結婚生活の話

結婚生活について書いてほしいと言われた。パートナーについてはこれまでにもここに書いてきたから省くとして、結婚後の我々の関係であったり、生活?について。となると何を書いていいやら。

僕とパートナーはもともと友人だった。その関係性は、結婚後もほとんど変わっていない。友人のような関係のまま結婚して、1年経った今もそのまま続いている。付き合う前の友人期間が1年あり、彼氏彼女期間が半年で僕らは結婚となった。友人期間のほうが長く、付き合い始めたからと言ってお互いの態度が変わるようなことはなかった。彼氏だから、彼女だから、結婚したから、立場が変わっただけで態度を変えたりすることに僕は違和感があり、そういうことをお互いやってこなかった。態度が変わっていくとしたら、立場によってではなく親密度によってグラデーションのように変化していくものだろう、と僕は思っている。「ハイ、付き合いました」「結婚しました」という号令だけで態度を急変させるのは不自然だ。中身は何も変わっていないのに。

だいたい僕自身は彼氏彼女関係、婚姻関係に対して願望をいだいたことがない。だから「彼氏とはこういうもの」「結婚とはこういうもの」といったイメージがなく、その立場になってああしたいこうしたいとかも一切ない。むしろそんな型に囚われたくない、こだわりたくないという気持ちのほうが強い。だから籍を入れなくてもいいと言っていたし、パートナーの方の姓を選んでいいと言っていた。そういう表面上のことは、僕にとって些事であった(結局相手の希望で僕の姓になった)。

立場によって態度を変えるとか、表面上のことを繕うのは、プライベートではなくパブリックな場においてだけだった。例えば双方の親の前だとか、パートナーの仕事上の付き合いや、事務手続きの場においてのみ僕らは婚姻関係のロールを演じ、対応することが求められるから仕方なくやる。そしてプライベートではこれまで通りという感じ。結婚生活ごっこをやるのは表向きだけでいい。

単純な生活という意味では、僕は結婚諸々のために帰国したため、大きく変わった。僕が僕自身のためだけに生きる時間は終了した。今は全てパートナー中心の生活をしている。もともと僕は夢も希望のなく、かろうじてあった自分のやりたいことは、今までの人生でほとんど全部やってきた。今はまさに、結婚してパートナーのために生きるという生活をやっている。

といっても僕には経済力がないため、働くという面では家庭に一切寄与していない。パートナーに頼り切りである。その点においてパートナーからすれば、一人増えようが同じという塩梅。ただそれではあまりに申し訳ないから、経済的にも寄与できるように努力はしている。パートナーはそれについて「どうでもいい」と言っている。このあたりは男性が家計を支える家庭と根本的に違う。

経済力でないならば、一体どういう形で僕がパートナーを支えているのか。大まかに言えば、パートナーの経済以外の負担を軽減している。心労であったり雑用であったり、厄介事であったり、人手であったり、いてくれると助かると言われるよう日々務めている。パートナーは元々一人で何でも出来る人だから、能力は全部僕より高い。実際のところ僕はいなくてもいい。ただ、「いたほうが楽」と言われる程度の役割を担っている。

同様に、僕自身もパートナーがいなくて困ることはない。お互い30代後半まで誰も必要とせず、一人で生きてきた。あえて結婚する必要もなかった。そういうときにお互いが「してもいいんじゃないか」と思える相手だったから、今のようになった。僕はその「結婚してもいいんじゃないか」と思われる対象であり続けるように努めている。

僕に関して言えば、生活の主体が自分ではなくパートナーに移ったため、生活様式は大きく変わった。パートナーと僕とでは生活の基準が何もかも違う。ほぼ全部向こうに合わせているが、至らないところは多々ある。ただ特に無理したり我慢したり、頑張って合わせているということはない。禁煙は多少つらかったところもあるが、強要はされていない。

基本的にはパートーナーの生活スタイルに、僕が合わせる形になっているが、逆にパートナー側から僕に合わせてくれていることはなんだろう?と思って聞いてみた。以下が返ってきた答え。

うーん言葉にするの難しい
私は家族も含めて世間体を気にする性格やから、普通こうするやろって行動が川添さんにとって普通ではないことを受け入れるという部分は合わせてるかな… こっちに合わせてほしいことはちゃんと毎回伝えるけど、どっちが正しいとかそういうのは無いという意識改革というか

なるほど、そんなに変か俺。でもこういうことは、付き合う前から言われていた。まず最初に相手(僕)が普通じゃないこと、常識の外側にいる人であることを認めるところから始めた、といったようなこと。生活の上で具体的に合わせているところは「しょうもない話を聞かされているところぐらいかな…」という回答だった。向こうから求められることもあるけれど、それ以上にめっちゃ話すからなー。

僕の結婚生活はそんな感じ。もっと具体的な話をするなら、朝猫に起こされて、朝食を用意して、それぞれ仕事をして、夜には帰ってきて、夕食はパートナーが用意して、洗い物は食器洗い機がする。掃除洗濯は僕がやったり向こうがやったり。猫の世話も僕がやったり向こうがやったり。同居、分業という感じです。食事をしながらNetflixやAmazonプライムを見たり、お互い都度今日あったことを話したり、たまに外食したり映画館へ行ったり、そんなもん。友人っぽいでしょ?