裏表のある人は何なのだろう

自分に裏表がないのかというと、ないつもりではいるが、あるのかもしれない。ある、ないというより、本心を隠すことが苦手だ。よく「顔に出ている」と言われるし、思っていることを包み隠さずはっきり口にするほう、本音が表に出すぎる方だ。だから裏表はやっぱりないんじゃないかな。そんなこと言っても、誰にでも全く同じ態度が取れるわけではない。裏表があるかと言えば多少はあることになるが、どちらかというと場に応じた役割を演じているだけに過ぎない。

よく裏表があると言われる人は、裏表が激しい人のことを指す。表の顔と、裏で言っていることのギャップが激しい人。さらに「裏表が激しい」という言葉は、大体において相手を非難するときに使われる。表でおとなしい人が、裏では激しかったり、表では従順な人が、裏では文句たらたらだったり。表向きはめちゃくちゃ嫌な人なのに、裏で実はめっちゃいい人のことを「裏表が激しい」とは言わない。

裏表が激しい人と、ときどき知り合う。普段の感情表現が乏しい人が、裏で爆発している。例えば自分の知っている人で、面と向かって話せば落ち着いているのに、LINE上でめちゃくちゃ辛辣な人がいた。彼はLINEグループで、すごくどうでもいいことに対して激怒していた。その話題にグループのメンバーは誰もついていってなかった。最初見たときは、同一人物なのかどうかを疑ったぐらい、普段と態度が違っていて驚いた。なんなんだろう一体。

その人はとにかく、普段は温厚なのにLINE上ではめちゃくちゃキレてばかりいる人だった。頭がおかしいんじゃないかとさえ思ったほど。面と向かって話すと、やんわりと返ってくる。なんなのだろうこのギャップは。意味がわからない。とにかく裏表が激しい人は、裏に激情を抱えており、それが普段表に出てこないという特徴がある。

さらに彼は、ある女性にLINEで猛アタックしていた。その女性から他の人へ相談があったらしい。これも表立ってやればいい話なのに、なぜかLINEという裏で爆発している。なぜ面と向かってアプローチしないのだろう。というか、面と向かってやってはいけないようなことを裏でやるなよ、と思う。それは裏でもダメだろ。なぜ裏なら許されると思っているのだろうか。

人目につかないところであれば、何言ってもやってもいいと思っているのか。一人で勝手に言ったりやったりしている分には構わないと思う。しかし、誰かに向けてやりとりをしたり、攻撃したりアプローチするのは、裏も表も変わらない。なぜ表では控え目で、裏で爆発してしまうのだろう。一体どういう心理なのだろうか。

ある人は、普段会うと気さくな兄ちゃんなのにfacebook上でいつも悪態をついている。世間の風潮に対してだったり、今日身の回りで起こった出来事に対して、的はずれな文句を書いては翌日消している。何がしたいのだろう。そして彼もまた、女性に対してとてつもないセクハラLINEを送る。いわゆるクソLINEだ。彼の場合面と向かって女性にアプローチすることも多いが、LINEでは普段と違ってセクハラ全開になる。こういうことをやめれば女性とも上手くいきそうなのに、なぜLINEで暴走してしまうのだろう。

傾向として、怒りにしろセクハラにしろ、感情の暴発が見て取れる。表では感情を上手く出せていなかったり、制御したりしているのか、その分裏、すなわちSNSやLINEで爆発している。しかしそのSNSやLINEは、裏と言っても表で繋がりのある人ばかりが見る場所であり、実名であり、知っている人が誰もいない匿名掲示板ではないのだ。だから何でそこで暴れまわっているのか理解できない。人としての評判を気にするなら、裏でもそういうことはやらないでおくべきだろう。気にしないのなら、表でも同じ態度をとればいい。なぜ、裏表でこうもギャップが激しいのか。

よく「ハンドルを持たせると性格が変わる」と言われる人たちがいる。裏で暴れまわる人はもしかすると、SNSやLINEというツールを使うと感情の制御が効かなくなるのかもしれない。そういうツールが車で言うハンドル、アクセルの役割を果たしてしまっている可能性はある。とても危うい。彼らはSNSやメッセージアプリから距離を置くべきだ。周りに迷惑を掛けるという理由もあるが、それより自らの人間関係の構築を、そういう裏の顔が阻害してしまっている。

誰でも感情が昂ぶるときがあり、ヘイトや欲望を胸に抱くことはある。けれどそれを人にぶつけたりはしない。少なくとも身元が割れる形で行うことは控える。裏であろうと表であろうと、公然と人をけなしたり性欲をぶつけていれば、自らの社会的立場が追いやられる危険性がある。それが表では制御できていても、裏になった途端爆発してしまうのは、多分本人も自覚があるはずだ。どうしても感情を抑えきれないのであれば、せめてもっと慎重になったほうがいいのではないか。感情の出し方を学ぶとか。

上記の例はいずれも男性で、裏表の激しい女性とは付き合いがないため、あまり知らない。