「マティアス&マキシム」を見た

2月ぶりに映画館で映画を見てきた。見たい映画はいくつもあったんだけど、なかなか見られていなくてようやく行けた。マティアス&マキシムはアトロクの映画評を聴いて、見たいと思った。今でも聞けるから、興味がある人はどうぞ。

映画評を聴いた時点で気になっていた点が、いくつもあった。まず宇多丸さんが言っていた「第2思春期」という言葉。20代後半から30代に向けたこの時期。ここを越えると大人として後戻りできない気がする。人生の方向性が決まってしまう。そこで改めて、自分は本当にこのままでいいのだろうか?と思い悩む時期、それを宇多丸さんは第2思春期と呼んでいる。

マティアスは仕事で昇進の話が出る。彼女との関係がより形を帯びてくる。そのタイミングで、大きく揺さぶられる。マキシムは今の生活に区切りをつけようと、オーストラリア行きを決めている。

ここで僕はどうしても自分のことを振り返ってしまう。僕は30歳で会社を辞めて、半年後にカナダへ渡航した。理由はいろいろあったけれど、大学を卒業してからずっと続けていた仕事を、その後も何十年と続ける気力がなかった。なにか辞めるタイミングや言い訳を探していた。

そのとき付き合っていた人は、京都のマルイに入っていた店に就職するかもしれないと言っていた。僕は彼女がこっちに来たら、そのまま結婚するのかもしれないと思った。そうしたいとかではなく、他の人たちと同じように、そうなるのかもしれないと。僕は一般企業のサラリーマンで、30歳だった。向こうは仕事が決まれば、岐阜から京都に引っ越すことになる。彼女は仕事が決まり、京都で住む家を探していた(僕はそのとき大阪に住んでいた)。

結局彼女はその新しい仕事を断り、僕は会社を辞めてカナダへ渡航することにした。その直後ぐらいに、彼女と別れた。今思い返すと、会社を辞めてもやることがないと言っていた僕に、ワーキングホリデーで海外に出てみたら?と提案してくれたのは彼女だった。何か具体的なプランがあったわけではない。ただなんとなくその時期に、僕の方向性は大きく変わった。

マキシムは大したあてもなく、目標も計画もなく、英語すらつたないままでオーストラリアへ行こうとしていた。それと非常に近いものがあった。年齢も同じ。第2思春期という言葉や時期は、実際のところあまり関係ないのかもしれない。ただ、この一連の部分だけをとっても、何かどうも他人事とは思えないような、そういう気持ちにさせる映画だった。

マティアス&マキシム(字幕版)

マティアス&マキシム(字幕版)

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