「イントゥ・ザ・ワイルド」感想・評価

旅行好きへオススメの映画でザ・ビーチと共に必ずと言っていいほど挙がっていたinto the wildを見た。外国人が思い描くバックパッカーっていうのは案外こっちなんだろう。

 

そもそもバックパックは登山やハイキング、キャンプ用のリュックであり、海外旅行を目的として作られたわけではない。寝袋やテント、食料を担ぎ、道路も建物もない自然の中で旅をする、そういうスタイルこそが向こうの人が描くバックパッカーなんじゃないか。だから僕が思っていた、いわゆる海外旅行のバックパッカーとは趣が違った。それでも面白かったことには変わりない。実際旅を重ねていくとバックパッカー達は誰も行ったことのない、何もない場所を求めて彷徨うものだ。カッチ湿原とか。

主人公のアレックスは身分証をハサミで切り、現金を燃やし、アメリカの荒野を転々とする。そこでの様々な出会いや別れがあり、そしてその先に夢描いているのは荒野での単身生活。自給自足の生活。

この映画の醍醐味は魅せ方にあると思った。風景を、大地というものを、自然を、音楽とカメラワークで壮大に表現している。同時に汚さや辛さを生々しく魅せる。エンターテインメントの枠では収まらないほどドギツくやり過ぎ感さえ漂う。プラスとマイナスの振れ幅が大きい。国境を渡る際などの様々な手続きをすっ飛ばして先に進む姿は清々しい。違法なんだが。

映画は旅の道中と、アラスカの大地における単身生活を交互に、同時に描いている。旅の道中ではアルバイトをしたり密入国をしたり、知らない人にお世話になったり、特に最後のあのおじいさんは良かった。しかしアラスカではずっと一人で、孤独で、食べ物もなく、ずっと独り言を言うアレックスが描かれている。この対比。でもこれこそが彼が求めていたもので、求めていた生活。彼は孤独の中で、生きる苦しみの中で様々なことを思い出し、そして死への痛みの中、安息を得る。元々過ごしていた現実、自然の中での現実、どちらにも苦しいことがあり、辛く痛みも激しい。しかし彼はあちら側の現実を選んだ。病による死と、笑顔を携えて。

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

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