自分から話しかける

自分から話しかけることが多い。話したことがない人に対して、一度自分から話しかけると、打ち解けるというほどではないにしても、それまでよそよそしかった人もまた向こうから話しかけてきたり、気軽に会話が進むようになる。相手と仲良くなりたいとか、何か特別に話がしたいとかいうわけでもなく、ただなんとなく「声かけたほうがいいんだろうな」と思ったら話しかける。話しかけないほうが不自然だと思って。たまに興味を持っているとか仲良くなりたいとか誤解されることもある。全然そんなことはない。興味を持つのはその後、話の中身に入ってから。

意外とやらない人が多いように感じるのは、多くの人が話しかける相手を選んでいるからだろう。僕自身はほとんど話しかけられない。選ばれない。でもおそらく、僕だって無意識に相手を選んでいる。いわゆるコミュニケーション強者は本当に誰に対しても話しかけている。いつでも、毎回。僕はそれができない。気分で話しかけたり、全然応じなかったり、そのときどきで落差が激しい。僕が基本的に話しかけられず、話しかける側なのはこういう態度にムラがあるからだろう。本当によく色んな人から「話しかけづらい」と言われる。そりゃあそうか。

ということはやはり、僕にだって話しかけやすい相手がいるということになる。人から話しかけられやすい人は、話しかけやすい雰囲気を出しているのだろう。僕自身も話しかけやすい人に対して声をかけているのだろうか。けっこうまばらに声をかけている気がする。自分が話しかけない対象といえば、話しかけなくてもいい相手になる。つまり、なかば義務感のようなもので話しかけているのか。声をかけたいわけじゃない。何を言うでもない。ずっと黙っていたっていい。けれど何も言わないのは不自然だなと思ったときに、相手が誰彼構わず声をかけている。

たまに、話しかけられるのを待ってる人がいるという話を聞く。その心理は全く理解できない。待つぐらいだったら自分から話しかければいいのに、なぜ、何を待つのだろう。待つぐらいだったら特に話す必要もないのではないか。待つ人生だったのだろうか。