本読み

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「多動日記」感想・書評

多動日記は、高城剛がヨーロッパを旅行中に書いていた日記。タイトルは日付と滞在先になっているが、滞在先にはほとんど触れておらず自身の意見だけを述べている。著書「2035年の世界」のことが触れられているから、書かれたのはおそらく2014年のあたりだろ…

文庫で読める現代アラビア語文学、ガッサーン・カナファーニー

『ハイファに戻って/太陽の男たち』の文庫を買った。今年(2017)の6月に発売されたものだ。これ、なんで文庫化されてんの? 原著が発表されたのは1960年代、日本語版は2009年に単行本が出ている。著者はガッサーン・カナファーニー、この人有名なの?文庫…

「ヒドゥン・オーサーズ」感想・書評

それでは数が多いので全部紹介できないが、一部引用したりしながら紹介してみる。 「ごめんね、 校舎」 大前粟生 小説?散文?校舎に包帯をぐるぐると巻いていく話。パラパラマンガ見てるみたいだった。 包帯に摑まったその子が、顔をこっちに突き出す。修復…

読みたい本をどこから見つけるか

読みたい本が増えてきてせっせと欲しいものリストに追加している。しかし手元にはまだ読み終えていない本が1、2、3、8冊ある。中には借り物もあって、こちらから先に読んでいかなければならない。それにしても、このように読みたい本がどんどん溜まっていく…

村上春樹小説の性描写を数えてみた

村上春樹が7年前に書いた長編小説「1Q84」を昨日読み終えた(「騎士団長殺し」はまだ読んでいない)。読んでいてどうしても気になったのが、この本セックス多すぎない?もともと性描写の多い村上春樹小説だが、それにしても1Q84は多い。ところどころでやりま…

「1Q84」感想・書評

一週間ぐらいかけて1Q84を読んだ。率直な感想としては、村上春樹の本としては珍しい部類だった。まず、暗い話ではなかった。何事もなくすんなりとハッピーエンドを迎える。村上春樹の新しめの作品はハッピーエンドな傾向が高い。たとえば「海辺のカフカ」も…

「わたしを離さないで」感想・書評

もしかしたら、そうかも。そうか、心のどこかで、俺はもう知ってたんだ。君らの誰も知らなかったことをな p421 率直に言って、なんじゃこりゃーという小説だった。この前に「日の名残り」を読んでいたから、一人称の独白で過去を回想しながら現在にたどり着…

「日の名残り」感想・書評

カズオ・イシグロの「日の名残り」を読んだ。いろんな意味でうまくできた話だった。展開が気になるおもしろさがあり、こっけいさを描いた笑いもあるかと思えば、仕事に打ち込み燃える姿や、政治にまつわる教養と緊迫感もある。さらにはそこに恋愛も加えられ…

「日本人の英語」は難しすぎる

「日本人の英語」を読んだ。難しい。何が難しいかって、日本人が英語を習得することが難しい。著者のマーク・ピーターセンはアメリカで英米文学、日本文学を専攻し、現在は明治大学で教授をしている。バリバリ日本語を話し、この著書も自ら日本語で書いたも…

「ノルウェイの森」を読むのはとてもつらい

「ねえ、あれは本当に淋しいお葬式だったんだ。人はあんな風に死ぬべきじゃないですよ」 下巻p252 村上春樹のファンタジー冒険小説を読んでいてもこんなふうに思うことはほとんどないんだけど、「ノルウェイの森」を読んでいるととてもつらい気持ちになって…

キューバ旅行記をKindle本にした。超簡単だけど超大変だった

先日から既に公開しているけれどあらためて。2015年に旅行したキューバの日記を電子書籍にまとめた。まとめ記事は検索からのアクセスもあり、ある程度読まれるんだけど、苦労して書いた旅行記がほとんど読まれない。これはもったいないと思い、全部ひとつに…

「海辺のカフカ」感想・書評

僕らの人生にはもう後戻りできないというポイントがある。それからケースとしてはずっと少ないけれど、もうこれから先には進めないというポイントがある。そういうポイントが来たら、良いことであれ悪いことであれ、僕らはただ黙ってそれを受け入れるしかな…

「爆笑問題のススメ」に見習う

昨日のリスペクターの話のつづき。 以前にTwitterで、文学界が盛りあがらないという話を見かけた。文芸誌は売れておらず、ピース又吉が芥川賞獲ったりしないと一般読者層はついてこない。その流れも極めて一部、一時的であり、安定しているのは村上春樹が既…

