あなたがもし30歳以下ならば、ワーキングホリデーもある

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決して勧めるわけではないけれど、あなたがもし30歳以下ならば外国で1年暮らせます。僕がとった手段と経緯と、他の人の事例を載せたいと思う。良い悪い、合う合わないはわからない、ただ手段の一つとして、選択肢の一つとして挙げてみる。

僕の場合

僕のケースについてはこのブログにいくつも詳細があるけれど、簡単にまとめてみよう。まず、僕は大学を卒業したあと就職した。俗に言うブラックではなかったけれど仕事を続けるのが難しいと感じ、3年ぐらいずっと辞めたいと思っていた。しかし辞めてもやることがないから渋っていた。そんなときにワーキングホリデー制度を教えてもらった。
僕は以前から旅行をしたり、バックパッカーのポッドキャストを聞いたりしているうちに「一度外国に住んでみたい」と思っていた。ワーキングホリデーは、英語も喋れない、外国に住んだこともない、コネもない、そんな海外初心者の僕にうってつけの制度だった。会社を辞める3ヶ月前頃からエージェントに通いだし、退職後トロントに来た。

ワーキングホリデー

大学生の時によくワーキングホリデーに行っていた学生がいた。僕の友人にもいた。僕は当時ワーキングホリデーという言葉は知っていたものの、それが何なのか知らなかった。大学経由で行う留学の一つだと思っていたし、大学生が行うものだと思っていた。
ワーキングホリデーとは単なるビザの一種だった。30歳以下の人に許可される1年間の滞在を許可するビザ、同時に就労や学校への入学が許可される。ただ許可されるだけで、基本的に何も用意されない。行ける国は、オーストラリア、カナダ、イギリスがメジャーで、日本では主に大学生が英語を学ぶために渡航する。他にニュージーランドやドイツ、フランス、デンマーク、アイルランドなどにも行ける。国ごとに手続きや制度、費用や条件が異なるので、各ビザに合わせた用意が必要となる。例えばイギリスは2年間の滞在許可があったり、アイルランドは年齢制限が25歳までだけど条件を満たしていれば30歳でも行けたり、カナダは1年間のうち半年しか就学できなかったりなど。

エージェントとは

エージェントとはその名の通り代理店だ。ワーキングホリデーの概要や準備、ビザの用意、学校の選定、旅行保険の紹介など一通りサポートしてくれる。そのためワーキングホリデーそのものが「エージェントの用意するパッケージ商品」という印象を与えがちだ。実際はエージェントを介する必要もなく、全部自分で手続きできる。ただ初めての人は何も知らなかったり不安だから利用するケースが多い。
エージェントはたくさん種類があり、どこがいいのかわからない。中にはフルサポートしてくれる代わりに10万近い手数料がかかるところもあると聞いた。
僕が利用したのは社団法人の日本ワーキングホリデー協会で、費用は3年間で5,000円だった。「たった5,000円?」と思うかもしれないが、5,000円はただの代行費用で学費や渡航費は当然別に必要だ。エージェント自身はだいたい語学学校に学生を紹介するマージンで成り立っている。だから当たり前のように学校へ行くことを勧められる。紹介セミナーもそんな内容が多い。ここのデメリットとして学校に行きたくなければ少し面倒かもしれないということと、現地でのサポートが無いこと。
日本ワーキング・ホリデー協会

以前の同居人Tくんの場合

僕は大阪で1年間シェアハウスに住んでいたんだけれど、そこに同居していたTくんはワーキングホリデーを2回利用していた。オーストラリアとニュージーランド、さらに家を出た後はイギリスに行った。歳は31で既にビザの手続を済ませていた。28歳ごろから外国と日本を行ったり来たりしていることになる。彼の場合、エージェントなどはそもそも利用していなかった。オンラインでビザの手続を行い、旅行保険も入らず、語学学校も行かずに単身40Lのバックパックとギターをかついでロンドンへ向かった。お金も直前の半年間に倉庫で働き、50万円ほど用意しただけだ。
彼の動機、英語力、今後の見通しなどは不明だ。イギリスへ行って3ヶ月ほど経ってからバーの仕事を見つけ、働きながら生活している。その間旅行でスペインやモロッコに行っていたみたいで、裕福ではないけれど悠々自適の生活を送っているようだ。

