大麻解禁については、個人的には反対です

医療用大麻云々のことはよくわからないが、そもそも医療用の話と一般解禁は分けて考えるべきじゃないかと思う。だって医療用の話なんて医療上必要ない人には関係ないんだから、その話と嗜好品としての大麻・マリファナ一般解禁をごちゃ混ぜに議論するのは無理があるというか、意味がないというか、とりあえず医療用の話はよくわからない。そして僕は医療上必要のない人間の立場から、嗜好品としての大麻一般解禁について反対意見を持っている。僕は今年の夏までオーストラリアにいて、その前はカナダにいたからマリファナ吸っている人は腐るほど見てきた。アメリカ(ニューヨーク)にもインドにもモロッコにもいた。特にカナダはひどかった。街中のいたるところがマリファナ臭くて、一応違法だったがもし見つかったとしても、よほどのことがない限り注意を受けるだけ、30g以上所持していたら捕まったのかな、同居していた日本人は路上で吸っていただけで捕まった。それは彼が外国人だから、示しをつけるためだろうと言われている。刑は確か罰金$50(5,000円以下)ぐらいだったともう。駐車違反よりもスピード違反よりも軽い。知り合いの一人は、アメリカの大麻農園で働いていた。理由は聞いていなけれど、女の子だ。

何故反対なのか

カナダ人の友達は、14歳のときに初めてマリファナを吸ったと言っている。僕がカナダにいたとき、彼女は家で本当にしょっちゅう吸っていたが、彼女は日本に来てもう1年が過ぎている。日本にいる間はもちろん一度も手を出していない。中毒性がどうのという話は今さら議論するまでもない(ちなみにタバコは吸っている)。カナダ人で、大麻が原因で身を持ち崩したという話は聞いたことがない。知り合いで大麻を使用していた人たちはみんな働いており、愛好者の中にはそこそこ大きな仕事をしている人もいる。カナダがいつからそんな状況だったのかは知らないけれど、少なくとも友達が14歳のころから平気で使用していたのだから、ここ10年の話ではない。つまり、カナダ人は長い時間をかけて、既に大麻との付き合いを上手くやってきたんじゃないかと思う。カナダでマリファナが半合法状態だった理由は、確か暴力団絡みだったと聞いた。ちょっと検索してみたけどよくわからなかった。興味があればどうぞ。

Legal history of cannabis in Canada - Wikipedia

A Brief History of Canada’s Views on Marijuana - Lift News

だったら反対することないじゃないか、と思うかもしれないが、日本で同じように大麻解禁をやってもそう上手く付き合うことはできないと思う。文化的な風土も違う。経験値もない。具体的な根拠があるわけではないが、基本的に大麻はダメ人間製造機だと思うから、社会全体に対していい影響があるとは思えない。ドキュメンタリー映画で「売春窟に生まれて」という映画があり、5年か6年ぐらい前に見た。インドのソナガチで生活する子供を取り扱ったドキュメンタリー映画なんだけど、そこに出てきた子供の父親は朝から晩まで一日中大麻を吸っていた。アル中のおっさんと同じだ。わざわざアルコール以外の対象を増やすことはない。

 

未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]

未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]

 

こういった人々については、アルコールを禁止したり大麻を禁止することが根本的な解決にはならない。ダメ人間は大麻がなくたって別の手段に走るだけ、大麻をなくしたところでダメ人間が治るわけではない。大麻があろうとなかろうとダメ人間はダメ人間だ。彼がそうなってしまった根本的な原因は大麻ではなく、別のところにある。だったらそれを大麻で誤魔化すことが許される社会ではなく、根本的な原因を解決することが可能な社会を目指した方がいいに決まっている。大麻が必要ない社会を。

興味本位で大麻に近付いた人が、コントロールできずダメ人間になってしまうケースもある。これは他のドラッグのように中毒性があってやめられないから、ではない。ただ楽な方へ、低い方へ流れていってしまうという意味だ。大麻が自由に手に入る環境は、そういった失敗例をどうしても増やしてしまうだろう。それは本人の意志の問題であり、本人の責任だと言ってしまえばそれまでなんだが、同じ社会で暮らす市民に対してそのような態度をとるのは、社会のあり方としてはあまりにも暖か味に欠けるじゃないか。そんな失敗例を増やすために、あえて解禁する必要はない。

大麻によって救われる人

大麻を使用することで日々の不安だったりプレッシャーだったり生きづらさを軽減できるから、大麻解禁は社会にとって良いと言う人もいるだろう。僕はそれ、完全に医療大麻の範疇に入ると思う。自由解禁ではなく病院で処方してもらえばいいじゃないか。例えば心の悩みとかであっても、精神科や心療内科に気軽に往診して、専門家の判断のもとで大麻が適切だと認められたら、処方してもらえばいい。日本においてもメンタルクリニック等へ通う敷居は、ここ10数年でだいぶ低くなった。それでもアメリカなどに比べたらまだまだかもしれないし、気軽に病院へ通うことが必ずしもいいことかどうかはわからないが、いずれにせよ日々のストレスを軽減することが目的であれば、それは嗜好品としての大麻の使用とは別の議論になるため、ここでは取り扱わない。

先ほどドキュメンタリーの例で挙げた一日中大麻を使用しているインドの親父も、ダメ人間と言ったがもしかしたら原因は心の病かもしれない。そして既に依存症になっているなら、それは医療でカバーすべき範疇の問題だ。インドでそれをどこまでやれるかはわからないが、少なくとも現時点の日本においては大麻解禁を目指すよりも、医療でカバーする方向を目指すほうが先だろう。

オーストラリアの知り合いは、旦那がマリファナがないと不機嫌になって家庭がうまくいかないと言っていた。これもマリファナがあるから救われるのではなく、なくてもいい環境づくりを目指すほうが理想的であることは間違いない。マリファナという安易な手段を取り入れたところで、根本的な解決にはならない。

もちろん酒によってストレス発散することを医療の管理下におくべきだとは思わないが、それは文化の問題でありアルコールにも問題が多々あるにせよ、日本では既に文化として浸透している。カナダのように長い歴史を経て、マリファナが文化として馴染んだ後に嗜好品として一般解禁するのであれば、それはそれでいいんじゃないだろうか。そしてそれは、日本においては少なくとも今ではないだろう。だから今マリファナ一般解禁を目指す人たちができることは、せいぜいマリファナが文化として馴染む土壌を作るために、徐々に運動を広げていくことぐらいじゃないだろうか。それこそまず医療用大麻だけを実現する方向を目指すとか、その後アメリカのように、四国や高知といった一部地域での一般使用を認める方向を目指すとか。

暴力団の資金源問題

これについても暴力団事情に通じているわけじゃないから、何とも言えない。そのマーケット規模というのは一体どれぐらいなのだろうか。一般的な見解として、国や企業が管理したほうが暴力団の温床にならないというのはその通りなんだろう。しかし、暴力団の資金源にならないために大麻を解禁するという論法は、いまいちよくわからない。暴力団のしのぎは減るかもしれないが、それは大麻解禁によって解決するべきことなのだろうか。単に警察や行政の問題じゃないの?手が回らないからと言って、そんな解決法を安易にやっちゃっていいの?それよりは、もっと警察や行政がちゃんと暴力団を取り締まれるように社会を立て直すことのほうが大事じゃないだろうか。我々が具体的に行動を起こせるのは選挙ぐらいです。

だらだらと書き連ねてしまって、結局自分で言っておきながら医療用と一般解禁がごっちゃになり穴だらけです。それでもこういう問題を少しでも真面目に考える機会が増えればいいと思います。

関連