ベスト・キッド2とは何だったのか

Netflixでコブラ会を見ていて、ベストキッドネタが結構頻繁に出てくるため、ベストキッドを見返した。今ベストキッドを見返してみると、ダイジェストのようだなーと思った。あれよあれよと展開が進み、あっという間に終わってしまった。ベストキッドは1〜3まで全部子供の頃に見たことがあって、覚えているシーンもいくつかあったんだけど、1を見返しただけでは不十分だった。コブラ会の回想シーンにもベストキッド1以降が出てくる。これは全部見ないといけないんだなーと思い、次に2も見ることにした。

ベストキッド2は外伝的な話で、ミヤギさんの父親が危篤になったから沖縄へ帰る話だった。アメリカの映画なのに沖縄が舞台なのだ。80年代の映画だから沖縄返還後ではあるけれど、まだ観光開発などがあまり進んでいなかった時代だと思う。ベストキッド2は、メジャーなベストキッドシリーズの皮を被った、カルト的な作品だと思う。けっこう意味がわからなかった。物語は一応1の最後から始まる。トーナメント大会が終わった直後から。

夏休みに入るか何かで、ダニエルさんはミヤギさんの家に泊まろうとしていた。しかしミヤギさんの父親が危篤という知らせが来て、急遽ミヤギさんは故郷の沖縄へ帰ることになった。ダニエルさんはミヤギさんの帰郷に突如加わることになる。いつの間にパスポートを取ったのだろう。

ベストキッド2の沖縄はいったいどこで撮影したのだろう?どう見てもセットではないが、全然沖縄っぽくない。日本っぽくもなければアメリカっぽくもない。日本語が上手い人は一人も出てこない。アジア人もみんな片言の日本語を喋っている。検索してみると、ロケ地はフィリピンやアメリカ国内だそうだ。那覇のシーンはリトルトーキョーで撮ったとか。

ベストキッド2の沖縄は、当時のアメリカが抱いていた日本像を具現化したファンタジーの世界なのだろう。すごくリアリティがない。こっちは何を見せられているんだという気分になるが、おそらくアメリカ人にとっては自然に受け入れらる日本像なのだろう。そこにベストキッドのミヤギさんとダニエルさんが入っていって、ひと悶着起こすのだ。

ミヤギさんは、兄弟弟子だった佐藤という男性から逃げるように渡米してきた。理由はミヤギさんが佐藤と結婚するはずだった女性を奪ったからだった。父親は死ぬ前にミヤギさんと佐藤の間を取り持とうとするが、あっけなく逝ってしまう。そしてミヤギさんは佐藤から執拗に嫌がらせを受ける。その嫌がらせが非常に地味で、最初は送迎のフリをしてミヤギさんとダニエルさんを車に乗せ、全然知らないところで下ろして行ってしまうというものだった。他に畑を荒らすとか。その嫌がらせ描写が延々と続く。

同時に、ダニエルさんは現地人のクミコという女性と仲良くなる。デートに行ったりダンスパーティーに行ったりする。それを佐藤の甥という一番弟子の男から毎回邪魔される。このくだりを延々と見せられる。本当によくわからない。ベストキッド1もそうだったけれどダニエルさんのデートシーンが多くて、その時間は本当に興味がわかない。誰に需要があるのだろう。

ここからネタバレになるが、沖縄に台風が来て、倒壊した家に佐藤が取り残される。佐藤は死んだと思って甥は逃げてくるが、ミヤギさんとダニエルさんは佐藤を助けに行き、なんとミヤギさんと佐藤は和解する。この映画の主旨がミヤギさんと佐藤の対立だったのに、和解してしまったのだ。何なんだこの映画は。それでもまだ取り残された子供がいて、ダニエルさんが助けに行く。佐藤は甥に助けに行けと言うが甥は断る。そこで佐藤は甥を破門にする。

最後に、遺跡のようなところで見たこともない盆踊りが始まる。和解した佐藤とミヤギさんも参加する。クミコはその舞台で日本舞踊を踊る。そこに佐藤の甥が現れ、ダニエルさんに恥をかかされたと言って勝負を挑んでくる。ここでダニエルさんと甥の勝負が始まる。これが佐藤とミヤギさんの勝負の代わりで、和解する前の佐藤と同じ理由で勝負を挑んでくる。どう見ても茶番だ。この勝負は、ベストキッド1のときと同様に通常の格闘シーンが行われる。

しかしこの格闘のラストがとんでもない。なんなんだこのラスト。わけがわからない。狂ってるとさえ言える。このラストが気になる人は、どうぞ本編を見てみてください。

ベスト・キッド2 - Netflix