前回の続き
昨日おとついと全然寝ていなかったため、今日はゆっくり寝て朝もゆっくり起きた。宿のwi-fiが弱いため、朝食はwi-fiが使えるところで食べようということになりwi-fiマークを掲げている店を探した。後でわかったのが、グラナダのカフェテリアなんかであればwi-fiマークを掲げていようがなかろうが大体どこでもwi-fiを使えるところが多かった。店に入る前に繋いで確認してみるといい。
朝食はホステル近くのカフェテリアに入った。昨日と同様に英語が全く通じず、こちらはスペイン語なんて全くわからないためコーヒーとパンを写真指差したりしながら時間かけて無理矢理てきとうに返事する。店に来るのは地元の人ばかり。宿の近くとはいえ旅行者がよく来る場所ではないのかもしれない。単純にグラナダの人口が多いだけだろうか。客層はどちらかというとおっちゃんが多い。時々おばさん、若い人はこういうところにあまり来ないのだろうか、特に若い男性は滅多に見かけない。内装なんかは特にかっこいい感じではない。その分気取った雰囲気もなく、気軽に利用できていいかもしれない。しかし、クレジットカードは使えない。全然使えない。スペインはどこでもクレジットカードが使えるって聞いていたのにここグラナダでは全然使えないんだ。
グラナダに観光で来たんだけど、昨日アルハンブラ宮殿へ行ってしまって他にこれといった目的地というのが無い。団体ツアーのように興味がない場所をなんとなくダラダラと見て回る趣味もなく、かといってこのまま何もしないで出て行くのも勿体無いため、また街を歩いた。チェコ好きさんはグラナダ大聖堂というところに入っていったが僕は興味がないから外で待って写真を撮ったりしていた。
グラナダ大聖堂。けっこう大きい
佇むじいさん。日差しは強いが冬だ
道行く親子
てきとうに行く場所として候補に挙げていたのは、サン・ニコラス展望台というところだった。これはアルハンブラ宮殿の外観がよく見える場所として街の展望台になっている。実は昨日アルハンブラ宮殿側から街を見渡した時、向こう側に人が集まっている場所が見えていた。
「あれがサン・ニコラス展望台ちゃうの?」
遠くを指差してみせたが
「どれ?」
チェコ好きさんは目が悪かった。というよりは僕の目が良すぎた。これは今回の旅行において後々もずっと実感する部分だった。僕の目の良さが異常、と言っても1.5。老眼が心配される。
サン・ニコラス展望台の場所はアルハンブラ宮殿から見たのと地図で大体の位置を把握していたから、そこを目指して歩いた。展望台と言うぐらいだから、歩いたというよりは登った。昨日に続いてまた登った。グラナダへ来てからは連日丘を登りっぱなしだ。登るのはどちらかというと好きな方だ。ガチ登山はやったことないが、もう少しきつくてもいいぐらい、それぐらいこのサン・ニコラス展望台は軽い。去年ドゥブロヴニクで登ったスルジ山のほうがきつくて、京都の愛宕山や滋賀の立木山の方が余程きつい。
サン・ニコラス展望台へのルートというのはいくつかあるようで、近くを歩いていればそこに辿り着けるように道が整備されている気がする。登山道というほどではないけれど、下から上に続く階段があり、僕らは西から登ったが南側からでも登れる。ただ頂上に関しては少しわかりにくかったため、ルートを把握して登ったほうが無駄な時間を過ごさなくていいかもしれない。階段を登りたくない人はバスでも行ける。
昨日反対側から見えたように、展望台にはたくさんの人がいた。もちろんほとんどが観光客。中にはヒッピー風の人がいたり、観光客目当てに流しの音楽を演奏する人もいる。レストランもカフェもある。アイスも€2から売っている。日本人観光客もいる。
お堂の前の十字架で佇む人
サン・ニコラス展望台を降り、アルハンブラ宮殿の近くを流れる川沿いを歩いた。午後2時頃、その川沿いにあるレストランで僕らは昼食をとった。レストランだけど近くの公園に設けられたテラス席に座った。ここでも流しのミュージシャンがラテン系の音楽をギターで奏でては歌い、おひねりを募っていた。注文したのはまたもやパエリア、他に知らないんだからしょうがない。今回はドリンクとパエリアともう一品で€10というメニューだった。僕らはドリンクだけ2つ頼み、2品目はジャガイモの入ったオムレツを頼んでパエリアと二人で分けて食べた。味は昨日の店より良く、値段も安い。1889だったかそういう名前の店だったと思う。
レストランで食事をとった後は、2つ目の候補だったハマムへと向かった。ハマムとは銭湯のような公衆浴場、スパと言えばいいのだろうか、そういうやつだ。アルハンブラ宮殿近くということでイスラム式で営業しているタイプがハマムと呼ばれる。この時はアルハンブラ宮殿近くにあるから当時の浴場を再現したものだと思っていたが、後で知ったのはモロッコなんかで一般客用や観光客用のハマムが普通に今でも営業していた。グラナダのハマムは少し入り組んだところにあった。アルハンブラ宮殿の少し北側、川と挟んだ細い通路にある。丘の下にある広場から歩いてすぐに行ける場所で、アクセスは悪くない。
