本読み

「辺境中毒」感想・書評

先日、Kindle版が日替わりセールで199円になっているという話を聞き、買って読んだ。こちらはアヘン王国から日本に帰る経緯や西南シルクルードは密林に消えるとは別の機会にミャンマー、カチン州を訪れた話など、今までの紀行における本編に収録されなかった…

本を読んでいる人が、頭が良く見えるとき

僕は普段本を読まない。最近やや読んでいるけれど、読むときにたくさん読んで読まないときには全然読まない。その読むときというのが滅多に来なくて、ここ3ヶ月ぐらいが久々にそのときであった。それでもここ3ヶ月で読んだ本というのは、何冊だ、1、2、15冊…

退屈な日常にスパイスを。「アヘン王国潜入記」感想・書評

辺境作家、高野秀行の本を続けざま読んでいたが、ソマリランド、西南シルクロードと共に代表作とされている「アヘン王国潜入記」をやっと読み終えることができた。この本に書かれていた内容は1995年のことで、もう20年も前の話になる。当時僕はまだ小学生だ…

世界の料理好きにおすすめ「移民の宴」感想・書評

実は「知っておきたいマルクス資本論」を読んでいたのに難しくて、手を付けてしまった「移民の宴」を先に読み終えてしまった。 「移民の宴」は日本に住む外国人を訪ね、各国の食事をご馳走になりながら日本での生活を取材するという、日本にいながら海外を体…

ブックオフの迷走と、せどり

これを読んでいた。ブックオフはいつ頃からか市場調査・買取査定をしっかりやるようになり、そのおかげで以前よりも買取価格が上がった。しかし同時に販売価格も適正になってしまったため掘り出し物がなくなった。売る側からの魅力は以前より増したものの、…

「異国トーキョー漂流記」感想・書評

外国人と一緒にいると、目に映る風景も外国人のものになる。東京がトーキョーになる。 日本にいて外国人と関わることはそうそうない。外国人好きであったり仕事で関わる人は別として、それ以外は歩いているときに観光客に道を聞かれるのが年に1回もないだろ…

「ワセダ三畳青春記」感想・書評

青春記とあるが、この「ワセダ三畳青春記」(通称:三畳記)は辺境作家、高野秀行が大学時代の22歳から卒業後も33歳まで11年間過ごした、わずか3畳しかないアパートにまつわるエピソードを綴った本だ。大学は通常、浪人留年無しだと22歳で卒業する。高野さん…

大人だって本を読んだら感想を書こう

書を読んで考えないのは食べて消化しないのと同じ。 エドマンド・バーク - Wikipedia 活字離れが騒がれる昨今(もう古いか)、かたやインターネットを見渡せば多くの書評家、読書家があふれている。身の回りで本を読む人は少ないかもしれないが、ネット上に…

迷走する人へ、「間違う力」と「アスクル」感想・書評

欲しいものリストから頂いた中で紹介していなかった「放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法」ファンの間では通称「アスクル」と呼ばれている本を読んだ。その次に人から借りた「間違う力」を読んだ。この二冊はセットで読んでしまっていい…

「西南シルクロード」と「ソマリランド」の違い

欲しいものリストでいただいた本は次に読みます。「西南シルクロードは密林に消える」を読み終えた。この本は高野本の中でもファンの間で1,2を争う人気本であり、評価も非常に高い。高野さんの早稲田大学探検部の後輩であり、ノンフィクション作家の角幡唯介…

Letter from Kyoto書店

読書量は決して多くないんだけど、今まで読んだ本の中で人に読んで欲しい、何度でも読みたい、絶対的おすすめの本を並べてみたいと思った。このおすすめについては随時入れ替え、更新していきたいと思う。また、手元にある本なら欲しい人がいればあげます。 …

ブロガーとしての高野秀行

最近立て続けに高野秀行本を読んでいる。25年以上の作家としての経歴を持つ高野秀行氏なんだけど、2004年から12年に渡り今もブログを更新されている(不定期)。作家によるブログというのは珍しくないが、これほど早い時期から始め、長い間ずっと続けている…

ほしいものリストから大量に送られてきた

「未来国家ブータン」感想・書評

「謎の独立国家ソマリランド」「恋するソマリア」に引き続き高野秀行本を読んでいると旅行熱が湧いてくる。旅行熱、もともとあった旅行熱だけど、気持ちがより具体的になってくる。しかし行き先は見当たらない。どこに行って何をしたいか、予算や日程などを…

「コンビニ人間」感想・書評

この本を勧められたとき、「すごく変わっているから」と言われたんだけど、「すごく変わっている」と言われれば言われるほど普通の小説としか思えなかった。果たしてこれを「すごく変わった小説」と感じた人は他にもいるのだろうか。僕のように「ごく普通の…

