アンダーザシルバーレイクを見ていたら、ホーボーサインなるものが出てきた。ホーボー、久しぶりに聞いた言葉だ。ホーボーとは、19世紀から20世紀初頭のアメリカで貨物車両に無賃乗車をして移動しながら、日雇いや季節労働者として働くホームレスの一種だそうだ。
ホーボーを初めて知ったのは、ジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード」だった。主人公はホーボーに憧れ、子供の頃「大人になったらホーボーになりたい」と親に言ったら怒られたとかそんな記述があった気がする。ホーボーはホームレスの一種なんだけど、一部で憧れの対象として見られている。Wikipediaには「ホームレスのサブカルチャーの一員」と書かれている。どういう意味なんだろう。日本のいわゆるホームレスが、憧れの対象になる話は聞いたことがない。なぜホーボーにはホーボーという特別な名前まで付き、サブカルチャーの一種と言われるのか。
ホーボーが憧れの対象となる背景については「大陸を自由に移動するその姿勢が、アメリカのフロンティア精神を体現しているから」などといった記述があった。ジャック・ケルアックのオン・ザ・ロードは、アメリカ大陸を何度も横断する話であり、ある意味ホーボーを真似していると言える。ホーボーは無賃乗車だけど、ビートニクは車。ヒッピーカルチャーの元となるビートニク、またその元となったのがホーボーと言える。アメリカにおいてはそういう自由の体現者であったり、フロンティア精神とか移動する人たちが憧れの対象となる伝統があるのかもしれない。ホーボーを題材にした小説や映画もあるそうで、「北国の帝王」という映画は伝説のホーボーがテーマとなっている。
1930年代大不況下のアメリカを舞台に、職を求めて鉄道の無賃乗車で放浪を続ける浮浪者(ホーボー)と無賃乗車犯を追い払う車掌との対決を描く。
このホーボーという存在・概念は、アメリカ文化の中でどれほど浸透しているのだろうか。ホーボーがいなくなったのは、アメリカが車社会になったからと言われている。列車が利用されなくなると、無賃乗車も何もない。アメリカと言えば車社会で、列車が主要な移動手段であった時代なんて、かなり前だ。にもかかわらず、2018年の映画アンダーザシルバーレイクにホーボーという言葉が出てきて、さもみんな知っているかのように使われている。アメリカ人はみんなその源流を知っているのだろうか。ホーボーがいなくなってからも、ホーボーのようなカルチャーはイージーライダーのような移動する者たちに引き継がれていく。自由と移動の体現者。僕がホーボーに惹かれるのは、それが現代で言うところのバックパッカー的だと思えるからで、根無し草への憧れが強い。
ホーボーについて書かれたページ
ここではアンダーザシルバーレイクにも出てきたホーボーサインについて詳しい。
ホーボーについての一般的な説明。ホーボーバッグというものがあるんだな。
http://zip2000.server-shared.com/theroad.htm
ジャック・ロンドンを中心にホーボーについての記述。労働するホーボーに対して、働かない人はトランプと言うらしい。
ホーボーに関連する本
読みたい本を載せるだけ。本当は読んでから内容も含めて紹介すべきなんだけど、めっちゃ先になるからとりあえず。
読みたいけれど在庫がない。図書館にもない。ジャック・ロンドンの本でホーボーについて書いてあるのは少ないそうだ。
これはなんだろう、ジャケ買いしたいやつ。これも図書館にない。
とりあえず日本語で読めるものは片っ端からページをめくってみたいというだけ。
エリック・ホッファーはホーボーだったそうだ。
ホーボー映画
昔のアメリカ映画ではしょっちゅう貨物列車に無賃乗車していたそうだ。ジェームス・ディーンなんかが。
先程挙げた北国の帝王は、配信にはない。
マーティン・スコセッシの初期作だって。やはり配信にはない。
アメリカ以外でホーボー的な人たちと言えば、ロマになるのだろうか。迫害のされ方も似ている。ただ働き方、住み方、移動の仕方は全然違う。