TBSを辞めた元アナウンサーの宇内さんがYouTubeに出ていて、「なぜ会社辞めたんですか!?」というテーマで話していた。僕は以前に宇内さんがアトロクを辞めたことに触れたことがあり、何の気なしにYouTube動画を見た。
その中の割と序盤に語られていた内容は、アナウンサー業がいかに大変かということだった。そしてアナウンサーに求められること、もっと言えば採用されるにあたって一番重視されるであろう要素が「タフさ」であると強調されていた。昼夜逆転は当たり前、睡眠時間2〜3時間当たり前、忙しいときは休みが月に1日あるかないかで、その1日は気が緩んで熱が出る、体育会系の部活よりも体力的に全然ハード、そういう言葉が次々出てきた。それらは働き方改革以前の話で今は改善されているそうだけど、うーんなるほどと思ってしまった。
僕は会社員時代に月の残業が100時間を超えたとかで文句を言っていたけど、そんなのはこの人達からすると屁でもない。週一でも休めている時点で全然余裕の遊びのようだ。
ブラック企業、ホワイト企業なんて言葉が使われるようになって長いけど、ホワイト企業とかホワイトな働き方っていう概念は、最前線だったり超一流の世界では存在しないんじゃないか。わかりやすい例だと、研修医とかは昔から激務だったと聞くし、今もある程度そうだろう。知り合いの医者に話を聞いたときは、過酷すぎてまずなりたいと思わなかった。仮にノー試験で医学部に入れたとしても、医学部6年の苦行がまず全うできない。そういうのをやってのけるだけで、医者は僕から見ればある意味超人の域にいる。
医者だけでなく官僚の激務も有名で、国民民主の玉木さんが官僚時代に朝4時退勤7時出勤という激務のキツさをよく語っていた。そういう人たちにとって、労働時間とか年間休日とかいう概念はあまりないんじゃないか。ブラックだ、ホワイトだ、と騒ぐのは一般企業で働く一般人だけの話だろう。
そうじゃないタフな職業では、採用のときからタフさを求められる。技術とかセンスや経験もある程度求められるかもしれないけど、いくら頭が良くて仕事ができても、それ以上にタフでなければやっていけない。そもそも稼働時間が長いんだから。
選考基準に学歴があるのも、なんとなくわかる気がする。東大京大へ受かるためには、並大抵ではない時間と体力と集中力を受験勉強に費やさないといけない。それだけ頑張れるかどうかが、まずテストされている。受かっている人は地獄の受験戦争を勝ち抜いた人で、めちゃくちゃ頑張ったか、もともと頭がいい人か。でもほとんどの人はそれ以外の受験生よりめちゃくちゃ頑張っただろう。それだけタフな人が、タフな労働環境の選考においてスタートラインに立てるのは、ごく自然なことだと思う。
体育会系の経験が評価されるのも、それがタフさの指標になるからだろう。長年地獄の練習を続けてきて、全国でしのぎを削って上位に立った経験は、その競技の技術やセンス以外でも十分に活きる素質とみなされる。つまりタフであるということ。
ただまあ実際それがどれだけ仕事に活きるかはわからない。勉強だから頑張れた、好きな競技だから頑張れたっていうことは大いに有り、そのへんは相性というかマッチングの問題だと思う。でも学生時代に一度そういう頑張った結果を残したということが、タフな環境で生きる素養があることを示す上でかなり大きい。勉強もスポーツも、なんなら文化的な分野でも結果を残していれば尚強い。分野を問わず頑張れる人であることの証明になる。
宇内さんは過酷な労働環境だったり、もともと関心のなかったスポーツや経済番組を担当するようになっても、ストレスで病むようなことはなかったと言う。むしろ新しい分野に興味と意欲を持ってのめり込んでいったそうだ。そういういろんな環境下におけるストレス耐性や適応力みたいなものは、仕事を続ける上でかなり重要になってくる。なんかそういう片鱗でも学生時代に培っておけたら、採用の時点で他から一歩リードできるんじゃないか。
ただ僕が学生時代にこういうことを実感していたとして、受験勉強やスポーツ競技を頑張って世の中を引っ張っていく仕事に就いたかというと、あり得ない。そういうのを平気で頑張れる人だけが、タフな仕事に就いて世の中を引っ張っていくんだと思う。僕自身は受験勉強も部活も何一つまともにやってこなかったし(強いて言えば高校受験は頑張ったかもしれないけど)あまり勉強しなくても入れる大学に入り、無為に4年間を過ごして一般企業に入社し、文句を言いながらイヤイヤ仕事をやって10年経たずに辞めた。
世の中の最前線に立てなかったとしても、一人の人間の人生としてはどこかのタイミングで何かをタフに頑張ることで、挽回だったり道筋を立てることができるかもしれない。何にでもタフにはなれなくても、どの分野だったらタフになれるか。
以下は完全に余談。