大阪に住んでいた頃は、北堀江の図書館にときどき通っていた。あそこはよかった。3フロアか4フロアほどあって蔵書も多く、自習室もあり、雑誌を読みにいったりもしていた。その点、京都は終わっている。スペースは狭い、蔵書は少ない、自習は禁止、何のために存在しているのかわからない。
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大阪に住んでいた頃は、北堀江の図書館にときどき通っていた。あそこはよかった。3フロアか4フロアほどあって蔵書も多く、自習室もあり、雑誌を読みにいったりもしていた。その点、京都は終わっている。スペースは狭い、蔵書は少ない、自習は禁止、何のために存在しているのかわからない。
最近わけのわからない振込が毎月あるなーと思って銀行口座の履歴を調べてみたら、Kindleダイレクトパブリッシングからだった。3月に出したKindle書籍がちょっとだけ売れていた。でも全然、少額です。
KDPにはレポートが残っているため、具体的な数字を拾ってきた。販売数は6ヶ月半で27冊。僕は有名人ではないし宣伝もしていないから十分だろう。1冊300円で利益は190円だから、27冊で合計5000円ぐらいか。しかし実際にはそれより多い金額が振り込まれている。なんなのこれ、と思ったら、KindleUnlimitedだった。
月 | 販売数 | 販売利益 | アンリミテッド | 合計 |
---|---|---|---|---|
17年3月 | 5 | 955 | 318 | 1273 |
17年4月 | 7 | 1337 | 508 | 1845 |
17年5月 | 1 | 191 | 500 | 691 |
17年6月 | 6 | 1146 | 323 | 1469 |
17年7月 | 3 | 573 | 603 | 1176 |
17年8月 | 2 | 382 | 1033 | 1415 |
17年9月 | 3 | 573 | 804 | 1377 |
合計 | 27 | 5157 | 4089 | 9246 |
6ヶ月半のうち4ヶ月、半分以上の月で購入よりアンリミテッドの方が利益出ている。アンリミテッド収益無視できないどころではない。Kindleアンリミテッドとは、毎月980円支払っているユーザーだけの読み放題サービスだ。いくら読もうと月額980円は固定。しかし全てのKindle書籍が対応しているわけではなく、ラインナップは限られている。
Amazon.co.jp: 読み放題対象タイトル - Kindle本: Kindleストア
一方出版側には、読まれたページ数に応じてロイヤリティが支払われる仕組みになっている。単価は変動制でよくわからない計算になっているが、出版の母数が増えれば増えるほどページ単価は下がるみたいだ。
Kindle Unlimited および Kindle オーナー ライブラリーのロイヤリティ | Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング
アンリミテッドユーザーは商品に対して個別に料金を支払うわけじゃないから、選んで読み始めるまでの敷居が非常に低い。僕みたいなどこの馬の骨かわからない人が出しているKindle本でも、気軽に手に取っておもしろければ読み進めてくれる。アンリミテッドのサービスは日本では去年に始まったばかりで、未対応のKindle本が多く日本ではユーザー数が少ない。今後アンリミテッドユーザーが増えれば、購入の利益よりもアンリミテッドの利益が優るかもしれない(しかしページ単価も下がるのであれば、あまり変わらないのか?)。
僕はKindleアンリミテッド契約してないけれど、雑誌とか毎月たくさん読む人ならオススメかもしれない。読む本が増えてきたら契約したいです。
プライム会員であればKindleオーナーライブラリという読み放題コーナーもある。ただしこちらはもっと数が少ない。
個人投資家の人と話す機会があり、投資関連の本を何冊か読んでいる。今回読んだのは2012年に亡くなられた邱永漢の『損をして覚える株式投資』。これを読むに至ったきっかけは、知り合いの個人投資家が邱永漢の本を勧めており、ブックオフで100円で売っているのを見かけたから。
邱永漢という人は台湾生まれ、日本人の母親を持つハーフで、後に帰化している。東大経済学部を出ているが本業は作家。帰化前には当時外国人として初の直木賞受賞だったそうだ。でもどうやら株で成功したことのほうが有名らしい。株に関連する本もいっぱい書かれている。
