旅行者をタイプ別、ランク別に分類してみた

旅行を始めた当時、いわゆるバックパッカーに対しての憧れがあった。「深夜特急」や「何でも見てやろう」「アジアン・ジャパニーズ」を読んだ影響かもしれない。そして旅行を何度か繰り返すうちに、世界一周してきたようなバックパッカーたちに何人も会ってきた。彼らは旅行のこと「旅」と言う。僕はそれにすごく違和感があった。「旅行」ではなく「旅」。僕にとって旅行は飽くまで旅行であり、それ以上の何か特別な意味はなかった。「旅」という言葉には旅行ではない何かが含まれていた。それを感じたとき「バックパッカーは合わない」ということに気づいた。自分が求めている方向性とは違った。

ではいったい、自分の旅行の目的とはなんだろう。旅行者を目的別、ランク別に分類してみた。ランクの基準は難易度ということにしておこう。

 

ランクE.週末海外

駅からあるく♪ 週末台湾

  • 期間:1泊〜3泊
  • 目的:気分転換、リフレッシュ、買い物、食事
  • 行き先:極東アジア、東南アジア

女性に多い、と思われるかもしれないが男性にも多い週末海外。それもそのはずで、会社員でも土日・連休を利用すれば気軽に旅行できるのがこのタイプになる。海外ではないが温泉や国内パワースポットなどをここに入れてもいい。主な行き先はやはり移動距離の短い韓国、台湾になるだろう。足を伸ばしてタイ、香港、ベトナムぐらいもメジャーな旅行先となる。バンコクやホーチミンなどは街が集約しているため、2泊3日の短期旅行でも楽しみやすい。寺で非日常を味わったり、マッサージを体験したり、現地の食事を堪能したりといった気分転換やリフレッシュを満喫する。物価が安く品揃えも変わり種の買い物も大きな楽しみの一つだ。男性にもバンコクや香港では家電、電化製品が安くて豊富だ。凝った楽しみ方もできるが、お手軽だからランクEとしておこう。

ランクD.リゾーター

人生を変える南の島々。日本編

  • 期間:1週間前後
  • 目的:リゾート気分を味わうこと
  • 行き先:南の島など

正直なところ、この項目はわからないから適当に書く。カップルや夫婦に好まれるのがこのリゾート旅行だ。日本人の新婚旅行でもリゾートが定番であり、子供が付き添うと行き先は少し変わってくる。日本から行きやすい場所だと沖縄の島々、石垣島や宮古島、竹富島なんかが人気だ。奄美大島にもそういう場所はあるかもしれない。海外はやはりグアム、サイパン、ハワイあたりがメジャーになってくるが、パラオやバヌアツ共和国といった太平洋の島国も近くて行きやすい。島といえばクック諸島やフィジー、タヒチ、ボラボラ島、ニューカレドニアなんかも人気が高い。遠出するならヨーロッパでモナコ、マルタ、アメリカでバハマのようなオールインクルーシブリゾートなんかが有名だ。金銭的に幅広く、ランクDからSぐらいまであると思っていい。

ランクC.いいね!収集家

死ぬまでに行きたい! 世界の絶景 体験編

  • 期間:4日〜2週間
  • 目的:いいね!収集
  • 行き先:絶景、世界遺産、有名な観光地

一般的に旅行好きと言われる人たちがここに該当する。これはちょっと皮肉のような言い方だが、旅行そのものよりも、人に見せつけることが目的となっている人たち。話のネタのためであったり、人とのコミュニケーションを取るための媒介として旅行が用いられる。中には「私すごいアピール」「私幸せアピール」に必死な人もいて、小藪千豊風に言うところの「イキりたい奴」がここに該当するが、そのような評価は周りからの歪んだ見方だとも言える。特徴としては、有名かつ話題の場所を訪れる。人が知らないところへ行っても話のネタにならないから。他になんて表現していいのかわからない。別にこういう人が嫌いというわけではないが、共通するのは話を聞いても何も面白くないというところ。説明に悪意があるな。具体的な行き先を挙げると、モンサンミッシェル、セドナ、マチュピチュ、ウユニ塩湖など流行に左右される。行き先はランクCかなあ。

