感染症について、本から学ぶ

イタリアの小説家、パオロ・ジョルダーノという人が書いた『コロナの時代の僕ら』というエッセイが早川書房より日本語に翻訳され、現在全文無料公開されている。全27章仕立てのnoteとなっているが、一章あたりは短いため読みやすい。無料公開は本日4/11の19時(※12日に延長されました)までなので、今日中に読んでしまおうと思う。

本書は、イタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えていった本年2月下旬から3月下旬に綴(つづ)られたものです。感染爆発を予感しながらも、最悪の事態を阻めなかったみずからとイタリアの人々、そして人類のふるまいを振り返る、著者の思考と後悔の記録です。

4月11日時点の、イタリアの感染者は147,577人、死者は18,849人を数える。

[asin:4152099453:detail]

『流行性感冒 「スペイン風邪」大流行の記録』という本が、PDFで全文無料公開されている。こちらは3,000円もする本だが、無料公開をきっかけに重版がかかったそうだ。ダウンロードは4/30まで。こちらも気になる。

岩波新書のサイトでは、本ではないが『パンデミックを生きる指針』という文書が公開されて話題になっているそうだ。こちらは京都大人文研准教授の藤原辰史さん(農業史)による、歴史の検証から書かれた指針。PDFでダウンロード可能。A4で8ページと本よりも短いため、入門に丁度いい。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/215446

ノーベル文学賞作家であるアルベール・カミュの作品『ペスト』は、少し前に品切れが話題になった。中古書店からは姿を消し、メルカリ等では1,500円、2,000円近い値がついている(僕は2016年にブックオフで100円で買った)。

しかしこの本は電子化されているため、Kindle版であれば現在742円で読める。医者の主人公は、ロックダウンされた町の中で日々増え続ける患者と向き合い、変わりゆく町の様子を淡々と記録している。正直読みにくいと思った小説だ。エモーショナルな表現は少なく、業務日誌に近い。

他に読みたい本としては、『世界史』のマクニールが書いた『疫病と世界史』。歴史家の書いた歴史本であり、疫病の専門家ではなく、今役立つ本ではない。これまで疫病が歴史にどのような影響を与えたか、単純に興味がある。今後の参考にもなるかもしれない。こちらは在庫がなく、電子化もされていない。中古価格はやや高騰している。

「疫病と世界史」はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

集英社の特集ページ、『コロナブルーを乗り越える本』では、感染症について学ぶ本だけでなく、今このタイミングで読みたい本が紹介されている。各方面から選者が集まっており、ライナップと紹介文を読むだけで楽しい。『コロナの時代の僕ら』も入っていた。