たとえば、はてなで

自分は横のつながりがない方だったから、こういう連帯感とかコミュニティの感じ、もっと言えば一つのシーンに乗っかっている感覚が薄かった。それでもブログ全盛期だった時期には利用していたし、そういったシーン全体の盛り上がりを横目で眺めていた。

だいたい黎明期、ARTIFACTとかアキバblogとか、「ブログと言えばライブドアかMovableTypeっしょ」という時期から始め、はてなを利用し始めたのはもう少し後。2010年代に入り、やっぱりphaさんとか山崎はるなさんのはみだしの名文を読んで、「こういうのいいな」と思った。

あの人とか、誰だっけ、ブロガーじゃないけれど玉置沙由里(MG)さんとかどうなったんだろ。僕の記憶だとタイに行ってからネット上で消息を絶った。

横のつながりも少しだけできた。それは全然第一線で活躍している有名ブロガーみたいなのではなく、同じぐらいの熱量でネットとかブログという文化に浸かっていた連中。誰と仲良くなりたいとか、会いたいといった願望は基本的になかったから、近くだったり機会があれば接点を持つ、という程度の仲だった。

例えば id:xKxAxKxid:kireinasekaiid:bibibi-sasa-1205id:akatokoyrid:mayonakanonamiid:quelle-onid:aniram-czechid:GOUNN69、このあたりの人とは直接会って話したことがある。他にもいたかも知れないが、頻繁にではない。大体の人は一回会ったことがあるだけ。このなかで、今も現役でブログを書いている人は、なんと誰もいない。たまに思い出したかのように更新されることはあるけれど、過去のような更新頻度で書いている人は一人もいない。めっきり、パッタリ、終わった。今となってはブログという形式そのものが廃れきってしまっている。若い人からすれば、全く馴染みがないだろう。

かつてブログで、はてなで知り合った人の中には、今もTwitterでつながっていたり、たまに反応したりすることもある。しかし僕らはベースとしてブログで、はてなで知り合った連中だから、そのベースであったブログが崩れてしまうと、なかなかやりとりは起きない。今はお互いがそれぞれの道を歩んでおり、共有できる話題を失った。

僕のような泡沫ブロガーは息が短かった分、離れるのも早かったのだと思う。何者にもなれなかった僕らは、アルファブロガーの面々に比べ「書くことがなくなった」という状態に陥るのも早かった。ネット上では「あの頃を一緒に過ごした彼らは今どこにいるんだろう?」という関係性の喪失が連綿と続いている。かつて2chのコテハンだった同士、ニコ動で生主だった人たち、mixi、ネットゲーム、Twitter、Tumblrを去っていった人たち、そしてブログ、もといはてな。

ブログシーンが廃れたのと、さらに書き手の高齢化が今の状態に至る大きな要因なのかな。最近でこそ自分は開き直って、どうでもいいことを書く頻度が上がった。けれど人に勧める気にはならない。書こうぜ、なんて今はとても。ただまあ当時のように、時間をかけてしっかり中身を考えて、更新頻度高く書こうと思わなければ、意外とどうでもいいことを書ける。それを書いたからと言って、意味はない。かつてのように、何かが起こるかもしれない予感もない。