やり残したこと

ニートの歩き方を読んで、人生でやり残したことはなんだろうと思った。phaさんは満喫したからやり残したことがないと言っていた。自分もないと思っていたが、今死んだら、死ぬ直前に何を後悔するかもう一度考えてみる。

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
 

もっと具体的に想像してみよう。トンネルが崩落して、解体まで1ヶ月かかるなか、取り残された。死を目前に、私は一体何を後悔するだろう。死ぬまでの長い間、じっくりと何を想像するだろう。

やり残したこととは、所詮想像できる範囲の中で、実行可能な範囲しかない。だから、有名になりたいとか金持ちになりたいとかそういう非現実的なことは含まれない。あくまで想像できる範囲で、可能な範囲。その中で、自分の望むこと、やり残したこととは一体。結婚は、望まない。子供も、望まない。車なんかもちろんいらない。家もいらない。一般的なところでは、もう望むものというのはあまり残されていない。死ぬ間際にやっておけば良かったと後悔するようなこと。なんだろう。親孝行とかは、申し訳ないけどこれ以上にないぐらいしたと思っている。何もしていないけど、簡単な大学も出たし就職もした。金もせびっていない。うちの親が僕に対してそんなことを気にしてなかったのは知っているが、それでも世間体を保てただろう。それ以上は無理だ。

経験したことはいくつかある。やっておかなければ後悔してたであろうこと。旅行はその一つだった。ヨーロッパ、中東、アジア、アメリカ、そのあたりをざっと見た。アフリカと南米も見たいと思うが、死ぬ前に後悔するほどではない。異国訪問というカテゴリで消化した。同様に、山に登りたいという気持ちがあったものの、それをしなければ死んでも死にきれないというほどではない。登山家でもハイカーでもないから。でもこの辺りは強いて言えば、リストに含まれるな。死ぬまでのやることリストに。ただどちらも死に直結するし、願望度も低いから順番としては最後かな。

人生は長い。後からいくらでもやれることを今焦ってやる必要はない。今は今やるべきことをしっかりとやっておくべき。という意見があるかもしれない。しかし、人生が本当に長いかどうかなんて誰にもわからない。今も後も同じなら、今やるに越したことはない。今やるべきこととはなんだ。蓄えか?家庭を築くことか?キャリアを積み上げることか?むしろそれが本当にやるべきことかどうかの方が疑問だ。自分の身の回りには、独身の中年で不健康な体をした平社員がいくらでもいる。結婚して必死な人もいる。その二つが大多数で、これらがやるべきことをやった姿だとすれば、それほど惨めなことはない。我慢の末の姿だとしたら、そこにはやはり我慢以外は何もなかったように思える。

外国に住みたいというのが一つある。住んでどうするのかと自分でも思うけど、全く違う環境に1年かそれ以上身を置きたい。できれば堅苦しくないところがいい。文化や宗教、習慣、伝統でガチガチなところはとても無理だ。気が乗らない。自由なところがいい。金も仕事も言葉も何もかもが不自由だが、敢えてそういう環境で身を滅ぼすのも良いかもしれない。身を滅ぼすかどうかは、人とのつながりにかかっている気がする。つてを探して、つてを見つけるか。無いけど。そうか、旅行でやったように少しずつハードルを上げていくという手段もある。