夏が戻ってきて

今日は暑かった。携帯の解約をしようと思い、昼に携帯屋へ行こうと外へ出たら日差しがきつく、眩しかった。僕は綿のサマーニットと長袖のTシャツ、ジーンズにスニーカーという格好だった。道行く人は女性も男性も大体が短パン、タンクトップ、もしくは半袖シャツ、サングラス。ソフトクリームを露店販売するトラックまで営業している。携帯屋までは地下鉄で二駅ほどの距離。僕は歩いて向かった。周りの人の服装が答えだった。暑い。帽子、シャツ、脚、全部暑い。歩いていると全身から微かに発汗する。帽子を取れば風が強く、髪が顔にかかるためまた被り直す。日陰の道に入ると思った以上に涼しかった。少し寒いぐらいだ。

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携帯屋は閉まっていた。元々僕が契約した店は徒歩2,3分のところにあったけれど先月潰れてしまった。このキャリアの直営店は最近軒並み閉店しており、このまま事業縮小、そして撤退するんじゃないかと思ってしまう。しかたなく二駅先の店まで歩くことになった。そして閉まっていた。幸いにもその店舗は店じまいではなく、緊急で明日まで休むという張り紙がドアに貼られていた。帰り道はなるべく日陰中心に歩くことにした。

途中、大学の敷地内を通った。どうもアジア人が多いような錯覚を受ける。以前に近くの大学生から聞いたのは、コンピュータ関連の学部はアジア人の移民かもしくは留学生ばかり、という話だった。それを聞いたせいか、どうも大学の前や敷地内を歩くだけでアジア人が多いような気になってしまう。アジア人と言ってもほとんどは中華系、稀に韓国、日本人がいるという話はほとんど聞かない。このあたりで見かける日本人と言えば、そのほとんどが僕と同じワーキングホリデー、現地で英語を学んだりバイトをしたり、僕のように何もしない人だって少しはいるだろう。

帰りは多少ましだったものの、暑い中を携帯屋まで往復して成果無し。途中スーパーに寄って買い物をしようと思ったけれど財布の中にあったのは$5紙幣1枚。何もせず暑い暑い言いながら自宅へ戻り、コーヒーを沸かしていると電話が鳴った。解約する予定の携帯電話。知人が近くへ来ているということだった。近くでコーヒーでも飲もうと言われたが、僕はまさにそのコーヒーを淹れている最中だった。家の前まで着いたらまた連絡すると言われ、電話を切った。僕はそのままコーヒーをカップに移し、先週送られてきた本を読みながら飲み始めた。

僕は思い立ってジーンズを脱ぎ、ステテコに穿き替えるとコーヒーと本を持って裏庭に出た。裏庭には簡易のイスが四脚と灰皿になっているピクルスの瓶、そして日差し。僕はコーヒーと本をイスに置くと、部屋に戻りツバのある帽子を被って裏庭に戻ってきた。暑い中、イスに座りながら熱いコーヒーを飲み、ページをめくった。昨日もそこでコロナを飲みながら本を読んでいた。去年の夏は同居人たちと上半身裸になりながら裏庭でビールを飲んでいた。ああ、この夏。戻ってきたなあ。しばらくすると再び電話が鳴り、僕は知人と、夏の日曜日に出かけた。