ランクB.旅行ファン

D30 地球の歩き方 スリランカ 2016~2017

  • 期間:4日〜2週間
  • 目的:観光
  • 行き先:行きたいところ

僕自身はここに該当する。「いいね!収集家」以外のいわゆる旅行好きも多くはここではないだろうか。ツアーを利用したり個人旅行だったり、一人で行ったり友人と連れ立って行ったり形式は問わない。このカテゴリの特徴は、飽くまで旅行先の観光が目的という部分だろう。対象は興味のあるものが第一であり、人気、不人気は重要ではない。行って、見て、触れて、学ぶ、体験する、それを旅行という手段で楽しむから、旅行ファンという呼び方をしてみた。ただ、素人のレジャーであるため、旅行期間は短い。行き先もその期間に応じて簡単に行ける場所に限られる。今一歩のところを踏み出せないまま安心・安全・スケジュール通りに旅行を終え、消化不良の感じを残すのがこのタイプの特徴でもある。具体的な行き先は人による、好みによるとしか言えない。自分で言えばスレブレニツァとかベツレヘムとか。ランクBにしたのは自分の興味を主体に置く分、自発的な行動が多くて煩わしいから。

ランクA.バックパッカー

新装改訂版 WORLD JOURNEY

  • 期間:1ヶ月〜2年
  • 目的:旅、出会い、自分探し
  • 行き先:世界中

冒頭に挙げたバックパッカータイプがここにきてやっと登場する。実はこのカテゴリも初心者から上級者までの幅がかなり広い。長期逗留型の人もいればコンスタントに移動する人もいる。このタイプの特徴としては、やはりどこか特定の場所に対する興味や執着がないということが挙げられるだろう。言うならばどこでもいい、気に入った場所、過ごしやすい場所が好き、むしろ移動にしか興味が無い人もいる。文化や民族、歴史的背景、そういうところから興味を持って目的地を選ぶような人はバックパッカー的とは言えない。バックパッカーの目的は飽くまで人との繋がりであったり、様々な苦労や思い出、達成感、発見といった自分の内面にある。「旅行好き」と言わず「旅好き」を自称しており「旅とは」なんて語りだしたりするのは間違いなくバックパッカーだ。楽器をやっている人も多い。長期間の旅が前提となり、経験や勇気という面においてAランクかなあ。


ランクS.調査団

【カラー版】アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

  • 期間:2ヶ月〜半年
  • 目的:取材、調査、好奇心
  • 行き先:秘境、辺境、人が行かないところ

言うまでもなく、クレイジージャーニーだ。仕事にしている人もここに該当するだろう。意外なのは一回の旅行がそんなに長期ではないところだけど、一生に1回や2回のバックパッカーとは違い、彼らは半年前後の旅行が一生続く。旅行ファンからこの道へ転身する人もいることはいるだろう。特徴は、旅行そのものが目的ではないというところ、自分の内面的な何かを満たすための目的でもないというところ。飽くまで対象が存在し、対象に対する好奇心が強い動機となっており、対象を理解することや体感すること、解明すること、表舞台に紹介することといった、目的がはっきりしているところだ。職業としてはジャーナリスト、作家、写真家が圧倒的に多い。具体的な行き先は、スラムとか紛争地帯とか、秘境の山奥とか。危険や失敗も多く、ランクSでないと成り立たない。

ランクS.冒険野郎

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)

  • 期間:数ヶ月〜数年
  • 目的:冒険、スリル、生きがい
  • 行き先:大自然とか

こちらもまたクレイジージャーニーの大多数に該当する。バックパッカーからここに転身する人もいるだろう。職業としては登山家、クライマー、探検家、作家など、それ以外の副業を持つ人も多く存在する。調査団との違いとして大きいのは、こちらは対象への興味というよりもその先に目的があること。冒険をするのはその過程を楽しむ、達成するためであり、その道中に何かを見つけたり興味がある対象を調査することがそのものが目的ではない。バックパッカーの延長にあるんじゃないだろうか。そうは言っても、この冒険野郎と調査団を兼ねる人も多く、はっきりと分かれている人もいればそうでない人もいる。具体的な行き先は、ヒマラヤとかアラスカとか南極とかジャングルとか砂漠とか。こちらもランクSでなければ成り立たない。

どのような旅行をするか

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さて、このような勝手な分類を一通り見てみて、あなたはどこに該当するだろうか。そして、どこを目指すだろう。これとこれは一概に分けられない、という部分も多い。もしくは、両方のタイプの旅行を楽しんでいるという人も多いと思う。今回タイプ別に難易度ランクをつけてみたが、ランクが低いからといって面白くないわけでない。初めからランクが高い旅行に出かける人もいる。それぞれの旅行にそれぞれの楽しみ方があり、自分が今まで体験したことがないタイプの旅行にチャレンジしてみればまた新たな発見が得られる。旅行したい。