人に話しかけられないようにするのは簡単だという話

以前インドを旅行した際に、ちょっとおかしな状況があった。僕と友人と二人で旅行していたんだけど、友人の周りにだけ客引きが山のように押し寄せていた。僕の周りには誰もいなかった。僕らはどちらも日本人であり、二人で旅行しており、どう見ても連れ添いなのにそんな現象が起こった。これはちょっと奇妙だった。そして友人はあまりにも多くの人に絡まれるもんだから「客引きうぜえ」とインドに悪い印象を抱いていた。そりゃあれだけ多くの客引きに囲まれたらそうなるだろう。

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何故友人の周りにだけ人が集まり、僕の周りにはいなかったのか。それは極めて簡単な話で、僕が彼らを拒絶していたからだった。僕は彼に対しても「客引きがうざいなら拒絶すればいい」と言っていたが、彼は相変わらず彼らを相手にしておきながら「客引きうざい」と愚痴をこぼしていた。これはちょっと滑稽な話だ。問題を避ける簡単な手段が目の前にあるにも関わらず、自ら困難に飛び込み、避ける手段を用いないでただ相手が悪いと嘆く。確かに相手が悪いかもしれないけれど、解決手段を用いない彼が滑稽であることには変わりない。もしかしたら「どうやって拒絶すればいいのかわからない」なんていう人も世の中にはいるかもしれない。そこで今回は、人に話しかけられないようにするにはどうすればいいか、ということを簡単にまとめたいと思う。

目を合わせない

つまり無視すること。これは基本中の基本となる。インドの客引きの話になるが、彼らは僕ら観光客の注意を引こうと声をかけてきたり、何かの音を鳴らしたり、手を振ってきたり合図をしてくる。そういうのを全部遮断する。本当はこっちも気付いているんだけど、どうせ客引きだから気付かないフリをする。そしてそのまま素通りする。こっちにその気がないにもかかわらず相手をするというのは相手にとっても割に合わないことで、タクシーなんかでも乗る気がないなら無視したほうがお互いのためだ。その第一段階がまず、目を合わせないこと。ただ目を合わせないと言っても、客引きではない人が本当に何か自分に知らせようとしてくれているケースもあるため、自分の周囲には気を配り続ける。助けてくれた人にはお礼をしよう。

声をかけにくい顔をする

これはインドに限らずどこでもやっていることだけど「今声かけられたくないな〜」と思ったら「声をかけにくい表情」をするのが基本だ。いわゆる「話しかけるなオーラ」というやつも基本はこれになる。僕はだいたい眉間にしわを寄せて歯を食いしばり舌打ちなんかしながらいかにもイライラしている顔をする。ただ話しかけるだけで噛み付かれそうな、八つ当りされそうな怒りの雰囲気を出せば、人はなかなか話しかけようとしない。厨二っぽく言うと殺意の波動を全身から醸し出すこと。ここで大事なのは先に挙げたように、決して誰かと目を合わせてはいけない。直接誰かに対して敵意を向けると因縁をふっかけられる可能性もある。

他に有効なのは頭のおかしい人のふりをすること。独り言をブツブツ言ったりとか、存在しないものが見えたフリをして一人で反応しているとか、何もないのに足踏みしたり体を動かしているとか、踊っているとか。さっきのが殺意だったらこっちは狂気になる。稲中に出てきそうな人みたいに「バァアアアア!!!」とか言って両手をバンザイして走り出してもいい。もう表情の域を越えているけれどなかなかこういう人に声をかけたいとは思わない。僕はやらない(時々やる)。

徹底的に無視する

それでも話しかけてくる人はいる。特にインドやベトナムでは多かった。そこで折れてはいけない。徹底的に無視を続けよう。例え視界に入っても決して相手を見ないこと。その人が仮に目線の延長上に来たとしても、決して焦点を外してその先を見ること。こういう時にもっと簡単で有効なのが、サングラスだったりする。サングラスをしていると自分が相手を見ているかどうか向こうからは判断できない。そういう面においても旅行中にサングラスはかなり重宝する。

そしてやはり、話しかけられても聞こえないフリをしよう。スリや強盗などもあるから身の回りに気を配りつつも、音に反応して振り向いたりしないこと。最後に、決して足を止めないこと。立ち止まったりすると格好の標的となる。逃げると相手を意識していることが丸わかりだから、飽くまで目的地に向かって歩み続けること。道に迷っていれば道を探し続けること。僕はよく道に迷うから何度も立ち止まったけれど、その時はいくら話しかけられようとも手元にある地図しか見なかった。そいつらに道を尋ねるなんていうのは最悪の手です。仮に誰かに道を聞きたければ、向こうから話しかけてこない通行人などを選ぼう。

万が一会話になってしまったら

万が一会話になろうがすぐに無視すればいいだけの話なんだけど、そうもいかずに少し話してしまったという時にそこからどうやって切り上げるか。そこは日本語です。もうこれ以上話す意思がないということを日本語でまくしたててサラッとその場を立ち去ります。そこで引き止められてもひたすら日本語でまくしたてます。観光地で多少日本語を話す外国人はいるけれど、ネイティブのスピードでまくしたてて会話が成り立つ人はまずいません。相手が「もう無理何言ってるかわからない会話続けられない」と認識するまでひたすら日本語でまくしたてましょう。

じゃあ日本人相手だったらどうするか。逃げればいい。「ほな!」で逃げる。それだけ繰り返す。むしろ日本人相手で困ることはあまりないだろう。「いや、もうええから」とか言ってそれでも退いてこないなら無視してその場を立ち去るだけ。でも基本はやはり無視。

状況によって使い分ける

当たり前だけど、旅行中ずっとこういうギスギスした態度でいるわけではない。時には現地の人との会話も楽しみ、物を頼んだり買ったりすることもあれば、親切にしてもらいお礼をすることも当たり前のようにある。それは単に使い分け、切り替えればいいだけのことだ。必要なときに必要な態度が取る。適切な態度を取る。日本でよくTPOなんていう言葉が使われるけれど、あれと同じ。ただ時と場所、場合、相手に応じた方法・態度・服装等の使い分けるだけの話。みんな普段からやっている。

それができない、したくないというのであれば、その状況を甘んじて受け入れるしかない。そもそもそんな状況が間違っている、と思うのであれば、どうぞご自由に世界を変える努力をしてください。でもその前に、目の前に簡単に避ける手段が転がっているのだからそれを用いない手はない。「天気予報は晴れだった!!気象庁を訴えてやる!!」と言いながら雨に濡れるよりは、まず雨宿りをするか傘をさしませんか?