Twitterが「文字」ではなく「音声」だったら

メルボルンに住んでいたとき、ルームメイトだったドイツ人がwhatsappというアプリを使っていた。whatsappは簡単に言うとLINEの世界版で、北米、南米、ヨーロッパなどどこでも利用されている。機能はほぼ同じ。ただ我々日本人とドイツ人の彼らとでは使い方が全然違った。彼はwhatsappに向かって文字を打つのではなく、ボイスメッセージだけでやりとりしていた。北米ではSnapchatが流行っていたが、Snapchatはそれのビデオ版であり日常における短いメッセージのやりとりを、文字でなく映像で行っていた。

「音声」であるメリット

文字でのやりとりと、音声や映像でのやりとりの違いは何かというと、まず文字を打ったり読んだりする手間がかからないことだ。スマートフォンのマイクに向かって話すほうが、文字を入力するより簡単で速い。受信側も同じで、文字を読むより言葉を直接聞いたほうがスッと頭に入ってくる。短いやりとりなら尚更そうだ。音声だと変換の必要もない。このように文字を音声や映像に置き換えることで、そこそこ手間が省ける。

次に文字と音声や映像の違いとして大きいのは、音声や映像で感情表現をするのは簡単だけど、文字に情感を込めるは難しいということだ。文字で感情を表すために絵文字を付けたりしているが、声で笑ったり驚いたり怒ったりするほうが簡単で相手に伝わりやすい。さっきのドイツ人の彼は、メッセージ相手の女の子が笑いながら話している声を僕に聞かせて「この子すげーかわいいだろ!」みたいなことを言ってきた。その音声はドイツ語で何言ってるかわからないけれど、その子がかわいいのは伝わった。文字だとこうはいかない。

WhatsApp Messenger

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音声文化の下地はある

whatsappはそもそも日本で全然使われていないが、LINEにも同じボイスメッセージ機能がある。しかしこういう使い方っておそらく、日本ではほとんど無い。vineとかでネタ動画を投稿したりYouTuberが動画を投稿したり、ニコ生やツイキャスは普通に利用されているにも関わらず、個人間で音声やビデオのやりとりをするのは、電話やSkypeといった長時間のリアルタイム通話のみ。LINEの音声入力は使われても、ボイスメッセージをそのままやりとりするのが普及しているという話は聞いたことがない。音声によるやりとりって、文字入力が遅かったり苦手な高齢者なんかにも絶対便利だと思うんだけどな。

(だったら電話すればいいじゃん、と思うかもしれないが、それは文字のやりとりをするLINEにも言えることだ。LINEやメールはお互いのタイミングでメッセージを確認して返信できる部分に利便性がある。同じ時間、同じタイミングに相手を固定しないからこそLINEが便利なのであって、そこにさらに文字入力の手間を省き簡単に情感を込められるのがボイスメッセージ機能だから、電話で代替するものではない。)

そこで音声版Twitter

ボイスメッセージ機能であったり、ニコ生やツイキャス、YouTubeは既にある。今無いものであったらおもしろそうだなと思ったのが、音声版Twitter。ニコ生やツイキャス、YouTubeのように長々と喋るのではなく、まさにTwitterのように、LINEのメッセージのように短い言葉を話す。そういうタイムラインを見てみたい。ちょうど目の見えない人が音声読み上げ機能でTwitterを見たらそんな感じになるんだろうけど、音声読み上げソフトはみんな同じ声だし感情も込もっていないからつまらない。それぞれが自分の声で、自分の感情を込めて短いひとことをつぶやき、それがタイムライン順にえんえんと自動再生されるうるさい空間!!おもしろいと思わない?名付けるとしたらSUMMITとかどうだろう。

機能やUIなんかも初期Twitter並にシンプルでいいと思う。文字のTwitterと違う機能は手動再生か自動再生か切り替えるぐらいでいいだろう。ヴォコーダーやボイスチェンジャーが標準機能に追加されてもおもしろい。OAuthで既存のアカウントを利用できるようにすれば、参入障壁も低くアカウント管理も楽だ。サービスの伝搬にも利用できる。一番簡単なのはTwitter自身にwhatsappやLINEのようなボイスメッセージの機能がつくことなんだけど、LINEのボイスメッセージが使われていないところを見ると、日本では利用されない可能性が高い。Twitterがもはや文字文化のサービスとして定着してしまっているなら、シンプルに音声だけのサービスとして一から始めたほうがいい。しかし僕はコードが書けないので、誰か作ってくれたらテストユーザーとして遊びます。

(ニコ生やツイキャスみたいに長々とダラダラ喋ってるのって、見る方は結構疲れるというか時間を空けないといけないし、その時間に合わせてまでライブ放送を見たいと思わない。そうではなく、TwitterやLINE感覚の短い音声を溜め込んでいる空間があったらおもしろいなーと思った。)