高城剛「黒本 弐」感想・書評

胡散臭さで有名な高城剛。しかし根強い信者も多く、また堀江貴文のように庶民をバッサリ切り捨てることもなくサービス精神旺盛で堀江貴文ほどメディアの露出もないためファンの間でひっそりと熱く信仰されている。そうは言っても著書がかなり多く本業のDJでも世界中でひっぱりだこらしい。Kindle本を出せばAmazonで上位ランクインする。全然ひっそりではない。ただファンじゃない人からしてみれば、いまだに沢尻エリカの元旦那程度の認識しかない。

 

そんな高城剛のKindle本「黒本 弐」を読んだ。弐とあるように前回「黒本」があり、それが面白かった上にページ数は少ないものの300円ぐらいの安い金額だったから購入した。黒本と、「白本」っていうのもあるんだけどそれらは高城剛がやっているメルマガに来た質問を抜粋してまとめて本にしたものだ。僕は今までに一度も有料メルマガの購読をしたことがないんだけど、堀江貴文のメルマガをまとめた本も読んだことがあり(同じくQ&Aの抜粋)、メルマガ本というのは購読していなくてもその中で重要かつ人気があった質問回答だけをまとめてくれて読みやすい。こういう本というのは基本的にメルマガ購読を促進させる効果があるだろうけど同時に僕なんかには「購読しなくてもこっちの方がいいや」と思わせてもくれる。同じ内容をタイムリーに内容を読みたい人や、自ら質問したい人は購読する価値も十分にあるだろう。

さあ、やっとここで本題に入る。高城剛について僕はこのブログで2、3回意見を書いている。僕の個人的な意見としては冒頭に上げた「胡散臭い人」。僕が何故この人を胡散臭いと思うのかというと、まずその知識量が尋常じゃない。彼は自ら「専門家じゃない」と答えているものの、本物の素人からしたら「何でそんなこと知ってるの?」「何でそんなことわかるの?」という回答を連発している。いや、ほんとこの人なんでも知っている。そしてその次に胡散臭いと感じる理由は、そのなんでも知っている回答の根拠が提示されない。メルマガの質問は一問一答方式で根拠を示す余裕はないものの、あまりにも「何じゃそれ!?」という回答でにわかに信じがたいんだ。例えば、これは本文の内容を一部ネタバレしてしまうけれど彼は「安倍晋三がよくヒトラーだと言われているけれど、ヒトラーは当時国民の支持率が90%近くあり人気のない安倍政権はナチスなんかと程遠く、日本のヒトラー候補は別にいて今育て上げられている」と言っていた。それが誰かというのは本を読んでもらうとして、答えわかってしまうけれど比較的若い政治家でめちゃくちゃ人気があり、このまま成長して国民のハートを鷲掴みにしたら「彼こそが日本のヒトラーに成り得る。今まさにそのように育て上げられている」というような意見を書いている。「何じゃその話」でしょ?でも妙に納得いく。根拠を見つけるヒントは高城剛も示しており(この話の場合米国CSISとか)、気になった人が調べれば自分でその答えにたどり着けるようになっている。

一言で言うと陰謀論や都市伝説的な胡散臭さなんだけど、この人は胡散臭さの押し売りをしたりすることがない。警鐘を鳴らしたり自分の意見を言うことは大いにあれど「じゃあこうしなさい」と指示を出したりすることはあまりなく、霊感商法のように物を売りつけたりすることもない。殆どの場合が読み手であったり相手に対して丁寧に対応し、質問した人が自ら調べたり考えたりするためのヒントを与えるだけで全部答えるような事はせず、相手に委ねている。

僕はこの人の意見を全部は信じていないし、正直賛同しかねる内容もある。それにしても入り口としてまず、読んでみて面白い。内容が正しい、間違っている以前に面白いんだ。その先は、つまり「これどうなんだ?」っていう話の内容についてはもう自ら調べて根拠に基づいた答えを出していくべきだと思う。そして正しいやら間違っているやら自ら判断するべきだろう。この本の内容の面白さ、その先にある意義はまさにそこにあると思う。自分で考え、調べよう。 

黒本 弐

黒本 弐