自分を甘やかすのが得意ではなくて

朝ドラ「寅に翼」を見ていたら、つらいときに贅沢してやり過ごしていた、みたいに言う部分があった。僕はそういうの、全然できないなーと思った。つらいことがあっても、美味しいものを食べて帳尻を合わせる、みたいなこと。実際に帳尻は合わないだろうけど、気休めにもならない。

何かのキャッチコピーみたいなのでよく「自分へのご褒美」があったと思うけど、それの種類違いってことだろう。あーいうの全然できない。やりたいときにやりたいことをやることはあっても、それでつらいことが帳消しになったり誤魔化せたり頑張れたりはしない。食べたいものをいくら食べようと、つらいもんはつらいし、自分の気持ちは誤魔化せない。それってやけ食いと何が違うのか。後でよけいにつらくなる。

やけ酒はよくするけれど、それで「はースッキリした、落ち着いた」なんてなることはない。余計に憂鬱になる。次の日にも響く。ストレスで服とか物とか爆買いしたこともあった。そんなものはつらいことの帳消しにならないし、そんなことをしても後悔しかない。その瞬間は気が紛れるかもしれないけど、冷静になるとただの無駄遣いで落ち込む。

多分、つらいときは何やってもつらいから、味が美味しいとか思えない。何も自分の助けにはならない。むしろ落ち着いているときでないと、自分の好きなものは楽しめない。だから、贅沢で誤魔化して自分の精神の帳尻を合わせたりできるのは、便利だなと思う。自分にはそういう調整機構が備わっていない。落ち込んだときは、ただ時間が過ぎ去るのをジリジリと耐え忍ぶしかない。

写真は2024年、中野駅北口。