鴨川についての話

鴨川って急に言われても、京都以外の人にはなんのことやらですよね。はじめの一歩の鴨川ボクシングジムか!?って思う人も少なくないと思います。鴨川会長は若い頃、米兵と試合する前に丸太を殴って拳を潰してしまい、引退となりました。

京都の人間から言わせれば、鴨川は鴨川会長ではなく、あの鴨川しかありません。京都市内を北から南へ流れる河川のことです。僕は鴨川からけっこう近いところに住んでいたため、馴染みがあります。小中高と、冬のマラソンは鴨川で行われました。京都の川べりで開催される冬のマラソンは苦行で、こちらは半袖半ズボンの体操服なのに雪が降ったりしています。小学一年生のときに走りながら、寒くて苦しくて「死にそう…」とつぶやいたら、前を走っていた上級生二人に「死にそうやったら、死ねばええやん〜笑」と笑いながら言われたことを今でも根に持っています。その場で殺してやろうかと思いましたが、そんな根性はありませんでした。

ゴール近くになると保護者のお母様方が飴湯という冷やし飴を温めたもの、ショウガをお湯で割って砂糖を加えた飲み物を用意して待っていました。飴湯を口に含むと「なんじゃこれー」と吐き出した。こっちはのどが渇いていて、こんなもの飲めねえ。近くで配られていた水に並び、紙コップを受けるとると速やかに飲み干しました。

マラソン大会が行われるだけのことはあり、鴨川は走るのに適しています。僕も一時期はジョギングをしていたことがあって、それはあまりに体力がないことへの危機感からだったのですが、ジョギングは決まって鴨川で行っていました。河川敷を走ることの良い点は、信号がないこと、車が走っていないから排ガスで苦しくならないこと、比較的安全であること、水辺で気分がいいことなどたくさんあります。中でも大きいのは、一本道が続いていること。そして景色が変わることです。

大阪に住んでいた頃のジョギングスポットとして、大阪城公園がありました。僕は2回走ったことがあるのですが、それ以上続かなかった。なぜか。走っていてつまらなかったから。同じところをぐるぐる回るのと、鴨川のように真っすぐの道を行って帰ってくるのとでは全然違います。同じところをぐるぐる回っていると、まるで家畜になって走らされている気分になる。景色が変わらないのが意外とつらい。同じ理由で、名古屋に住んでいたときの名古屋城公園も無理でした。2回でやめた。宝ヶ池の周りを走るのは、池があるだけまだ気分的にましだった。

京都を離れて暮らしたときに初めて、鴨川がいかにジョギングに適していたかを知ることになりました。貴重だった。僕は大学を卒業してから10年近く京都を離れていたため、その間ずっと貴重なジョギング環境を手放していたことになる。京都に住んでいるなら、鴨川の近くに住んでいるなら、ジョギングに活用しないともったない。今僕は鴨川の近くに住んでいますが、ジョギングは全くしていません。

鴨川は何もジョギングだけではありませんからね。ほら、デルタとかあります。デルタってなんですか?出町のあたりにある、三角のところです。それ以外に何も言えない。一度NHKのドキュメンタリーで特集されたこともあった。ドキュメント72時間「京都 青春の鴨川デルタ」。僕は放送をチラ見していたけれど、何を話しているのかさっぱりだった。ある学生が、耐久何時間デルタにい続けられるか、というのをひたすらツイートか何かしていて、そのまま夜を明かしたりしていた。番組スタッフに「何か意味はあるのか?」みたいなことを聞かれたら「意味なんている?」などと言い返していた記憶がある。ちゃんと覚えていないから、興味がある人はNHKオンデマンドでお金を払って見てください。

くるりにもデルタっていう曲があるそうです。今はじめて知りました。

あと鴨川と言えば、三条大橋から四条大橋にかけて等間隔に並ぶカップルが有名ですね。ご存知ですか?鴨川に沿って、川岸にカップルが間隔を空けて座るんです。10組とか20組とか、もっと続く。その様子がおかしいみたいで有名になりました。僕も何度もやってます。自慢とかではないですよ。だって、あれは全然カップルに限ったことではないんですから。