映画Podcast「二九歳までの地図」の話

今年の夏頃にジョギングをやろうと思って、走っている最中に持て余す暇を解消する手段をいくつか探していたところ、一つのPodcastに行き当たった。

ジョギングは続かなかったが(ネタが途切れがちなのと胃に食物が残った状態で走るのがつらかったため)、その後もPodcastは通勤時間中に聞き続けることになった。そのPodcastというのが底辺文化系トークラジオ「二九歳までの地図」。

山田さんという20代前半会社員兼ラッパーの人がメインで喋っているPodcastで、サブで金内たけき夏アニメーションさん、映画監督の息子である金子さん、金田兄弟、カリギュラは気まぐれのタカシマさん(Podcast中では何度もカリタくんと呼ばれている)、ゼブラクラブの西さん、谷さん、藤本さんといった友人繋がりに、今年からは元リスナーの怜人さんを加え、東京近辺の若い人たちが主に最近見た映画のことなどを喋っている。

このPodcastを聞くようになってから映画を見る回数が増え、今年は結局50本近く見ることになった(去年は半分以下)。

そういうわけで、今回は「二九歳までの地図」の話。

  • 29地図(にくちず)の魅力
  • ベスト回、第12回「ブックオフハンター」
  • 西さん回、第67回「サイバーパンク」
  • メインの映画回もおもしろいです
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奇跡の彩りで描いた「ムーンライト」感想・評価

いつかは見たいと思っていたが、やっと見た。同年にアカデミー賞6部門受賞となったララランドとは対照的で、シンプルな彩りを結晶化したような作品だった。

ムーンライトがよかったのは、何よりもその画のきれいさ。「二九歳までの地図」でたけきさんが「どのシーンのどのカットも画になる」「ムーンライトの画で世界が見えるメガネがほしい」と言っていたが、一番最初のシーンであるホアンが運転するキャデラックの反射から既にいい。さらに言えば音楽もかなりいい。冒頭でシャイロンがホアンに飲食店に連れて行ってもらって「名前ぐらい言えよ」と話すシーンでかかっている飲食店のBGM、どっかで聞いたことあるなーと思って検索したらこれだった。

こういう随所でかかっている音楽が抜群にいい。主張はしていないのにしっかり残る、ムーンライトの画を作る重要な要素になっている。

物語自体はアメリカ黒人の日常風景を描いたドキュメンタリーのような単調さ。よくこんな普通の内容をきれいに描いたなーというぐらい、やはり画作りがすごい。色調を非常にうまく使い、余計な装飾や説明がいっさい省かれている。

ただ日本人の我々からすれば、アメリカ黒人の日常風景にどこまで寄れるかというのはあった。僕は10月に「ハイパーハードボイルドグルメリポート ~ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯~ 」を見ていたから、これがいかに日常の風景なのかなんとなくわかったけれど、普通に生活していたら特別な物語のような印象を受けるかもしれない。貧困、ドラッグ、家庭問題、ゲイ、学校のいじめ、ギャング、我々日本人だけでなくアメリカ白人にだってこういう日常にはあまり縁がない。

でもおそらく、こういう要素を省いたとしてもこの映画は画になっていたと思う。これらは特別なものとして描かれていないから、要素自体は強調されておらずそれほど重要じゃない。例えば日本人、上京組、30代、派遣社員、彼氏無しの女性で同じような日常物語を作ろうと思ったらできると思う。多分アメリカ黒人にとってはそれぐらい馴染みのある身近な風景。でもこの映画みたいに主張なく流れる画で仕上げようと思うと、それこそ奇跡みたいな力が必要なんじゃないか。

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#2017年一番良かった《映画・ドラマ・アニメ》

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「ナニで撮るか」は抜きにして

数年前から「カメラを買い換えようかな」と思うことが続いていた。10年物のデジタルカメラ1台で撮り続けていると、不便なことが多々ある。画素は荒いし高感度はザラザラで、センサーもフルサイズではない。センサーの寿命は一般的に10年だと聞いているが、僕のカメラは2006年のものだから既に10年が過ぎている。そろそろ寿命でぶっ壊れるかもしれない。

カメラ屋で最新のカメラを手に取ると、その進化具合に驚く。ミラーレスなんかはとにかく軽い、小さい、オートフォーカスはめちゃくちゃ速い。カメラの中でRAW現像もできる、Wi-Fi接続で転送もできる。