入ると受付は英語で対応してくれた。今から利用したいと言うと、予約制で今からは利用できないと言う。ちょうど昼の3時で、4時から予約した。値段は€28と結構高い。マッサージをつければ€40するが、アルハンブラ宮殿のチケットがあると割引が効いて€36になる。入場だけのコースに割引はない。ちなみに1ヶ月以上前からネットで予約していれば2割引きにもなる。これが入場のみに効くのかどうかは知らない。予約した4時までの1時間、僕らは再びグラナダの街を歩く。グラナダの街でもバスは非接触カードが使われており、現金を使う人はあまり見かけない。そこまでハイテクにもかかわらず、なぜかグラナダのバスはGoogleマップに対応しておらず、ルート検索ができなかった。
街中にはUFOが墜落したような置物というかモニュメントというか、そういうのをいくつか見かけた。比較的新しいもので、そのうち撤去される一時的な広告かなんかかもしれない。これが何で、何の目的でおかれているのかは全然わからなかったが、写真を撮っている観光客は僕以外にもいた。
何かのデモをしていた
1時間歩いてハマムへと戻る。ハマムへの入場は水着であり、日本の銭湯と違って体を洗ったりはできない。他に持ってくるものは特に無い。タオルなんかも貸出してくれる。ここのハマムは予約制になっているように時間制であり、90分が利用時間となる。そしてその時間の利用人数も限られている。水着で入るため男女とも同じ浴場を利用する。トリップアドバイザーのコメントにあった通りカップルが多い。
受付では説明を受ける。待合室から靴にカバーをつけること、カバーはもらえる。土足厳禁なのだ。次にロッカーの説明、4桁の暗証番号製だ。タオルの説明、タオルは浴場にかける場所もあるが濡れたり誰かに持っていかれたりすることもあるためロッカーに置いていくのをおすすめするとか。ロッカールームで着替え、中へ入るとまた女の人が待っており中の説明を受ける。まず、ここでは静かにすること、ぬるい湯と熱い湯と大浴場、ミストサウナ、手前の休憩所、奥の休憩所があること、手前の休憩所ではお茶を置いているから自由に飲んでいいが、他の場所で飲まないこと、最初に浴場へ入る前とミストサウナを利用する前後にはシャワーを浴びることなど、基本的だが細かい説明があった。全部英語だから正直ちょっと聞き取れない。英語が全くわからない人には利用が難しいかもしれないが、ここに書いた内容を覚えておけば問題ないだろう。おそらくルールは変わらない。
内装はイスラム建築を模したタイル張りの洞窟のようになっており、さらに雰囲気を出すため薄暗くランプのような電気がついている。おまけにアラビックな音楽が小さなボリュームで流れる。お湯はぬるい湯と熱い湯と聞いたがぬるい湯は本当にぬるい。熱い湯は日本の銭湯に慣れた我々にとって全然熱くない。僕らは熱い湯やぬるい湯、ミストサウナへと交互に入る。そして休憩所に置いてある金属の水差しのようなものからプラスチックの使い捨てコップに茶を注いで飲んだ。ミントティーだ。
「ハミガキ粉の味がする」
チェコ好きさんはそう言っていたからミントティーは好き嫌いがあるかもしれない。それでも飲んでいたが。僕らは湯に浸かったりミントティーを飲んだりサウナに入ったりして1時間ぐらい過ごした。中に出口と書かれたドアがあって、そこに進もうとしたら非常口だった。元のロッカールームに戻り、着替え、出口案内の表記に従って外に出た。チェコ好きさんはまだ来ていない。ベンチがあり座って待っていたが、そこそこ時間が経ってもまだこない。湯冷めしてしまう。中から他の利用客が出てくる際、僕に
「連れ添いの人が中で待ってるよ」
と教えてくれた。中で?と思ったがお礼を言って中に入ると、奥の待合室でチェコ好きさんは待っていた。
「川添さん遅いなー」
と言われたが、彼女はどうやら出口案内の表記を見落として、入場前の待合室で待っていたらしい。ハマムは高いけれど、アルハンブラ宮殿に行ってからその浴場の雰囲気を味わいたいなら観光ついでにいいと思う。比較的カップルが多かったが、一人で来ているおじさんもいた。アジア人は僕らだけだった。
予約は公式サイトでできる。地図や写真もあるよ
ハマムを出たのは5時頃だが、その後はもう何もすることがなく、昼食も遅めにとっていたためスーパーで飲み物とお菓子とビールを買ってホステルへ持って帰った。ビールは日本みたいに変な税金がかかっていない分かなり安かったと思う。€1以下だったかな。帰ってからは明日の支度をしていた。グラナダは明日発つ。
グラナダの宿題 黄金教会
次回、3日目 コルドバへ