「本」:このBlogについて

「このBlogについて」がごちゃごちゃしてきたので整理したいと思います。ここでは「本」の項目をまとめます。 本を読みます。高校から大学にかけて文学や新書、ビジネス書、最近は旅行の本など、興味が湧いたものは何でも読んできました。このブログで触れる…

クローズアップ現代のハルキスト特集がきつい #騎士団長殺し

2/23(木)に放送されたグローズアップ現代+は「いきなり130万部!?村上春樹新作フィーバー」というタイトルだった。この時点で「騎士団長殺し」の内容は全く明らかになっておらず、発売を目前にして番組で何を扱うのかと思えば、まさかのハルキストだった…

「怪しいシンドバッド」感想・書評

長いこと旅行から遠ざかっている。最後に旅行したのは去年の夏、あと4ヶ月ほどで日本に帰ってきて1年になる。どこかへ行きたい、どこか遠いところへ、そんな気持ちを常に胸の片隅に置きながらも、しばらくは眠っていた。「怪しいシンドバッド」を読んではい…

「パプリカ」感想・書評

筒井康隆のSF小説「パプリカ」を読んだ。この人の長編小説を読むのはこれが初めてだった。代表作はなんだろうと思って調べていたら「旅のラゴス」っていうのが評判がいい。そのうち読むかもしれない。「パプリカ」の方は映画を先に見ていたため、どうしても…

風呂で本を読む習慣

風呂で本を読む習慣がある。昔からではなく、つい最近の話だ。なぜ風呂で本を読むようになったか。風呂に入ると暇で、すぐにあがってしまう。そして脱衣所に出ると寒い。銭湯や温泉に行ったときは、外が寒いぐらいであっても涼しく感じる。それは体が温まっ…

2017年時点の電子書籍事情と未来予測

2015年の秋頃、アメリカで電子書籍が失速し、紙のメディアに戻る流れがあるというニュースを見て、ホッと胸をなでおろした旧体制の保守派にいる方々は多かっただろう。2012年に紙媒体を廃止し、電子版のみに移行していたNewsweek誌は、わずか1年で紙媒体を復…

本気の人はおもしろい「怪魚ウモッカ格闘記」感想・書評

「もうアートなんか超えた、まったく新しいジャンルですよ」 これは当時39歳のノンフィクション作家、高野秀行が「謎の怪魚ウモッカ」を探しにインドへ向かう話だ。約10年前の現代、2006年に書かれた本である。「謎の怪魚ウモッカ」とは、日本人のモッカさん…

やっぱりドストエフスキー読もうぜ!

ピピピのブログで、記事内容を読むのがめんどくさい人用に動画で読みあげるっていうのをやっていたのでパクります。 ↑読むのめんどくさい人は再生(30分) 映画の黒澤明に続き、定番シリーズです。別に、自称本好きのくせにドストエフスキーも読んだことない…

「地下室の手記」は見てられなかった…感想・書評

「俺は駄目なんだ……なれないんだよ……善良には!」 「地下室の手記」は読むのが大変だった。おもしろくないとか文章が読みにくいとか、話がややこしくてわかりにくいとかそういうわけではなく、目を背けたくなるような内容だから読み進めるのが苦痛だった。あ…

本棚

画質が悪いな。外国文学と旅行ですね。 左上段から、 魔の山|トーマス・マン(岩波文庫) だまされた女/すげ替えられた首|トーマス・マン(光文社古典新訳) かめも・ワーニャ伯父さん|チェーホフ(新潮文庫) 桜の園・三人姉妹|チェーホフ(新潮文庫)…

「羊をめぐる冒険」感想・書評

「人はみんな弱い」 「一般論だよ」と言って鼠は何度か指を鳴らした。「一般論をいくら並べても人はどこにも行けない。俺は今とても個人的な話をしているんだ」 下巻p200 「羊をめぐる冒険」は村上春樹の初期三部作と呼ばれる「鼠シリーズ」の最終章である。…

「月は無慈悲な夜の女王」感想・書評

「マイク、おまえ疲れているみたいたぞ」 「ぼくが疲れているって?馬鹿な!マン、きみはぼくの正体を忘れたのか。ぼくは心配しているんだ、それだけだよ」 「月は無慈悲な夜の女王」を読み終えた。このタイトルをパロった「君は淫らな僕の女王」というマン…