友達、恋愛、仕事、お金、結婚といった現代人の素朴かつ根源的な悩みについて、この本では「ソクラテスに訊ねる」という構成になっている。文章は対話形式になっており、ある日facebookで友達申請が来た自称ソクラテスのおっさんと道端で出会い、お悩み相談をすることになるという進行。著者は古代ギリシャ哲学の研究者で、このようなソクラテス入門書だけでなく専門書や論文も書かれている。
彼はライターで胸をとんとんと叩いた。「もうからっぽだ。かつては何かがあったんだよ、ここに。ずっと昔、ここには何かがちゃんとあったのさ、マーロウ」
位置No.7672-7674
今回読んだのは、村上春樹が影響を受けたレイモンド・チャンドラー著『ロング・グッドバイ』を村上春樹自身が翻訳したもの。「影響を受けた」っていうのが実によくわかる文章で、これぞハードボイルドという感じだ。しかし、書いたのがアメリカ人だとなんでクサさを感じないのだろうなー。これが日本人だったらと思うと、この本はクサいセリフの見本市になる。
以前に個人投資家に勧められた『億万長者を目指す バフェットの銘柄選択術』を読んだ。僕は億万長者など目指していないが「10年以上読み続けられている」と呼び声のある名著らしく、中古で買っても1200円以上する(定価1700円)。著者はウォーレン・バフェットの息子のかつての妻で、バフェットと今も親交のあるメアリー・バフェット。そして30年以上バフェットの友人であるポートフォリオ・マネジャーのデビッド・クラーク。
内容は世界最高の投資家ウォーレン・バフェットの、株の買い方。この本が他の本と違うところは、株本にありがちな経験談やインスピレーションではなく、具体的な指標を書いているところ。特にファンダメンタル分析に用いる計算式がやたら出てくる。飽くまでバフェットの指標ということで数学的な正しさを示すものではないが、過去にバフェットが購入した銘柄を指標と計算式を用いて実例検証している。
本の中にはいくつも計算式が出てくるんだけど、その都度「Excelにこうやって入力すれば1秒もかからない」といって式を書いてくれている。せっかくだから僕はその式をエクセルシートに落としてみた。具体的には本の第22章「バフェット流投資のためのワークシート」をエクセルに落とした。Q9のインフレ率とQ11の国債利回りのところは省いてあるので、必要なら自分で追加してください。
※即興で作ったものだから間違いがあるかもしれない
続きを読む岩波青版のかなり古い本「写真の読みかた」。書かれたのは1963年、著者は名取洋之助という報道写真家、編集者。ドイツで報道写真家としてキャリアをスタートし、報道写真という概念を日本に持ち込んだような人。
この本は「写真の読みかた」というタイトルだが、書かれているのはどちらかというと「写真の見せかた」だった。しかも最初は写真の歴史からはじまり、全体の半分ぐらいは著者の自伝に割かれている。見せ方にしても、著者はアート写真に批判的な人で、主に新聞や雑誌に掲載する報道写真について書かれている。
よい写真とは、写真の最大の機能であるコミュニケーションの手段として、最もわかりやすく、面白く、かつ感動させるものであるべきだった。作者が自分と、ごく少数の仲間だけで楽しむ写真などは、最大の機能を忘れたものとして、否定すべきであったのです。 p89
8/11から16のお盆の間ずっとやってるみたいです。時間帯は朝10:00から夕方17:00まで。昨日は雨も降っていたけれど今日は降らず、ゆっくり見て回っていました。僕が行ったのは昼の2時頃。人はこのとおり多い。年齢層もまんべんなく。
僕が見て回っていたのは主に文庫とか新書。それ以外に古文書のような文献や、古い雑誌、ポスター、レコードやCD、一部マンガもありました。店舗数が40と多く、一日で見るのはけっこう大変です。
"人は宗教的信念によって行うときほど、喜び勇んで徹底的に悪を行うことはない"
―パスカル 『パンセ』
岩波新書「魔女狩り」(著者:森島恒雄)を読んだ。この本はドイツ、フランス、スペイン、スコットランドといったヨーロッパ諸国において、中世から18世紀まで続いた『魔女狩り』がどういったものか、その実態を調べたものだ。現代を生きる多くの人は「魔女狩り」について歴史の授業かなにかで学び、概要を知っていると思う。
例えば、ジャンヌ・ダルクの名前を真っ先に思い浮かべる人もいるかもしれない。百年戦争の英雄だったジャンヌ・ダルクは、異端審問により火刑で死んでいる。実は、これはいわゆる「魔女狩り」には当たらない。このような「異端審問」と「魔女狩り」の違いなども本書では明確に記述されている。
