「パーティーが終わって、中年が始まる」を読んでる

まだ全然序盤なのですが、本の感想というより、読んでいて自分が思ったことをただ書き残しておこうと思います。まだ読み切ってないので、本の感想はおいおい書けたら書く。今回は、恋愛観のところを読んで。

第一章の最後の項目、「ひとりでいるのに慣れすぎた」のところで、phaさんの恋愛観について触れている部分があった。

自分が異性を好きになるときは、相手の作る作品とか、成し遂げた仕事が素晴らしいから、という憧れの気持ちで好きになることがよくあった。自分に向けられている笑顔よりも、何かに集中しているときの横顔を、一番美しいと思っていた。 でも、今思うとそれは不純な好意だったのかもしれない。 P42

と書かれている。このあたり僕も半分同じで、半分違う。僕は自分に興味がないから、自分のことを褒めてくれる人とか自分を認めてくれる人とか、自分をおもんばかってくれる人に対して全然興味が湧かない。ありがとうとは思うけど。phaさんと同じように人の才能だったり、人の輝きに対して好意を持つ。でも、それを不純だと思ったことはないかな。ここは違う。

この文章に続いてphaさんは

自分にはない能力を持っている人を好きになるのは、親しくなることでその人の良さを自分に取り入れようとしているのだ。

と書かれている。僕は、取り入れようとは思わない。取り入れられるとも思わない。ただ単純に興味があり、知りたいという気持ちのほうが強い。その構造だったり仕組みだったり、根源や過程が気になる。これは恋愛感情ではなく、本当にただの興味なのだろう。だからこの時点では、僕の中で恋愛感情は生まれていない。

他人の才能に惚れることはあっても、それは言葉上の「惚れる」であって、本当に恋愛感情を抱いているわけではない。だからそれを自分に取り込みたくて相手を好きになり、その好意を不純だと思うことも、僕にはない。また違う路線を歩んでいたようだ。

僕は多分、人となりにしか恋愛感情を抱かない。才能があったり作品が優れていると思って興味を抱いても、好きになるかどうかは本人がどういう人かによる。自分の基準で嫌な人だったら、全く好きにはならない。だから自分の場合、「なんでこんな人を好きになったのだろう」と思うことはない。恋で盲目になったことがない。後悔したこともない。恋愛において、極めて冷静だと思う。

その後の文では、橋本治の「失楽園の向こう側」という本から引用されている。

人は何か人生に行き詰まりを感じているとき、その状況から自分を救い出してくれそうな存在に恋をする P43

これも自分には全くない感覚だった。実際今までそういうことが一度もなかった。人生の行き詰まりなんて、常にそんな感じだけど、それを解消するために誰かを好きになるなんてあり得ない。自分の人生の行き詰まりは、他人がどうこうできる類のものではないと今も強く思っている。

この本で言うところの恋愛感情が、何も全て「他人になんとかして欲しい」という他人を当てにした思いから発生しているとは書かれていない。例えば他者から受ける刺激が、自分の人生を方向づけるきっかけになる程度のことも含め、語られている。だから自分の方向性があやふやな若いときほど、恋愛感情が盛んで他者という刺激に反応しやすいそうだ。

この点においても、自分の感覚とはまた違うなーと思った。この論で言うと、おそらく自分の恋愛感情が盛んだった時期というのはない。実際になかった。だからこの論は正しいのかもしれない。僕は人からの刺激を元に、自分の人生を方向づけようと思ったことがない。事実恋愛を起点として、自分の生き方が変わることもなかった(結婚はあった)。

だとするとやはり、自分が若い頃から恋愛感情というものを理解しておらず、あまり抱いてこなかったのも納得する。他者からの刺激もきっかけも救いも、求めていなかったからだ。付き合った人から結果的に影響を受けたことは多々ある。けれどそれは付き合ってからのことであって、それが恋愛感情の元になったことはない。ましてやその影響が、自分の方向性に影響を与えたことも全くない。恋愛以外の、例えば職場の先輩から影響を受けたり、塾の先生から影響を受けたことはあるけど、それもきっかけ以上のことはなかった。自分の人生において、人との縁で何かが決まったり、流されてどこかにたどり着いたことは、おそらく何一つない。結局全部自分で考えて動いて決めたことばかりだった(だから僕は人との縁が大事だと思ったことがない)。

恋愛感情自体がもちろんそんな利己的、作為的なものではなく、無意識、無自覚なものだとは思う。ただ無意識でも僕はそんな事思ってなかったと思うんだよなー、恋愛対象は自分とは無関係な、孤立した他者として一方的に愛でていた気がする。

人から何かを得たいと思うときは、恋愛感情とはまた違う別の企みが働いている。いやでもやっぱり、人から何かを得たいと思うこと自体あったかなー、なかったんじゃないかな。学びたいと思うことはあっても、それは全然恋愛感情ではなかったから。

思うことはまとまっていないけれど、このへんで一旦終わります。結局自分を振り返っているばかりで、本のことには全然触れていない。楽しく読んでいます。意見が違っても批判の意図とかは全くないです。