これがキングダムの一般読者層…?

僕がキングダムを読み始めたのは2年ほど前だったか、ちょうどアニメ化がどうこうという話が出ていた頃だったと思う。当時僕はキングダムというマンガの名前こそ知っていたものの、どういう話かは全く知らなかった。人気があるということは知っていた。ある日友人の家に泊まることになり、そこでマンガの話をしていた時おすすめのマンガということでその友人からキングダムの名前が挙がった。僕は名前を知っていたけれど内容を知らなかったから「どんなマンガなの?」と聞いた。

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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「うーん、三国志のマンガ?」

三国志。僕は三国志について蒼天航路というマンガやゲームの三國無双、その他歴史の一般教養で少し知っていた。特に蒼天航路の印象が強く、好きな武将は楽進だった。

「それって今どこまで進んでいるの?三国志だったら呂布とか死んだ?」

「呂布?呂不韋だったらいるけど」

呂不韋?誰だそれ、聞いたことがない。三国志で呂布がクローズアップされないなんてことはまずあり得ない。そして呂不韋って誰だ。その他に話を聞いても武将の名前は覚えていないとか三国志の武将を挙げてもそんな人はいないという返答ばかりで「これは三国志のマンガじゃないな」と思った。

その後実際にキングダムを読む機会があり、出だしから思いっきり春秋戦国時代を舞台にしたマンガと書かれており秦の始皇帝が皇帝になるまでとその傍らにいた武将を寓話的に面白くした話であるということがわかった。三国志?全然違う。僕が友人に対してその時思ったのは

こいつ何を読んでたんだ?

読んでいない人が絵柄や概要だけ見てそういう印象を抱くのは理解できる。でも彼は「キングダムが面白い」と僕に勧めてきたんだ。なのに三国志だと思っていた。おそらく彼にとって、キングダムが漫画的に面白ければそれでよく、それ以外の何かはどうでもよかったのだろう。三国志を舞台にしていようが春秋戦国時代を終わらせた秦の始皇帝の話であろうがそんなことはどうでもよかった。彼の中にあったのは「ただマンガが面白い」ということだけであった。別にそれはいい。他人のマンガの読み方が間違っているなんて否定をするつもりはない。多くの人にとってそのマンガの舞台背景や史実なんてどうでもいいのだろう。ただマンガが面白ければそれでいい。本当にそうなのか?

これって一般読者層はみんなそんな感じなのか?別に、その後春秋戦国時代の戦記物を読んだりマンガと現実の差異を比べたり秦の始皇帝の伝記を読んで歴史を詳細に研究するのが普通だとかそんな風には思わない。僕もやらない。それでも、キングダムが三国志の話なんていう誤解、と言うか区別がつかないまま読んでいるような人は結構いるのだろうか?確かにキングダムは歴史物というよりもマンガ的アクション、バトル色が強く、それが人気を博した理由にもなっているだろう。歴史的事実をそこまで重要に描いていない。それでも、例えば作者はそういう読者の感想を聞いたらどう思うんだ?そのまま嬉しいかもしれない。これだけ幅広い層に楽しまれていればそんなことは気にしないかもしれない。それなら敢えて春秋戦国時代なんてマニアックな舞台を選んだだろうか?秦の始皇帝のマンガを描こうなんて思っただろうか?

何度も言うが「マンガが面白ければそれでいい」という態度を僕は悪いとは思わない。ただ、勿体無いと思う。僕はキングダムを読むまで春秋戦国時代に注目したことなんて一度も無かった。秦の始皇帝という名前は中学の歴史か高校の世界史で目にしたことがある程度でそれ以上の印象は持っていなかった。しかしキングダムを読むことによって、その扉は少しでも、確実に開かれた。興味が湧いた。マンガが飽くまでマンガに過ぎず、史実と大きく異る寓話であったとしても、それは確かに現実を舞台にした作品なのだ。マンガを面白く読めて、その舞台であった現実に関心が向かないはずがない。例え春秋戦国時代に詳しくなくてもそれが三国志か何だったか区別がつかないなんていうことは、僕にとってちょっと考えられないことだった。

キングダム (漫画) - Wikipedia