読みたい本がいっぱいある幸福

本じゃなくて映画でも音楽でも舞台でもゲームでもなんでもいいんだけど、僕の場合は最近本でこの幸福を享受している。そうは言ってもたくさん本を読んでいるわけではなく、一日の内に読書に割く時間が長いわけでもない。全く読まない日もある。今年に入って…

「帰ってきたヒトラー」感想・書評

上下巻ある長い本なんだけど、昨日1日で読んでしまった。面白かった。2012年にドイツで出版され250万部のベストセラーになり、42カ国語に翻訳された「帰ってきたヒトラー」(原題は"Er ist wieder da"「彼が帰ってきた」)。内容はタイトルの通り、現代にヒ…

「タイタンの妖女」感想・書評

「わたしだって、彼らがわたしを仲間に入れてくれるならそうしたろう」 カート・ヴォネガットの有名な本で、特に爆笑問題の太田光が大絶賛していたから名前だけは知っていた。そして岡田斗司夫推薦のSFということもあり、気になって読んだ。タイトルの「妖女…

今年読んだ本

去年おととしと今年の夏まで日本を離れていたせいで、全然本が読めなかった。今年の夏以降はこれまでに比べ本を読み、感想を書いたため振り返ってみた。それでも35冊、月1冊読めばいい方だった以前に比べると多い方だ。僕は一冊読むとその後何日もかけて考え…

「他人の顔」感想・書評

これは主に風呂の中で読んだ。風呂に入ってる最中が暇で、人によってはテレビを置いたりスマートフォンを持ち込んでいる兵もいるかもしれないが、僕はもっぱら本、というわけでもなく、たまたまこの本を風呂の中で読む時間が長かっただけ。

「スプートニクの恋人」感想・書評

「スプートニクの恋人」を再読した。ああ、このパターンかと初めに思った。「スプートニクの恋人」を初めて読んだのは大学生のときで、話の大筋は記憶していた。そのあと村上春樹の小説をいろいろ読んでから改めて読み返すと、新鮮な気持ちで、ある意味使い…

「知的生産の技術」感想・書評

「知的生産の技術」という本を読んだ。それにしてもなんと重々しいタイトルだろう。こんなタイトルの本は、本屋に並んでいても手を出す気にならない。買ったとしても、最初の1ページを開くまでかなりの時間を要する。しかしいざ開いてみると、スラスラ読めた…

「サイゴンのいちばん長い日」感想・書評

サイゴンというのは旧南ベトナムの首都であり、現ホーチミン市のことを指す。ベトナム戦争にて、北ベトナムことベトナム民主共和国が南北ベトナムを統一したあかつきに、サイゴンからホーチミンシティへと改名された。名前の由来は北ベトナムの指導者であり…

今夜クレイジージャーニー再登場、高野秀行まとめ

今年1月にクレイジージャーニーに登場され、アヘン栽培を手伝ったり、ソマリアでアル・シャバーブに襲撃されるというあまりの壮絶な内容で一躍時の人となった高野秀行氏が、今夜クレイジージャーニーに再登場される。公式サイトの予告映像を見る限り、おそら…

「ミャンマーの柳生一族」感想・書評

「ミャンマーの柳生一族」は、ノンフィクション作家である高野秀行が、探検部の先輩で作家の船戸与一に連れられ、「河畔に標なく」という小説の取材に付き添った話だ。高野さんは今までにも「アヘン王国潜入記」や「西南シルクロードは密林に消える」などで…

「予告された殺人の記録」感想・書評

これはある小さな町で起こった殺人事件について、調べた記録である。調査を行ったのはその町で生まれ育った男であり、事件当時も町に居合わせていた。事件から数年後、彼は何人もの関係者から話を伺い、まるで刑事か探偵のように検証している。この事件は初…

「何者」感想・書評

一番最初に抱いた感想が、「気持ち悪い」だった。この小説は新卒の就職活動とTwitterがテーマになっている現代劇だ。登場人物たちは表面的に友人としての体裁を繕いながらも、お互いのTwitterを確認して毒づく。痛いヤツだという本音をどこかで発散しながら…