高城剛は最新のミラーレスを「レンズがついたスマートフォン」と称していたが、今主流であるカメラ付きスマートフォンとは別の路線で、スマートフォン寄りのカメラが流通する日も近いかもしれない。スマートフォンと同等の機能を備えたミラーレス、AndroidOSのミラーレスというのが一時期あったが、カメラの小型化がより進めば、カメラ主体のスマートフォンという形態ももう少し一般的になるかもしれない。

さておき、α7Ⅱがずっとほしいと思っていて、このたびα7Ⅲが発売され型落ちとなった。頃合いかなーと思ったけれど、今のカメラでしばらく撮っていたら、まあ特に買い換えなくていいかと思った。今のカメラのまま撮り続けて不都合なこともなくはないが、誰かに求められて撮っているわけではなから困りはしない。最近は今のカメラのまま撮り続けても、まだまだいろいろな撮り方ができることに気づいてきたから、あまりカメラにこだわらず、もう少し撮っていこうと思った。

viceの若き写真家が見る歪んだ世界シリーズを毎回楽しみにしていて、最新回では佐伯慎亮というお寺の息子の写真家がインタビューに応じていた。

この人は写真家だけど、カメラにはあまりこだわらないそうで大学時代はビッグミニというトイカメラで撮っていた。

【知られざるカメラ】 第3回:コニカ ビッグミニ(初代) | トイラボカフェ -ネットのフィルム現像所「トイラボ」ブログ-

写真の技術を向上させるために、努力していることはありますか?

それはほとどんないですね。カメラも一台しか使ってないですし、お金もないのでレンズもなかなか買えてません。ただ、スタイリッシュに撮ろうとは常に思ってます。人の写真集はよく見ますが、技術的な視線ではあまり見てないです。

そうは言っても芸大の写真学科を卒業し、カメラマンやアシスタントの仕事もしていたから、技術的な面でも基礎がしっかりしておりカメラ素人とは比べられないだろうけど、この「ナニで撮るかにこだわらない姿勢」はいいなーと思った。

若き写真家が見る歪んだ世界 vol.15 佐伯慎亮 | VICE JAPAN

第12回のいくしゅんという写真家もカメラにはこだわっていない。

機材は今もコンパクトのデジカメですか?

今使っているのは1万5千円のミラーレスのデジカメです。3年前に秋葉原のソフマップで買いました。型落ちの中古でボロいんですけど、3年間壊れることなく、全然使えてますね。持ってるのはこの1台だけです。

若き写真家が見る歪んだ世界 vol.12いくしゅん | VICE JAPAN

僕もカメラは1台しか持っておらず、レンズも一つしかない。カメラうんぬんはもう少し無視して、撮ることに向き合っていきたい。

相変わらず映画ばかり見ている

なにもかもほったらかして、とりあえず映画見ている。今年はあと3本ぐらい見る予定。また、年明けにホドロフスキーのエンドレスポエトリー見に行くことになった。本当に行くんだろうか。人と映画見に行くなんて今年の2月以来で、大したことじゃないんだけどあまり実感がない。

と言うのも、つい先日3人で飲みに行くことになった。全然初対面ではないけれど、お互いあまりよく知らない3人。店に入ると、カウンターにいた店の人が顔見知りで

「3人でよく飲まれるんですか?」

と聞いてきた。こちらのうち一人が

「3人は仲良い友達だから」

と返した。何言ってんだろうと思って、僕はその後に続いた。

「いや、今日たまたまなんです」

と言ってここに至る経緯を説明した。店の人は「こんなこと言ってますけど?」と他2人に言う。それに対してもう一人が

「この人いつもこうなんですよ」

と答えた。なんだこのやりとり。この3人で飲むのは全く初めてだった。映画に行く予定になったのもこの3人だ。非現実感。

映画『エンドレス・ポエトリー』公式サイト

  • フッテージ
  • ゴッド・ファーザー part Ⅲ
  • トレインスポッティング2
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人を褒める技術について

人を褒めるというのは、簡単でわかりやすい処世術だと思う。会社員になったとき、ようやくそれを少しだけ学んだ。人を褒めるには、ある程度技術が必要だ。それは「いかに自然に、的確に褒めるか」という技術になる。露骨なお世辞や、下心丸出しのベタ褒めは不快な印象しか与えない。また内容が間違っていたり、褒めたことになっていない失敗例も数多くある。

日常生活や職業生活において、ある程度良好な人間関係を築く必要があるなら(誰でもそうだと思うが)、この褒める技術を学んで損はないだろう。自然に学ぶ人も多いと思うが、僕みたいな人間は普段他人を見ていないため、意識的に行わないとできない。ただ褒めるだけということが、上手くいけば意外なほど好感に繋がる。男女ともに効果的だ。

