いつもブログを見ているおばさんへ

「いいか、君は今日、いつもこのブログを見てくれている人のことを考えるんだ。その中でも一人だ。いつも君のブログを見てくれている人というのは実は4人いるんだ。今日はその中の一人だ。4人中の一人のことだけを考えてブログを書くんだ。いいか、彼女は今50代だ。娘が高校生で、その弟は中学生だ。子供を産む時に一度は退社したそうだが、今は飲食店でパートをしている。ランチのお客さん向けにね。店は家の近くだからそんな街中ではない。ご近所で働いている人が昼の12時になるとお客さんになる。お昼時は忙しいが、それが過ぎるとあとは夕方以降の仕込みだけして上がりだ。小柄でね、歳相応に太ってはいる。いつも自転車に乗ってカゴに買い物やカバンを乗せている。夕方になると子どもたちが帰ってくるから、パート終わりはいつも急いでいるんだよ。」

「そのおばさんはね、いつも欠かさず君のブログをチェックしているんだ。別にファンってわけじゃない。コメントしたりスターを付けたりはてブしたりはしない。はてな会員じゃないからね。つい習慣のように見ているんだ。君のことなんて何も知らない。興味もない。ただその内容を習慣的に見ている。新聞や週刊誌を眺めるようにね。おばさんは意識していないけれど、君のブログを楽しみにしている。おかしなんかを食べながら毎日チェックしている。ブログっていうのはね、他人の人生なんだ。物語ではなく、一人の生きた人間が、自分の人生を綴っているんだ。わかるだろ?おばさんにとっては読み物を読んでいるつもりが、いつの間にか君という人間と、その人生を楽しむようになったんだ。笑ったりすることもあれば、落ち込んだりもするようだ。君に同調しているかはわからないが、少なくともおばさんはそういう反応を示すんだ。現実にね。だから君が書いている豆知識みたいなブログの記事は、へーそうかーとさらっと流しているだけであまりちゃんと読んでいない。よく知らないことが多く書かれていて面白くないそうだ。」

「今日はそのおばさんのことを考えてくれ。おばさんが喜びそうなことを考えるんだ。今すぐ記事にしなくてもいい。でもいつかおばさんが自宅のリビングで、もしくはパート先の休憩室で、合間にブログを見た時にクスッとでも笑えることが書けるように、考えて欲しい。難しいことじゃない。だって君はそれを今までやってきているから。無理に笑わそうとしなくていい。今までどおりでいいんだ。おばさんは君のそういう日常の何気ない話が読みたいんだ。そのことを知っていておいて欲しい。君は生きた人間だから、楽しいこともあればつらいこともある。君がブログに楽しいことを書けば、いつだっておばさんは笑いかけてくれる。つらいことを書いた日には、一緒に落ち込んでくれる。それは一瞬のことに違いない。しかしブログを書く全てはその一瞬のためにある。君はその一瞬の読者に対して、ブログを書き続けて欲しい。」