魔女と言えば、ディズニー映画や童話などに出てくる老婆を思い浮かべるかもしれない。しかし実際に「魔女裁判」で殺されたのは"いわゆる魔女"として思い浮かべる老婆だけではない。若い女性もそうだが、男性や子供など魔女の烙印を押された人間は、誰かれ構わず殺されている。
果たして、魔女はいたのだろうか?15世紀から18世紀の魔女裁判で「魔女」として殺された人たちは、30万から900万人と言われている(p201)。全体としての具体的な統計は残っていないため、推定にばらつきがある。ただ「魔女旋風」と記された時代においては、その具体数はかなりの数にのぼっている。
ジュネーヴでは3ヶ月に500人(1513年)、トレーヴス(ドイツ)では7000人が焼かれ、そのために二つの村は全滅し、別の二つの村では生き残る者女2人だけとなった(1580年代)。ザクセンでは1日のうちに133人(1589年)... p6
彼らは全員魔女だったのだろうか?そんなわけがないことは明らかだ。では何故このような「魔女狩り」が行われたのだろう。「魔女狩り」とは一体何だったのか。
多動日記は、高城剛がヨーロッパを旅行中に書いていた日記。タイトルは日付と滞在先になっているが、滞在先にはほとんど触れておらず自身の意見だけを述べている。著書「2035年の世界」のことが触れられているから、書かれたのはおそらく2014年のあたりだろう。多動日記の発売は電子版のみで、出版社を通さない高城未来研究所からの直販。黒本と同じスタイルだ。黒本は本人のメルマガからQ&Aを抜粋しただけで380円とお手頃な価格になっているが、この多動日記はそれとは違い高城剛の意見しか書かれていない。
黒本などのQ&Aにはよく「高城剛のフォロワーがなんでこんな質問してるの?」と思わざるをえない低レベルな内容にも高城剛が懇切丁寧にはぐらかしている。今回の多動日記にはそういう無駄な部分が省かれているため、メルマガを購読していない僕は読んでいておもしろかった。値段は680円だったかな。
続きを読むディズニーランドは、「キマった」人が作った「キマった」人たちにとっては夢の国だろうが、そこにシラフの老若男女行って楽しむなんて、「キマった」人々には悪夢に映るだろう。現世そのものが「キマった」ように感じるから。
位置No.215-217
『ハイファに戻って/太陽の男たち』の文庫を買った。今年(2017)の6月に発売されたものだ。これ、なんで文庫化されてんの? 原著が発表されたのは1960年代、日本語版は2009年に単行本が出ている。著者はガッサーン・カナファーニー、この人有名なの?文庫は新刊として街の本屋に置かれ、帯には西加奈子の推薦文が書かれている。すごく違和感を覚える。
というのは、外国の小説って全然文庫化されていなかったりすぐ絶版になっていたりするから。事情は知らないが、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』だって文庫化されていない。ジョン・アップダイクの『ケンタウロス』だって文庫化されていない。他にも翻訳すらされていない、文庫化されていない、絶版になっている著名な本がたくさんある中で、なぜ『ハイファに戻って/太陽の男たち』の文庫化なんだ。そんな人気が高いの?何か事情があるの?経緯がすごく気になる。
ガッサーン・カナファーニーはパレスチナ人のジャーナリスト兼作家、パレスチナ解放闘争の活動家だった。1972年、レバノンのベイルートでイスラエルの諜報機関モサドによって車に爆弾を仕掛けられ、暗殺されている。一方で小説はというと「現代アラビア語文学の傑作」と評価されている。このような経歴の著者だから、読んで幸せな気持ちになる作品ではない。しかし人間生きていれば、とことん悲しい気持ちになったり暗い気持ちになりながら、悲劇について考える時間も必要なはずだ。
それでは数が多いので全部紹介できないが、一部引用したりしながら紹介してみる。
小説?散文?校舎に包帯をぐるぐると巻いていく話。パラパラマンガ見てるみたいだった。
包帯に摑まったその子が、顔をこっちに突き出す。修復途中の窓ガラスにあたってしまう。私たちは慌てて窓を開ける。その子がもう一度顔を突き出す。非常ベルで光った赤い顔がはっきり見える。苦笑いしてる。
なんか頭のなかで浮かんだ言葉を片っ端から書き並べたような文章。
