インドはやはりカレーなのか?「バーフバリ」ネタバレ・感想・評価

どんな流れだったか忘れたけれど、「エンドレス・ポエトリー」を見た3人で映画を見に行こうということになった。いくつかの候補の中からインド映画「バーフバリ」に決まった。正確には「バーフバリ 伝説誕生」と「バーフバリ 王の凱旋」の二本立て。連続上映だ。トータル5時間。昼3時に始まり夜8時に終わる。なかなかの試練だ。

インド映画は見たことがない。「スラムドッグ・ミリオネア」はダニー・ボイルだし、名前を知っている映画も「ムトゥ踊るマハラジャ」ぐらいしかない。全く疎い。そして「バーフバリ」についても予備知識はない。ボリウッドじゃないということと、叙事詩が原作ということぐらい。トレーラーさえ見ずに行った。トレーラーは一番おもしろいシーンをダイジェストで見せてくる傾向が強いから、なるべく見ないようにしている。

出町座で上映中

観に行った映画館は出町座。去年の冬にオープンしたばかりの小さい映画館で、去年閉じた立誠シネマが前身となっている。クラウドファンディングでお金集めていたのは知っていたが、行くのは今回が初めて。1Fがカウンターのカフェになっており、上映待ちの時間を過ごすことができる。メニューはコーヒー、ビール、ホットドッグ、サンドウィッチ、カレーなど種類は多くないが軽食も一通り揃っている。カウンターしかないからスペースはそこまで広いわけではない。

映画のチケットも飲食も全部券売機で買える。スクリーンは地下と2階の二つ。当日は昼3時からの5時間上映(間休憩20分)だから、出町座で昼食をとろうということになり1時半に向かった。上映1時間半前だというのに、結構席が埋まっていた。平日の映画館でいまどきそんなことあるのか。人気のようだ「バーフバリ」。最前列が残っておりチケットを購入した。

上映時間が近づき、スクリーンへと向かう。サイズは立誠シネマと同じぐらいだが、部屋やイスはこっちのほうがいい。スクリーンは満席になり、補助席も埋まる勢いだ。

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出町座 | 京都 出町桝形商店街にある映画×書店×カフェのカルチャー拠点

「伝説誕生」あらすじ

まず「バーフバリ 伝説誕生」が始まる。滝から逃げてきた女の人が赤子を抱きかかえており、近くに住んでいた人が赤子を拾う。赤子を守っていた女の人は流されてしまう。赤子はシヴドゥと名付けられ、成長し、記憶にはないが生まれ故郷である滝の上に惹かれ登ろうとする。天空まで続くと言われる滝は高すぎて、いつも途中で落ちてはケガしそうになる。

シヴドゥを拾って育てた母親は、危ないからやめろと言うがシヴドゥは挑み続け、やがて大人になる。ある日シヴドゥは、滝の上から落ちてきた仮面を拾う。女性の顔型からできた仮面に一目惚れしたシヴドゥは、仮面の元になった人物の幻影を追いかけ、再び滝登りに挑戦し完遂する。そして仮面の女性アヴァンティカを見つけ、結ばれる。しかしアヴァンティカは、囚われの王妃デーヴァセーナを奪還する戦士として任命されていた。シヴドゥは奪還作戦に加わることになる。

「伝説誕生」感想※ネタバレあり

こんな感じで「伝説誕生」は始まっていくんだけど、一体どういう目線で見ていいのかわからない。スロー&ストップ、早送りが多用され、まるでシャンプーのCMのようであったり、バカみたいな行動が功を奏して結果に結びついたり、歌の歌詞で子供にもわかるように状況を説明していたり、ギャグなのかシリアスなのかわからない。インド人はどういう目線で見るの?

文化の前提がないから行動原理が読めない。登場人物たちは、我々日本人から見ると明らかにおかしな行動ばかりとっており、笑えるんだけど笑っていのかコレ?と思ってしまう。向こうの人はもしかして大マジなんじゃないのか?って一瞬笑うのをためらってしまう。多分、日本の時代劇とかを外国人が見たら同じような感じなんだろうなー。だから僕自身はそういうポリティカル・コレクトネス的な視点が邪魔して、最初素直に笑えなかったところもある。

シヴドゥの物語として始まるが、途中からは親父の回想シーンが始まり結局その回想シーンがこの映画の大部分を占めた。この親父こそが「バーフバリ」であり、息子シヴドゥは生き写しの子。では親父バーフバリはどういう人物だったのか、王家の子で、兄バラーラデーヴァと相続争いをする。そのさなか辺境から大群が押し寄せ、敵の大将を討ち取ったほうが時期王権を相続するということになり、戦争が始まる。戦争のシーンも粗っぽいCGが多用されたりギャグみたいな戦術を取ったりと、迫力はあるが変な映画だ。

「王の凱旋」感想※ネタバレあり

「王の凱旋」については、親父バーフバリが何故王権を失い、王妃であり子バーフバリ(シヴドゥ)の実の母親デーヴァセーナが何故囚われることになったかのいきさつを回想していく。「王の凱旋」から見始めた人用に、映画の最初に「伝説誕生」のダイジェスト説明が一応入るが、それでもやっぱり「伝説誕生」は見ておいたほうがいいだろう。

「伝説誕生」と同じような調子で始まる。しかし「王の凱旋」はわかりやすいドラマ演出が多用されており、こっちは素直に映画としても楽しめる。父母の出会いから、昼ドラのような嫁姑の確執、ものをハッキリ言う合理的な嫁はかっこいいし、父親の死に様もドラマチックだ。子の物語として始まってはいるが、結局この映画の主人公は父母なんだろう。

大規模な合戦シーンはまたもやギャグのような戦術で粗いCGとともに荒々しく都合のいい展開で進み、まさに神話っぽい。プロレスだこれ。バーフバリを初めとした戦士たちも皆プロレスラーみたいな体型だし。

すごく大味で、かつよくできた映画だった。古典の演劇を見ているようで、ザ・エンタメという感じ。いろいろな素材を盛り込んで上から絶妙に調合されたきっついスパイスをかけた、まさにカレー。二本立て続けでトータル5時間だが、体感としてはその半分ぐらい。観終わってからも「アレなんだったの?」と部分部分の笑いツッコミが絶えない映画でした。

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映画『バーフバリ 王の凱旋』公式サイト

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