一生もの

おとつい村上RADIOを聞いていたら、一生ものレコードというテーマだった。一生ものレコード、村上春樹はたくさん挙げていたけど、一生ものレコードなんて自分にはあるだろうか。そもそもレコードを聞き出したのがここ数年だから、そこから聞いているやつを一生ものなんて呼べないだろう。

僕はCD世代だけど、一生もののCDなんてない。ずっと聞き続けていたり持ち続けているCDがない。音楽ではなく映画のDVDや本、もしくはゲームならあるかというと、思いつかない。例えば「ノルウェイの森」とか「ライ麦畑でつかまえて」みたいに何度も読んできた本はあるけど、作品としては自分にとって一生ものであっても、本自体は手放したり買い直したりしている。物として一生ものかといえば、そうでもない。おそらく村上春樹の一生ものは、コンテンツとしてではなく物体としての存在感も含めて一生ものだろう。それには該当していない。

一生ものかあ。自分は何でもすぐに買い替えるから、物にそんなに愛着がないんだろうな。長く使うこともあるけど、それは単に使えるから使い続けているだけで、物自体にこだわりとか愛着があるわけではない。機能性とかは気になるけど、想い出とかそういうエモーショナルな要素はあまり付随してないかもしれない。

BRUTUSの特集号で「人生最高のお買いもの」という回があった。去年の2月に出たもので、2023年のベストバイと、生涯ベストバイを並列して語るインタビュー100人という回だった。このうちの生涯ベストバイが「一生もの」に近いかもしれない。でも紹介されているのは大人になってから手に入れたものが多く、長く愛着を持って使い続けてきたものばかりではない。服を挙げている人は多い。レコードを挙げる人もいる。仕事にまつわる道具を挙げている人は多い。趣味にまつわるものを挙げている人もいる。

これを読んだときも、自分の生涯ベストバイみたいなものは思い浮かばなかった。もらったものでもいい。何かあるかな。とりあえず今一番大事にしているのは、カメラになる。自分で買ったカメラと、奥さんに誕生日に買ってもらったカメラ。これらはここ数年の話で、長く生涯を引き継いできたものではない。

レコードで言うなら、思い浮かぶのは The Supreme Jubilees の It's All Be Over かなあ。まだレコードを聞き始めた当初に探し回って、結局アメリカからネット通販でオリジナルではないリイシューを買った。これは今後もなかなか手放すことはないだろう。

It'll All Be Over [Analog]

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捨てられないものとしては、旅行カバンがある。