「恋するソマリア」感想・書評

「謎の独立国家ソマリランド」が発売され話題になってから2年後の2015年、続編として「恋するソマリア」が発行された。前作は多くの人に読まれたが、今作は果たしてどれほどの人が手に取っただろう。確かに前作ほどのインパクトはなかった。謎に満ちた国家の…

「謎の独立国家ソマリランド」感想・書評

高野秀行さんの「謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア」を読み終えた。高野秀行さんは以前TBSのクレイジージャーニーに出演しており、最強のクレイジージャーニーは誰か?という内容でブログでも少し触れた。「謎の独立…

最近読んだ本の話

歴史とは何か 「歴史とは何か」をもうすぐ読み終える。最初の方の話は入りやすかったけれどだんだん難しくなってきて、歴史とは科学であるとか、進歩と歴史とか、歴史における偶然とは何か、テーマとしては面白いものの読み進めていてもなかなか頭に入らない…

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」感想・書評

「どうして離婚したの?」 「旅行するとき電車の窓側の席に座れないから」 このセリフはサリンジャーから引用したと作中に書かれている。具体的にどの部分かというと、「フラニーとゾーイー」のゾーイー・グラースが母親のベシー・グラースに「どうして結婚…

「青が散る」感想・書評

交換してきた。 渡した本である「青年は荒野をめざす」も普段読む類の本ではなく、当り障りのない物を選んだ。もらった本はもっと当たり障りなく、入りやすく、読みやすかった。70年代頃、大阪の大学生活を舞台にした小説。時代背景はそこかしこに雰囲気を漂…

成功物語には現実味がない

自分には成功経験がない。運も悪く、努力した上での成功もない。些細な幸運や成功はあるにはあったが、それを打ち消すような不運と失敗、挫折に見舞われてきた。その不運や失敗、挫折と言ったって大したことではないんだけど、そういうことを繰り返している…

ZINEを買う

ZINEとは個人や小規模で作る小冊子のことであり、ページが少なかったり紙が安かったりする分500円とか1000円から売られている。名前はMagazineから来ている。イラストやマンガ等あらゆる種類のZINEがあり、僕が買っているのは主に写真のZINE。写真集は高くて…

Amazonで電子書籍を売るにあたって

3年前に一度Amazonで電子書籍を出してみた。写真を集めたもので、今回もまた写真なんだけど3年ぶりに出してみた。長い期間が空いたことでもう完全に勝手がわからなくなっており、さらに当時から現在に至るまでの間に仕様変更がある。

罪と罰について

当時大学生だった。友人はおらず、スポーツや学業に打ち込むこともなく、バイトに励むわけでもない。何もない時間をただ通り過ごしていた。大学を卒業しても働くだけ。その働くだけが嫌で、先延ばしするために大学に行っていた。自分が望んだ学力の大学には…

「歴史とは何か」を読みたい

先日読み終えた「世界史の中のパレスチナ問題」を読み返していた時に、冒頭の方である一文があった。 そもそも、歴史はイギリスの歴史家E・H・カーの指摘を俟つまでもなく、「現在と過去との間の尽きぬことを知らぬ対話」であり、すべて現在の視点から事実を…

「世界史の中のパレスチナ問題」感想・書評

イスラエル訪問を予定していることもあり、パレスチナ問題について再び知っておこうと思い本を買って読んだ。イスラエル建国前後と中東戦争あたりについてはある程度知っていたから、それ以前とそれ以後、つまりアラビア半島がオスマン帝国であった時代から…

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」感想・書評

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を読んでいたとき、最初の方で強く違和感を覚えた。この本はプロテスタントの禁欲主義が資本主義を産んだとか育てたとかそういった内容であり、その理屈はよくわかったんだけど、現代を生きる僕らにとってそ…

彼女を救うために書き続ける村上春樹

ここには村上春樹の小説をいくつか読んだ中で、全体を通して感じた一つの筋道のようなものを書き残したいと思う。だからこの文章も、村上春樹作品を僕と同じか、もしくはそれ以上に読んだ人を対象としている。

「ねじまき鳥クロニクル」感想・書評

ねじまき鳥クロニクルは村上春樹の最高傑作だという風に言われていることが多かった。どこでそういう評判を聞いたかは忘れたけれど、僕はずっと気になったまま読んでいなかった。この本は外国人に人気があった。外国人が村上春樹の本を指す時、大抵は何故か…

Kindleではなく、タブレットで読む電子書籍

先日、アメリカでKindleの利用が減少傾向にあるという記事を見た。記事の内容はそれがメインではなく、そもそも電子書籍が低迷傾向にあるというものだった。