事実に基づいた映画

映画日記。最近映画を立て続けに見た。それらは偶然にも「事実に基づいた映画」というテロップが初めに流れた。過去にも事実に基づいた映画はよく見ており、好きな部類だ。事実に基づいたってだけで、飽くまで映画である点に注意。

キャプテン・フィリップス

ソマリア海域で、アメリカの商船が海賊に襲われるという映画。これは2009年に起こった事件を元にしているそうだ。さらに映画の元になった船長の回顧録もある。
海賊と言っても貧しい国なので、襲ったのは1隻のモーターボートに若者4人だけ。それを撃退するためにアメリカ軍が動く。

この映画を見ていて気になったのは、ソマリア人で英語を話す者がおり、彼が海賊の1チームを指揮し、商船や米軍と交渉するという点。やせ細り、どう見ても軍人ではないが頭が良く、機転を効かせ、わずか4人のシージャックをとりまとめる。
彼はどこで英語を学んだのだろう。英語を話すのに海賊をやるのか。英語を話すソマリア人でも他の仕事が無いのか。
本編中で彼はフィリップスに向けて以下のようなことを話す。

「俺は元々漁師だった。みんなそうだ。」
「外国の船が近海の魚を根こそぎ取って行くから漁師はやっていけなくなった。」
「アメリカでは他に仕事もあるが、ここで漁ができなければ海賊しかない。」

これは本当なのだろうか。ウィキペディアをさらっと見たところ、そのような記述もある。しかし「漁ができなくなったから」という理由はこじつけで、元から武装集団だったとも書いてある。何が本当かはわからない。全部本当かもしれないし、嘘かもしれない。

映画自体は非常に緊迫した映画で、見ているのが大変だった。見終わったあと電車に乗ってもまだ心拍数が高かった。

キャプテンの責務 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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ブラックホークダウン

これもソマリアの映画。1993年にソマリアで実施されたレンジャーとデルタフォースの作戦を元にした映画。アメリカには珍しく、失敗した作戦の映画だ。ユアン・マクレガーとユエン・ブレムナーというトレインスポッティングのコンビが脇役で出ていた。

映画を見ていればわかるけれど、作戦は最初から失敗している。基地からヘリが飛び立った様子を現地に知らされているところから。
米軍は最初からずっと防戦、逃げ惑う一方。RPGはこの映画で有名になったんじゃないかというぐらいよく出てくる。当初、作戦は30分で終わるはずだったにもかかわらず敵の数がどんどん増えていき、街全体と戦うはめになる。日も暮れ始める。

この映画も作戦が始まってからずっと緊張感が続く。見ていて大変な映画だ。

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ミュンヘン

これは全然趣の違う映画。ミュンヘンオリンピックのイスラエル選手団を襲ったブラック・セプテンバーというテロリストたちを、イスラエルのモサドが5人のチームで追いかけ、一人ずつ殺していくという映画。偶然にもブラックホークダウンに出ていたエリック・バナという俳優が出ていた。ダニエル・グレイグも出ていた。
イスラエル視点で描かれてはいるが、イスラエルの主張を礼賛するプロパガンダ映画ではない。当時のPLOのテロと、イスラエルの報復との、終わりのない闘争に加わるユダヤ人の、作戦を進行しながらも迷い苦しむ様子が描かれている。

パレスチナ問題については、PLOがやってきたことはエグすぎるし、かといってそれをやらざるをえない気もする。テロと報復の連鎖が終わらないとしても、他に手段は無いだろう。どちらかがやめればどちらかが滅びるだけ。
イスラエルについてはよくわからない。イスラエルという国家の成り立ち、ユダヤ人の思想は決して統一されているわけでもなく、ユダヤ人内での分裂においての位置づけとか、わけがわからない。イスラエルは、シオニストたちは一体どうするのだろう。 

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