入院中の父に持っていった本、漫画

現在も入院が続いている。コロナではないが、コロナ禍ということもあって面会は全面禁止、病室は大部屋であっても仕切られており、患者同士のコミュニケーションがとれない。

父の入院生活は一ヶ月続いており、さぞ不安で孤独で、暇な時間を過ごしていることだろう。せめてもの暇つぶしにと思い、僕が本や漫画を持っていっている。差し入れは直接の受け渡しができず、看護師を介してとなる。

父親のスペック

70代、老眼、耳遠め、ITリテラシーは低め、YouTubeは見れるが電子書籍は触ったことがない。LINEは文字が小さく打つのが億劫、通話も耳がやや遠いため疲れる。

この時点でKindleやiPadはナシになった。電子書籍もNetflixもZoomも覚えたら使うだろうけど、ITに疎い人が今から病室で一人で始めるのはハードルが高すぎる。プライムビデオでもKindleアンリミテッドでも、入院前に使い方を覚えていれば、入院生活は多少違ったかもしれない(それが必ずしも良いことなのかわからないが)。

父は本好き、漫画好き。テレビはそこまで見ない。映画もたまにしか見ない。韓国ドラマは一時期見ていて、時代劇なども習慣として見ていた。退院後に自宅の環境を整えれば、プライムビデオ等見るようにできる。

というわけで、僕が病院に持ち込んだのは紙の本と、漫画が中心となった。ジャンルは時代物中心。

本は文庫だと場所を取らず、一冊あれば長持ちする。本の種類にもよるが、うちの父親だと数時間はもつ。ただし、読むのが疲れる。重い単行本や、極端に字が小さい本は不向き。

ねじまき鳥クロニクル

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村上春樹をほとんど読んだことのない父だったが、ねじまき鳥はよかったようだ。おそらく間宮中尉とノモンハン事件のくだりでぐっと興味を引いたのだろう。

高野秀行本

具体的には「謎の独立国家ソマリランド」「世界の辺境とハードボイルド室町時代」「世にも奇妙なマラソン大会」。父はこれまでに「アヘン王国」「未来国家ブータン」「西南シルクロード」を読んでいたため、抵抗なく読めたはず。

風の市兵衛シリーズ

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これは叔父に借りたもの。18巻ぐらいある。結果的には父にとって一番いい娯楽になっている。

独ソ戦

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2020年新書大賞ということで、気になった(注文中)。「映像の世紀」を見た父ならきっと読むだろう。

漫画

今回のことで久しぶりに、大量の紙のマンガ本を買った。近年はだいたいアプリか電子版で読んでいた。改めて紙の本で読んでみると、読みやすい。電子版で長年言われていた見開き問題もない。ただし、あまりに場所を取る。また、紙の本は暗いところで読めない。

漫画は本に比べて読む側の負担が少ないため、今回の差し入れの中心となった。しかし漫画は本当に一瞬で読み終わってしまう。入院中ともなれば、1日5冊10冊は平気で読む。

ゴルゴ13

ゴルゴ13は父が昔から読んできた。最近のものを読みたいと言われ、最新の203巻からさかのぼって6巻分を購入。ここはまだまだ買い足していける。馴染みのある展開で、一話完結なのがいい。

いちげき

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ネットで調べて買った。同じくリイド社のコミックスで、時代小説「幕末一撃必殺隊」が原作。7巻で完結しており、最後まで読み切ることができる。絵がかっこよく、物語もおもしろい。入院患者が読むにはやや暗すぎるかもしれない。

イサック

戦国時代末期、日本の銃士がヨーロッパで活躍する話。異色というか異世界転生のような設定。時代考証などはあまり詳しく書かれていない。ずっと戦闘をしている。最新巻は12巻で、もうすぐ終わりそう。

チ。-地球の運動について-

時代物と言ってもヨーロッパ中心。話題の地動説マンガ。最近のマンガらしく、常におもしろい展開が続く。ただ人が死にまくるため、やはり入院患者が読むには暗すぎる。

満州アヘンスクワッド

こちらも最近人気のマンガということで買った。主人公は関東軍の兵士だけど、途中からはほとんどその要素が関係なくなってくる。あまりリアリティは感じないけれど、雰囲気がいい。

ヒストリエ

寄生獣の人のマンガ。アレクサンダー大王の時代が舞台で、歴史にそんなに詳しくない僕でもけっこう楽しめた。世界史に詳しい父にもけっこういいかもしれない(まだ持って行ってない)。

狼の口 〜ヴォルフスムント〜

こちらもヨーロッパ歴史もの。まだ読めていない。

ギャラリーフェイク

古い漫画はどうかと思いつつ、読んでいなければいいかと思った。父は趣味と実益を兼ねて骨董に携わっていた。

へうげもの

時代物+骨董なら、父にぴったりではないかと奥さんに勧められた。巻数もあって長持ちする。まだ購入していない。

天地明察

同名の時代小説原作の漫画。9巻で完結している。天文の漫画多いな。まだ読めていない。

紫電改 343

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イブニングで連載中。太平洋戦争の戦闘機乗り、デストロイヤー菅野直の漫画。1巻しか読んでいないけれど良い。もうすぐ5巻が出る。まだ少ないから入院患者は一瞬で読み終わってしまう。

雑誌

雑誌と言っても漫画雑誌を買って持っていった。読むかなと思ったけれど、いまいちな反応だった。単行本でまとめて読めるほうがよかったみたいだ。

持っていってないもの

父は病気の都合上、絶食になることが多い。だから食べ物にまつわる本、漫画は避けている。でも病院に置いてある「美味しんぼ」は多少読んだみたいだ。

戦争は女の顔をしていない

内容が悲惨すぎて保留している。「同志少女よ、敵を撃て」の方がいいだろうか。同じだろうか。

東京の生活史

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本の重量的に負担かなと思って保留している。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

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評判良すぎて読みたいけれど、こちらも単行本が重いかと思って保留中。SFは父親好みではないけれど、いけるんじゃないかと勝手に思っている。

考察:入院中のシニア世代におすすめの漫画

いろいろ読んで持ち込んでみて思ったのは、結局「こち亀」がベストなんじゃないか。1話完結で、子供から大人まで読みやすい。うちの叔父さんも父も読み慣れていた。しかし、こち亀は終わってけっこう時間が経っている。時事性の強い漫画でもあり、終わってしまった作品として、今読むのは物足りないというか、過ぎ去った時代を読むようで物悲しい。

とにかく一話完結で、長く続いていて、陽気で明るめのがいい。時事性がない時代物なんかはシニア世代にもちょうどいい。ゴルゴ13は非常に良く、もっとライトだったらベストだった。こち亀、ゴルゴ的な漫画で現役のやつって、何かあったっけ?ポストこち亀マンガってないよなー。

飯系の漫画は、飯がまずい入院患者にはあまりにもかわいそうに思う。医療系漫画は深刻すぎる。また、日常生活に近すぎる漫画も、平時のような日常生活を送れない入院患者にはきついかもしれない。やや非現実、ファンタジー寄りの方が気兼ねなく読めるのではないか。

結論として、僕が思う入院中のシニア世代におすすめの漫画の条件は、

  • 一話完結(もしくは2,3話)
  • 時代物(ここは好み次第。好きな人はファンタジーでもSFでも、非現実的であれば)
  • 現役、または10年以内に終わった作品
  • 明るめ
  • 飯系、医療系、エロ系以外

条件を満たす作品、なにかあったら教えて下さい。