以前の同居人Mさんの場合

彼女もシェアハウスに住んでいた人だ。歳は27歳。日本では元々歯科衛生士として働いていたものの、旅行が好きで働きながら3ヶ月間沖縄に行ったりなどしていた。その後、正式に職場をやめて、ワーキングホリデーでニュージーランドに1年間滞在した。僕らが同居していたのはその後で、日本に帰ってきてからまた歯科衛生士として1年ほど働き、今はまたワーキングホリデーにてバンクーバーにいる。彼女はあまり英語が得意ではないので英語の学校に2ヶ月ほどだけ通い、現地で仕事を探すみたいだ。
彼女の場合は日本に帰ってもある程度手に職があり、僕やTくんのケースとは違ってある程度安定している。安いエージェントも利用し、海外旅行保険にも加入していた。

先輩の友人の場合

会社員の頃の先輩の友人にも、ワーキングホリデー利用者がいた。詳しいことはほとんど知らないけれど、会社を辞め、30歳手前でアイルランドへ行った。この人は元々外国で働きたかったらしく、行く前から具体的なプランが有り、最初語学学校にて英語を学んだ後、現地の大学へ入学し、MBAを取得した。そのためにずっとお金も貯めていたそうだ。ちなみに在学中は留学ビザだと思われる。今はドイツの会社で働いているそうだ。目標を持って渡航したという僕らとは全然違うケースだけど、ワーキングホリデーの後に現地の大学に行くというパターンは結構多い。

お金は?

例のように、用意するお金もそれぞれ違ってくる。僕は語学学校に半年通ったのでそれが60万円、保険が12万円、飛行機代が15万円、在学中の生活費として月10万円の計算で60万円ぐらいでだいたい150万円ほど用意した。パスポートを持っていなかったり期限が切れていればその費用も3万ほどいる。ビザの申請費用も1万から2万ぐらいいる。
今ちょうど渡航後6ヶ月が経過しようとしている。その間ニューヨークやケベックなど泊まりで旅行するレジャーにもお金を使った。予定より10万ぐらい余っているが、生活費は6ヶ月分しか計算していないので来月以降はアルバイトをするつもりだ。

Tくんはたった50万円でイギリスに向かい、3ヶ月目から働き出してやりくりしている。Mさんは保険も入り2ヶ月だけ学校に通ってそのまま働く予定みたいだから、せいぜい100万ぐらいじゃないだろうか。先輩の友人は大学の学費などかなりかかっただろう。

帰ってきた後どうするの?

ワーキングホリデー終了後について、僕や元同居人たちのように行き当たりばったりケースと、先輩の友人のように具体的な目標があるケースに分かれる。本当は目標、目的を持って渡航するのが一番で、現地で頑張り、成果を出して終わった後つなげられるのが理想だと思う。その方が滞在中も、ステップアップしたその先の人生も充実するだろう。
ただ、僕はそもそも渡航そのものが目的であり、会社を辞めてやることがなかったからというぼんやりした理由で来ているので、ワーキングホリデーが終わった後どうなるかなんて全くわからない。むしろどうもならないだろう。最近闇金ウシジマくんを読んでいるがあそこに出てくるような人になるんじゃないだろうか(11巻あたりの「サラリーマンくん」は泣ける。仕事が頑張れる人はどうか恵まれて欲しい)。

だから「仕事が辛い」「本当はこんなことしたくない」「日本から逃げたい」などのネガティブな理由で安易に渡航を勧める気にはなれない。僕の会社員時代の同期だった人は結婚して子供を持ち、家庭を築いてそれなりに年収が上がっている人も多い。持ち家を購入した人も少なからずいる。仮に仕事がきつくても30歳以下なら転職の可能性だってある。転職せずとも会社によっては休職して復帰できたり、異動させてもらって自分を活かせる場所を見つけた人もいる。結婚だって望めば間に合うかもしれない。ただ、全くそういう境遇じゃない人もたくさんいると思う。
どちらがいいと思うか、その判断は自分次第です。先輩の友人のようにドイツで働いている人もいれば、僕やTくんのような人も世の中にはいる。僕については少なくとも将来性は全くない。かといって、僕の場合そのまま会社員を続けたら自殺すると思っていたので、今の選択が間違っていたとも思わない。 
関連:大人のワーキングホリデー - Letter from Kyoto

ワーキングホリデーinオーストラリア (電撃ジャパンコミックス)

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