ブログから売れたAmazon商品の傾向

Twitterを見ていたら、ブログから不定期で買っていく人がいるAmazonの商品があるという話を目にした。あるある、確かにある。これはブログで紹介してものすごくたくさん売れたとか、紹介料で儲かるとかそういう話ではない。ブログを読んで不定期にその作品を買う人がいるということは、ブログ自体からも何か、それなりに伝わったという指標になるんじゃないだろうか。てきとうに貼った作品や、日記を公開したときだけ売れた作品を除く、「ブログから売れたAmazonの商品」をピックアップしてみる。

小説家の休暇

三島由紀夫が書いたエッセイ。この本を読んだのは大学生の頃で、日記のような本だったことしか覚えていない。読もうと思ったきっかけは、当時太宰治と三島由紀夫について調べていたからだった。昭和日本の文豪として名を残した、太宰治と三島由紀夫。彼らは生前に親交があったのだろうか。

僕はその両作家に共通点を感じており、作家として同じ時代を生きた者同士、互いをどう評していたのか気になった。ネットで調べているうちにその一部が、この「小説家の休暇」に見られるということがわかった。三島由紀夫が太宰治のことを書いているのだ。僕は大学の図書館へ行き、「小説家の休暇」を手にとって該当の箇所を探した。

紹介した日記

ピッチ・パーフェクト

映画のDVDです。これは飛行機の中で偶然見た映画。日本語の吹き替えがあったのになぜか日本では公開されておらず、DVDもインポートしかなかった。理由は音楽の著作権絡みかもしれない。当時流行だった音楽をふんだんに取り入れた映画で、今では日本でもDVDが売っている。映画が好評だったからかパート2も制作された。

大学のアカペラサークルを舞台にした映画。主演はマイレージ、マイライフなどに出ていたアナ・ケンドリック。映画のシナリオ自体は特筆する部分がなかったものの、歌とダンスの素人大会コンテスト感がすごく良く表現されていたように思う。あのうますぎず下手すぎない感じ。歌が好きで、大学生活が好きだったらこの映画を楽しめるはず。

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セブン・デイズ・イン・ハバナ

[asin:B009LTP6Q4:detail] キューバ旅行の日記で紹介した映画DVD。僕がこれを実際に見たのは旅行から帰ってきた後で、行った先行った先が映画に出てきて現地のことを思い出した。キューバの現代風景がそのまま描かれている映画って少ないと感じたから、そういうものを思い出せるものって何かあるかなーと思って検索していたら見つかったのがこれ。

カリブの島国キューバ。首都ハバナで過ごす7人の、7日を切り取った映画。撮影もハバナ市で行われており、比較的新しい映画だからキューバで旅行するそのままの風景を見ることができる。登場人物にも旅行者がおり、キューバを旅行しなくても旅行感が味わえる、もしくはキューバ旅行の予行演習にもなる。

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嘘つきアーニャの真っ赤な真実

これはKindleの角川セールのときに買った本。これを選んだのは偶然。著者のことも本のことも全然知らず、書かれている内容のテーマだけで選んだ。この本の舞台になっているチェコのプラハは、本を読む何年か前に旅行で訪れている。東欧共産圏という国々は、自分にとって謎であり、なおかつ魅力を感じていたため読んで面白かった。

当時共産圏だったチェコのプラハで子供時代を過ごしてた著者の、文字通り真っ赤な体験談である。そして著者は大人になってから、当時向こうで友人だった人々を再訪するというかなりのレア体験を綴った本だ。東欧で過ごした子供時代のできごと、友人との思い出と、大人になってからの再会。ソ連崩壊前後のギャップを、当事者の友人という立場から見る非常に珍しい本。

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図解 聖書 歴史がおもしろいシリーズ

[asin:B00JAEE8QO:detail] 旅行でイスラエルを訪れるにあたり、準備として聖書のことを知っておこうと思い、買った本。聖書そのものは非常に読みにくく、ギブアップした。代わりに何か簡単な入門書を探していたところ、読んで面白かったのがこの本。自分の嗜好に合っていた。値段も安くて、分量も多すぎず少なすぎず、入門書としてもお手頃な本だった。

この本には聖書に書かれている内容の解説ももちろん載っているんだけど、それ以上に聖書の物語が書かれた歴史的背景や、史実とどの程度整合性があるかといった歴史的検証を中心に解説されている。「なぜ、聖書にこのような話がでてくるか」ということが知りたければ、聖書を読むよりこちらを読んだほうがわかりやすい。もっと専門的な本を探せばいくらでもあると思うが、こちらは初心者にもわかる程度に全体を網羅した本だった。

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アヘン王国潜入記

最近読んだ本で、紹介したのも最近だから今回の趣旨からはややズレる。このブログでは何度も取り上げている高野本、アヘン王国。確かに面白かったんだけど、高野本としては1位にソマリランド、2位に西南シルクロードを個人的に挙げており、アヘン王国が最もオススメというわけではない。しかし、そのテーマも内容もあまりに衝撃的であるため、なんだかよくわからないソマリランドや西南シルクロードよりも目につきやすいのだろう。

クレイジージャーニーで紹介されたこの本は、ノンフィクション作家の高野秀行が、ミャンマーにあるワ州に滞在し、ヘロインビジネスを生業とするワ州連合軍のもとでケシ栽培を体験し、村や反政府軍への取材をまとめた本。そのあまりにブッ飛んだ内容は多数の出版社から出版を断られ、どうにか出版に漕ぎ着けた後も長い間埋もれ、日の目を見なかった。しかし当時からファンの間では評価が高く、英語翻訳版はTIME紙を初めとする世界のジャーナリズムに評価され、唯一無二の本として読み継がれている。

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不定期に買っていく人たち

ブログから不定期に売れる作品をまとめてみてわかったのは、どの作品もベストセラーではないということ。強いて言えば「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」がベストセラーであり知名度も高い。しかし発売当時ならまだしも、現代において一般的な認知度はどの程度だろうか。僕自身、ここに挙げた作品については全て、もともと知らなかった。興味があって調べた結果出てきたものであったり、偶然手にとることになったものばかりだ。「君の名は。」のように内容を知らなくても作品の名前が独り歩きしているような、誰でも知っているベストセラー作品はここに挙がってこなかった。

大袈裟に言えば、発掘された作品になる。ここに挙げたものに限らず、ブログで紹介しているほとんどの作品は、万人に向けておすすめしたい物ではない。ある特定の興味、需要を満たすにあたり、うってつけなものばかりだ。だからこそ、興味が湧いた人や検索でたどり着いた人が、その商品を買っていくのではないだろうか。当たり障りのないものや、誰が紹介しても同じようなもの、自分に全く縁がないような作品を取り上げても面白くない。今後そういうのはなるべく控え、ある特定の目的にぴったりと当てはまるような、準メジャーあたりの作品をもっと紹介していければいいなあと思った。