若いうちに身につけるといい、人前で話すスキル

数年前に、研修で人前で話すスキルを習ったことがある。これが実際、けっこう人生で役に立つなーと関心した。と言うのも僕は、子供の頃から人前で話すことはずっと苦手で、なんなら憎悪していて、なるべくそういう機会を避けてきた。だからこんな研修も本当は受けたくなかったし、やってる間もずっと憂鬱だった。でも内容はとても有用で、もっと早くに学んでいれば、いろんな場面で役に立ったのに、と思うところもあった。今は人前で話す機会はないけれど、苦手意識は薄くなった(今もやりたくはないけど)。

僕が学んだのは、プレゼンの作法みたいなやつだった。一昔前に流行った、TEDでやっているようなプレゼン。プレゼンには決まりきった作法があって、そのとおりにやればけっこう誰でも上手くいく。人見知りとかしゃべるのが苦手とか、あがり症とか人前に出るのは苦手とかは関係なく、お手本通りにやればいいだけ。驚異のプレゼンが一冊の本になっているスティーヴ・ジョブズが、プレゼン法をどれだけ自己流なのか作法に則ったものなのかは知らないけれど、本番前に練習しまくって細かくチェックしていた話は聞いたことがある。ただのしゃべり上手のアドリブおじさんではない。アメリカ人のビジネスをやる人は特に、基礎教養としてディベートとかスピーチを学んでいる印象。日本人でも一定のプロ意識がある人は、自己流ではなくちゃんと勉強してると思う。

僕は、インストラクショナルデザインというものを学んだ。インストラクターがセミナーなんかで話す、有効なやりかた。ガニェの9教授事象とかやった。もうあまり覚えていないけれど、例えばラポールの構築とか。相手に信頼してもらうために、自己開示から始めるとか。同じ場所でじっとしておらず、移動したり動いて注意を惹くとか、一人一人に目を合わせるつもりで目線を変えつつ焦点を定めるといった具体的な動きもあった。ここで学んだのは飽くまで話し方だけで、話す内容については自分で考えないといけない。最初は自己紹介からスタートした。

とにかく数を重ねた。研修に来ている人の前で、あるテーマについて毎回スピーチというかプレゼンをやる。これまで習ったポイントがプレゼンに活きているか、来ている人全員と講師にチェックしてもらう。ビデオを撮り、後で自らもチェックする。自分が話すときの直すべきクセとか、得意な部分を認識して次回どこをどうするか考える。次にまた新しい手法を習う。別のテーマでプレゼンを考える。これまで習った手法と、今回習った分を踏まえてまた実践する、チェック、この繰り返し。

インストラクショナルデザインで習ったことが、何に活用できるか。元々は授業をするための方法論だけど、スピーチやプレゼンに使える。営業にも使える。悪徳商法のセミナーも上手くいくようになる。YouTube動画なんかにも活かせると思う。もっと単純な話だと、人に好かれやすくなる。人から見た自分の壁やハードルを下げることができる。話しやすく、おもしろい人だと思われやすくなる。あとは、いざ自分に話す番が回ってきたときに、物怖じしなくなる。それどころか、「話すの上手い人」みたいな印象を持たれて帰っていってもらうことになる。つまり、誰にでもオススメ。

人前で話すスキルは、話すのが上手い人が生まれ持った才能で話していると思われがちだけど、そんなことはない。得手不得手はあると思うけど、泳ぎ方や自転車の乗り方と同じで、練習を重ねれば誰でもある程度まで上達する。習得しておけばいろんなところで活躍する。学ぶにあたっては、雰囲気やる気プレゼン根性論みたいなやつより、ある程度理論が確立されている手法を学べる、ちゃんとした学校みたいなところを選ぶことをおすすめします。

※追記

講習通っていたときの日記があった。