大阪に対する特殊な思い入れ

一言で言えば、憧れ。大阪に対しては恋愛感情と言うよりも、憧れがある。大阪恋物語でも大阪LOVERでもなく憧れ。

大阪には合計3年住んでいたんだっけ。市内に住んでいた。街中で便利で過ごしやすかった。東京に住んだことがないから、東京の住心地は知らないけれど、大阪市内は狭い範囲に住宅も店舗もオフィスも混在している。梅田から難波まで歩いて行けなくもない。一度東京駅から渋谷まで歩いたことがあって、それより近い。

一時的に大阪を離れていたときは、大阪に帰りたくてカラオケで大阪LOVERを歌っていた。なんだろうあの感情は。大阪には気取らないかっこよさがある。

大阪すなわち大阪人

大阪の魅力とはすなわち、大阪人の魅力と言っていいだろう。フランクだけど、アメリカのリベラルみたいな清廉潔白さはなく、どちらかというとダーティー。おもしろさ至上主義で、見た目より運動神経より頭の良さより金持ちよりおもしろいが正義。おもしろいことがかっこいいとされ、憧れの対象になる。

かといっておもしろくなくても、居場所がなくなるわけではない。おもしろくない人は、おもしろい人にいじられる。おもしろくない人をいかにおもしろく仕立てるかが、おもしろい人の真骨頂、腕の見せどころでもある。まるでおもしろくない人まで、おもしろくなったかのように引き立つ。

このいじりといじめの境界も非常に難しい。いじめになってしまうと、当人からも周りからも引かれて、それはおもしろくない人間のやるおもしろくない行為になる。大阪人はそこが上手いのか、どうだろう。でもスッキリ笑えるような気もする。陰湿ではなく、面倒見がいい。

おもしろくないのにかっこつけたり気取っているのが一番かっこ悪い。総じてダサい認定されるから、おもしろくあろうとしないなら大阪では大人しくすべし。大阪人に対して苦手意識がある人もいるかもしれないけれど、そういうのを乗り越えてくるのが大阪(苦手な人はそこが苦手なんだろう)。

大阪でよく行ったところ

大阪に住んでいたのは10年前。夜中に天六のゲオへDVD借りに行ったり、道頓堀の一蘭にラーメン食べに行ったりしていた。生野区に住んでいたときも、朝6時にラーメン屋に食べに行ってた。近所の銭湯に行ったり、土日は喫茶店で200円のモーニング(トースト、ゆで卵、コーヒー)を頼み、マンガ雑誌を片っ端から読んでいた。

会社帰りに300円のたこ焼き買って帰ったり、休日はアメ村のヴィレヴァンやスタンダードブックストアに通っていた。心斎橋のブックオフにもよく行った。インディアンカレーや三田製麺所にも通っていた。神座もよく行った。飲んだ後の締めにも行った。当時はまだグランフロントも開発中で、僕は梅田よりも難波にいることが多かった。

大阪のお笑い芸人

大阪に住んでいると、街でお笑い芸人を見かけた。天満橋の珈琲館で小籔を目撃した。心斎橋の交差点でプラン9の久馬を見た。NGKの近くでトゥナイトなるみを見た。彼らは全然芸能人ではなかった。そのへんにいる普通の人。大阪の街に一体化している。誰も特別視していない。

道頓堀のFM802のあたりでは、いつも若手芸人が漫才の稽古をしていた。大阪では中高生も、バンドのライブに行くような感覚で、若手芸人の舞台やイベントに行っていた。大阪には若手芸人だけの劇場があり、老若男女がお笑いに親しく、劇場などのリアルイベントに参加する印象。僕は大阪で学生時代を過ごしていないから、直接は知らない。関西ローカルの若手芸人の深夜番組などを見て育った身としては、観客がそういう感じだった。

音楽や、演劇や、映画といった文化よりお笑いが一歩前に出ている、親しまれている印象だった。

大阪憧れとは

大阪に対する憧れは、そうなれない憧れ。力強い大阪弁、物怖じしない大阪、執着しない大阪、男気のある大阪、テーマパークのような大阪。大阪に住んでいた時期は、決して楽ではなかったけれど、大阪という土地には夢と思い出がいっぱい詰まっている。