「知っておきたいマルクス資本論」感想・書評

冷戦の時代、赤狩りが行われていた西側諸国では「俺はマルクスなんて読んだこともない!」と叫ばざるを得ないほど、なかば禁書扱いされていた資本論。名前だけは誰でも知っており教科書にも載っている。しかし、実際にその中身を熟知している人はどれぐらい…

「辺境中毒」感想・書評

先日、Kindle版が日替わりセールで199円になっているという話を聞き、買って読んだ。こちらはアヘン王国から日本に帰る経緯や西南シルクルードは密林に消えるとは別の機会にミャンマー、カチン州を訪れた話など、今までの紀行における本編に収録されなかった…

本を読んでいる人が、頭が良く見えるとき

僕は普段本を読まない。最近やや読んでいるけれど、読むときにたくさん読んで読まないときには全然読まない。その読むときというのが滅多に来なくて、ここ3ヶ月ぐらいが久々にそのときであった。それでもここ3ヶ月で読んだ本というのは、何冊だ、1、2、15冊…

退屈な日常にスパイスを。「アヘン王国潜入記」感想・書評

辺境作家、高野秀行の本を続けざま読んでいたが、ソマリランド、西南シルクロードと共に代表作とされている「アヘン王国潜入記」をやっと読み終えることができた。この本に書かれていた内容は1995年のことで、もう20年も前の話になる。当時僕はまだ小学生だ…

世界の料理好きにおすすめ「移民の宴」感想・書評

実は「知っておきたいマルクス資本論」を読んでいたのに難しくて、手を付けてしまった「移民の宴」を先に読み終えてしまった。 「移民の宴」は日本に住む外国人を訪ね、各国の食事をご馳走になりながら日本での生活を取材するという、日本にいながら海外を体…

ブックオフの迷走と、せどり

これを読んでいた。ブックオフはいつ頃からか市場調査・買取査定をしっかりやるようになり、そのおかげで以前よりも買取価格が上がった。しかし同時に販売価格も適正になってしまったため掘り出し物がなくなった。売る側からの魅力は以前より増したものの、…

「異国トーキョー漂流記」感想・書評

外国人と一緒にいると、目に映る風景も外国人のものになる。東京がトーキョーになる。 日本にいて外国人と関わることはそうそうない。外国人好きであったり仕事で関わる人は別として、それ以外は歩いているときに観光客に道を聞かれるのが年に1回もないだろ…

「ワセダ三畳青春記」感想・書評

青春記とあるが、この「ワセダ三畳青春記」(通称:三畳記)は辺境作家、高野秀行が大学時代の22歳から卒業後も33歳まで11年間過ごした、わずか3畳しかないアパートにまつわるエピソードを綴った本だ。大学は通常、浪人留年無しだと22歳で卒業する。高野さん…

大人だって本を読んだら感想を書こう

書を読んで考えないのは食べて消化しないのと同じ。 エドマンド・バーク - Wikipedia 活字離れが騒がれる昨今(もう古いか)、かたやインターネットを見渡せば多くの書評家、読書家があふれている。身の回りで本を読む人は少ないかもしれないが、ネット上に…

迷走する人へ、「間違う力」と「アスクル」感想・書評

欲しいものリストから頂いた中で紹介していなかった「放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法」ファンの間では通称「アスクル」と呼ばれている本を読んだ。その次に人から借りた「間違う力」を読んだ。この二冊はセットで読んでしまっていい…

「西南シルクロード」と「ソマリランド」の違い

欲しいものリストでいただいた本は次に読みます。「西南シルクロードは密林に消える」を読み終えた。この本は高野本の中でもファンの間で1,2を争う人気本であり、評価も非常に高い。高野さんの早稲田大学探検部の後輩であり、ノンフィクション作家の角幡唯介…

Letter from Kyoto書店

読書量は決して多くないんだけど、今まで読んだ本の中で人に読んで欲しい、何度でも読みたい、絶対的おすすめの本を並べてみたいと思った。このおすすめについては随時入れ替え、更新していきたいと思う。また、手元にある本なら欲しい人がいればあげます。 …

ブロガーとしての高野秀行

最近立て続けに高野秀行本を読んでいる。25年以上の作家としての経歴を持つ高野秀行氏なんだけど、2004年から12年に渡り今もブログを更新されている(不定期)。作家によるブログというのは珍しくないが、これほど早い時期から始め、長い間ずっと続けている…