  • 素直な気持ちを発露する
  • 無意識下にある印象を拾う
  • 褒め言葉のストックを作る
  • いざ、言葉にする
  • 上級編:的確に褒めるには
  • 継続的に褒めるには
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周りが忙しいと暇だ

年末で忙しいらしい。どこもかしこも慌ただしく、疲れ切った顔でバタバタと出入りしている。一方やることのない自分は暇だ。暇と言ってもやらないといけないことはいくつかあって、それはただ日常の延長にすぎない。周辺が普段以上に忙しそうにしているから、余計に暇な感じがする。ネットを見ていてもあまり動きがなく、予定調和の年越し感しかない。自分にとっては年末も正月もあまり意味がなく、世の中がこうも一定の流れに向かっていると、周りの空気に自分を除いた一体感を感じて、普段より一層世間に取り残された感が激しい。社会から切り離されている。

「今年も終わりですね」「あっという間ですね」なんて口しても、自分には実感が全然伴わないから空虚だ。忘年会とかやっても、年が明けても自分の日常には何も変化がないから、年末とかそういう時期にはたった一人で生きている感覚がより強まる。それもこれも生活の節目がないからなんだろうけど、そういう生活を送っている人は、自分に限らず同じような感覚を抱いているのかなーと思う。ぼーっとしていても暇だから映画でも見るか。

Kindle Fire HD 8を買ったという話

日頃から物を買わない買わないと言いつつ買ってしまった。先日のサイバーマンデーで5,980円だったKindleFireHD8。KindleFireは他の商品と比べて、もはや大々的に宣伝されていない。人気がないようだ。なぜそんなに人気がないのか、タブレットで6000円なら安いじゃないかと思うんだけど、手元に届いてなるほどと感じたことがいくつかあった。

  • 電子書籍リーダー?タブレット?どちらでもない
  • タブレットとして使えないこともない
  • Wi-Fiの繋がりにくさ
  • それでも使えるアプリ
  • Kindle Fireは買う価値あるのか?
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今年見た映画(2017)

今年見た映画を数えてみたら、思ったより多かった。48作(初見以外も含む)。今年こんなに映画見ることになったのは「二九歳までの地図」の影響ですね。露骨に影響受けて見た映画は「攻殻機動隊」「リップヴァンウィンクルの花嫁」「リンダリンダリンダ」「イット・フォローズ」など。

底辺文化系トークラジオ「二九歳までの地図」

底辺文化系トークラジオ「二九歳までの地図」

  • 底辺文化系トークラジオ「二九歳までの地図」
  • テレビ番組/映画
  • ¥0

それ以外に見た映画は、意外と今年公開のものも多く、数年ぶりに何度も映画館へ足を運んだ。感想はわずかしか書いていない。感銘を受けたからというより、感想を書きやすかったものを。

  • 特に印象的だった映画
    • ブンミおじさんの森
  • 今年見た映画
    • 洋画
    • 邦画
    • SF
    • アニメ
    • その他
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トランプのエルサレム首都認定から、パレスチナ問題を考える

先日トランプ大統領の発言が話題になった。

トランプ米大統領、エルサレムをイスラエルの首都と承認 - BBCニュース

トランプが「エルサレム首都」認めれば中東は火薬庫に逆戻り | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

Hamas: US decision on Jerusalem is a war declaration | Palestine News | Al Jazeera

エルサレムが首都と認定されることは何が問題なのか。パレスチナ問題について学校で習ったことやニュース記事を読んでも

  • パレスチナ人が住んでいた土地にユダヤ人がイスラエルを建国した
  • ユダヤ人は旧約聖書の時代から自分たちの土地だったと言い張っている
  • エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地

この程度のことしかわからない。イスラエル建国までの経緯や中東戦争の実態については、この3行では言い表せないややこしいことがまだまだいっぱい詰まっている。それについて疑問を持った人や、復習したい人もいるかもしれない。

僕はここ数年パレスチナ問題に注目していたため、数年前ちょうどその入り口にいた。この数年間に知ったことが、もしかすると他の人の入り口として役に立つかもしれない。そう思って僕たち素人向けの、簡単な情報ソースを紹介する。

  • 映画でわかるパレスチナ問題「パラダイス・ナウ」
  • 新書でさらっと復習「世界史の中のパレスチナ問題」
  • 小説で気持ちを知ろう「太陽の男たち/ハイファに戻って」
  • その他
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