大学が集まっているため、そのあたりはまさに学生の街として機能している。それらを除いても、大学は本当に各地にある。北から精華大、京産大、佛大、大谷、立命館、西の方には外大、南の方にも龍谷など、どこにでもあると言っていい。

京都府の大学

③外国人

この項目は僕らに関係ないが、京都に観光で来る外国人は昔から多い。留学などで住む人もそこそこいる。千家の、茶道の建物等に通っている着物を着た西洋人もよく見かける。外国人にとって京都の町というのは、他となにか違って見えるのかもしれない。日本人の友人でも他の地方から来た人が「京都駅の近くを通るだけで全然違う」と言っていたから、印象の違いというのはあるのだろう。それを魅力に感じる人なら住みやすい。

京都人は外国人に対して、日本人に対するほど同化を求めようとしない。日本人全体に言えることだと思うが、外国人はある種別物だという認識があるため「外国人だから」ということで一部寛容になれる。そもそも日本語が達者な外国人自体少ないため、文化の違いなど押し付けられるはずがない。そしてやはり、京都の文化を積極的に取り入れようとする外国人に対してはさらに親切になる。これは何も外国人に限った話ではないが、京都という土地、文化を学ぼうとする人、同化しようとする人に対しては、京都人も親切だ。

僕の、京都人としての個人的な意見では、京都が住みよい魅力的な街だとはとても思えない。故郷だから何にも代えがたい場所ではあるが、そういう地元びいきを差し置いて冷静な目で見れば、京都は観光だけで充分だろう。
また、住みたいという人がそういう現実を知らないまま京都に移り住み、京都を嫌いになって出て行くというのも地元の人間からすればやはり、心が傷む。

京都人だけが知っている (宝島SUGOI文庫 D い 1-1)

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