けど、 ドンキに行ったこと二回くらいしかない、のに、これ歌えるのってすごくない、この歌のひろまりぐあいすごくない、この歌、作詞作曲したひとすごくないですか、
短編小説。クローン人間の一生みたいな話。寝ている間に夢を見て、夢であることを自覚できることもあるんだったら、意識的に夢を見ることができる人がいてもおかしくない。20歳のときにできた子供と50歳のときにできた子供へ遺伝する情報に30年間分の差があるとしたら、記憶の遺伝があってもおかしくないよなーと思った。
実体を持たない集団が語る声を、実体を持つ個はその耳でもって聞くことができるのか。
実と虚のふたつの空間を隔てるものがボリスの認識にはなかったといえる。
歌集。ヒドゥン・オーサーズ作品群の中で一番好きかもしれない。それは多分僕が若々しいものと都市の雰囲気を好む傾向があるからだろう。状況描写と心象の組み合わせが好きです。
明らかに異様な音を立てていた間違ったとこ開けようとして
統合失調症の人の頭の中を文章でつづったらこんな感じになるんじゃないか。いろんな意識が溶け合って混ざりだしてはっきりしない。
ねえ、私はスーパーのこと、これからマーケットと言うようにしたいんだけど。と 試しに今の夫に相談してみると、スキニシタラ、と言われた。
高校の文芸部の部誌『北陵』第100号発刊記念の冒頭挨拶文が延々と続く。最初はすごく笑っていたけれど話がどんどん未知なる方向へ展開していってわけわからなくなったと思ったらまとまってくる。
つまりは鳴海高校文芸部の初代部長はそもそも人類と出自を異にしているのではないか、という議論が持ち上がったのも無理からぬことです。
歌集。とにかく女の人っぽい。持ってくる題材や目線、見る対象。
あのひとは光に乗ってしまうのではないかというほど咳していました
ヒドゥン・オーサーズの中で一二を争うほど一般人が読める文体で書かれている短編小説。近所で餌をやっていた猫が死んで埋めに行く話。
少なくともここであれば穏やかに眠ってもらえそうだ。自分が死んだときもここに埋めてほしいとさえ感じた。
本当は全部読んだし好きな部分や感想もいっぱいあるんだけど長くなるしめんどくさいんでやめます。ぜんぜん違うぞって苦情は甘んじていただきます。
続きを読む読みたい本が増えてきてせっせと欲しいものリストに追加している。しかし手元にはまだ読み終えていない本が1、2、3、8冊ある。中には借り物もあって、こちらから先に読んでいかなければならない。それにしても、このように読みたい本がどんどん溜まっていくこともあれば、全く無いこともある。本が読みたいときに、読みたい本が見つからない、そういうことって多々あるんじゃないか。読みたい本はどうすれば見つけることができるのだろう。その経緯を少しまとめてみた。
村上春樹が7年前に書いた長編小説「1Q84」を昨日読み終えた(「騎士団長殺し」はまだ読んでいない)。読んでいてどうしても気になったのが、この本セックス多すぎない?もともと性描写の多い村上春樹小説だが、それにしても1Q84は多い。ところどころでやりまくりだ。挙句の果てには世間を騒がせる細身巨乳の女子高生作家「ふかえり」とまで行為に及んでいる。読んでいて「結局やるんかい!」と思わずツッコんだ読者も多かったことだろう。
コンドームをつけなくていいのだろうか、と天吾は不安になった。(文庫版4巻p51)
ギリヤークじんはサハリンにすんでいてアイヌやアメリカ・インディアンとおなじでジをもたない。キロクものこさない。わたしもおなじ。 #1q84bot
— ふかえり@1Q84 (@HukaeriBot) 2017年5月13日
この小説ではトータルでいったいどれだけ性行為が行われたのだろう。もしかしてあの「ノルウェイの森」を越えたんじゃないか。気になって数えてみた。こんなバカなことを既に思いついて調べた人もいたと思うが、ネットで検索しても出てこない。「1Q84」「ノルウェイの森」以外はどうだろう。手元にある村上春樹作品を全部引っ張り出して数えてみた。
一週間ぐらいかけて1Q84を読んだ。率直な感想としては、村上春樹の本としては珍しい部類だった。まず、暗い話ではなかった。何事もなくすんなりとハッピーエンドを迎える。村上春樹の新しめの作品はハッピーエンドな傾向が高い。たとえば「海辺のカフカ」もそうだった。万事解決して終わる。多崎つくるはどうだったか忘れたが、ある程度解決していたように思う。それにしても、何事もなくすんなりと終わるのは珍しい。
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