「もうアートなんか超えた、まったく新しいジャンルですよ」
これは当時39歳のノンフィクション作家、高野秀行が「謎の怪魚ウモッカ」を探しにインドへ向かう話だ。約10年前の現代、2006年に書かれた本である。「謎の怪魚ウモッカ」とは、日本人のモッカさん(ハンドルネーム)が1995年にインドのプーリーを訪れた際に、目撃したものだ(魚+モッカの造語でウモッカ)。モッカさんは惜しくもカメラを持参しおらず、その場で描いたスケッチだけが唯一の手がかりとなる。ウモッカのスケッチは現在確認されているどの海洋生物にも当てはまらず、図鑑にも載っていない。海洋学専門家に尋ねてもそんなものは見たことがないと言われる。もしウモッカが確認されれば、シーラカンス以来の世紀の発見になるかもしれない!「怪魚ウモッカ格闘記」の始まりだ。
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